ひ・み・つ

・ひみつ 其の1  花咲カニの旨いわけ
エクハシの宿では、市内の信用できる業者さんにカニの仕入を全ておまかせしています。
毎日、何トン何十トンと陸揚げされるカニの山から、特に気を配って選んだものが大きな業務用の釜で、細心の注意をはらって、これまた抜群の塩加減で茹でられます。
カニは茹でられたのち、鮮度を保つ為、急速に冷やされ、足のとれた物・傷の入った物等を選別して、またまた、選ばれます。こうして、厳しいプロの目に選ばれたカニだけが当館に運ばれます。
当館の食卓に登るカニは、大げさに言えば「選ばれたエリート」のカニなのです。
お客様には金銭的に負担は掛かりますが三大カニ食べ放題とか、手の平サイズのカニを「カニ付」と言う他所とは、決定的に違うのです。 せっかく、根室まで来て頂くのだから、美味しい物を自信を持ってお出ししたい。この気持ちをいつまでも大切にしたいと考えております。

・ひみつ 其の2   食後の「お楽しみ」
別舘お宿エクハシでは、お食事のデザートとして「作りたてのシャーベット」をお出ししています。
「納沙布岬に昇る朝日」をイメージしたつもりですがお客様にそのように見えるかどうかは別の事として、私としても苦心の作なのです。
ベースは、シシリー産のブラッドオレンジ・現地では「天使の素肌」を作ると言われるほど、ビタミンCが豊富で肌に良いとされています。 食後ですから、甘味は控えめにし、彩りに三種類の果実を添えました。 ラズベリーは血中のコレステロールを下げ、クランベリーの酸味により胃が活発化し消化を助け、コケモモがドライブで疲れた目を癒してくれます。
お客様の食事の進み具合を確かめながら、冷菓製造機のスイッチを入れたり切ったりして、出来る限り「できたて」「つくりたて」に「こだわって」お出ししています。  だって「作ったばかり」のシャーベットなんて、食べる機会ないですよね。 旧式の機械ですが毎日元気に働くお蔭で、せっせと作らせて戴いております。 
明日も元気に楽しい旅行を続けて欲しいなぁと思う気持ちをシャーベットと言う形にしました。

・ひみつ 其の3   炭火の魅力  
別館を計画する際、調理場はお客様に気軽に声を掛けたり、料理の進み具合やタイミングを計る為にオープンキッチンにして、焼き物用に炭火焼の炉をどうしても用意したいと思いました。 炭火の魔術と言うのか魚や肉の味にガス火には真似の出来ないほど、格段の差が出ます。 正直に言って料理をしている本人が一番びっくりしているほどです。  
遠赤外線により深部から火を通し、魚や肉の余分な油を落とします。 落とした油は炭火により煙となって魚や肉に芳ばしいフレーバーをつけます。 おまけに焼いている最中は火と煙による演出効果もあるのか大変美味しそうな期待感を増幅させてくれます。 
こうして、焼きあがったら、既に待機しているサッチャンにより間髪をいれずに客席に運ばれます、サッチャンは此処で一言「カニも刺身は後でも食べられますが、焼きたてのホッケは今食べなきゃ」と、半ば強制的に食卓の中心に置かれるのです。 あっけに取られるお客様を後に悠々と去っていく配膳担当のサッチャン・・・さて、まだ油がふつふつとしている焼きあがったホッケに箸を入れると「ほろリ」とほぐれる身と共にふぁーと蒸気が昇ります、続いて何とも言えぬ旨そうな香りが辺りに漂い始め周囲の視線も自然とあなたに注がれます。  一口目は何もつけずにそのままで、二口目は大根おろしとお醤油で、どうぞ、海の恵みをお試しあれ。

・ひみつ  其の4   塩は面白い
当館の調理場には塩入れが四つ有ります。   お料理の下味に使ったり、味の決め手になったりと用途や食材の相性を見極めて使っています。  使っていて面白いのは塩の違いによって食材の味に決定的な差が出てしまうことです。 というのは天然塩を利用することにより一段と食材の味が引きたつことです。 お肉や野菜・お魚、どの食材も一様に隠れた旨みを引き出しているように感じられます。  
天然塩を使うことで、私の料理がより美味しく感じられ私の技量以上の働きをしてくれるわけです。 
感謝感謝   皆さんもお試しあれ。 はまりますよ・・・
イタリア産 サーレ・インテグラーレ  シチリア・トラパニ生まれのこの塩は昔ながらの天日干しで作られた無精製の天然海塩です。 野菜を茹でたり、燻製やハムの調味につかっています。
ドイツ産 アルペンザルツ  ドイツアルプス山中にある天然の岩塩を精製したものですが自然のミネラルを含み、マイルドでありながら、たいへんコクのある味が気に入っています。 主に肉類の味付けに使っています。
あとの二つは販売量も少ないので秘密にしちゃいます。

・ひみつ   其の5    小笠原さんの野菜
当館から車で約二十分のところに別当賀という地域があります。 そこで酪農を営んでいる小笠原さんの野菜を中心にシーズン中はお料理に使っています。  とにかく香り・甘味・旨みが豊かで、知らずに食べたお客様は必ず聞きに来るほどです。  特にトマト・ズッキーニ・ニンジン・ゴボウが素晴らしく、代わりのものを未だに探せません。
今年はビーツに挑戦したそうで、さっそく買い入れましたがその美味しいことと言ったら、深いルビー色ピジョンブラッドと言うのかビロードのような色彩で、味は甘く、さっぱりしているのにコクがあって爽やかな印象を受けました。 一時間程茹でてから、酢漬けにしたり、サラダにしたり、本館名物のボルシチの決め手として使っています。  
小笠原さんのおばぁちゃん、貴女のおかげで、今日も朝食の話題がひとつ増えましたよ。      
ありがとう。