ミッションノベルNo-1

To Wepon Tower... 序章



リッキー「TowerGateは・・・こっちだな」

 喧騒が飛び交う道、目の前の道を指差しながら一際大きい声をあげるリッキー。

正宗「僕が通ってきた道の事ですよね?それならば、そちらであっています」

 リッキーとは対称的に、あたりの人間やメカの視線に少し戸惑いながら答える正宗。

天空「間違えた時はまた戻ればいいだけだろ?どうせ俺の銃の調整は時間がかかるだろうしな」

 そして黒いマントに注目を受けながらも堂々と歩く天城 天空[あまぎ そら]。


 ピジンと呼ばれる地域から、WeponTowerと名付けられた地域へ行く為に通らねばならない検問所へと向かう・・・
一人はいかにも若者と言った、煙草が似合いそうな感じのする男。名前はリッキ−と言い、メカニックである。
そして一人は、リッキーとは正反対な感じがする、大人びた少年・・・と言ったところだ。
名前は正宗・・・実はfreegateのガーディアンで、ヒューマンフォームタイプのロボットである。
もう一人、リッキーより年上だが、見た目としては結構若く見える男。
天城天空、流れの賞金稼ぎだが銃の腕はかなりのもので、明るいが多少危険な性格をしたハンターである。

リッキー「おっとそうだ。代金はあんたが払ってくれねえか。ジョーの奴、全く貸してくれなかったんでな」
正宗「僕がですか?はい、いいですよ」

 三人(?)がWeponTowerへ行く目的は、買い物だ。
正宗がリッキーの働いている工場「Backlash.Indastry」へ依頼した仕事で、人工皮膚を作るので、その為の炭素繊維等を買いに行くのだ。
なお、その人工皮膚がかつてリッキーが共に行動したロボット、菊一文字のバージョン2の為の物であることを、リッキーは知らない。
また、天空が一緒にいる理由は一つ。暇つぶし、というわけだ。
というものの、その暇の理由は愛用の44マグナムカスタムの修理に時間がかかる、という事である。
だが、用心のためか銃を持っていないと安心出来ないためかわからないが、デリンジャーを左手に仕込んでいる。

リッキー「WeponTowerへ行くのも久しぶりだな。しかし・・・あの親父、まだいるのか心配だな」
正宗「あの親父って、WeponTowerに知り合いの方がいらっしゃるのですか?」
リッキー「ああ、オレの知り合いの店があってな、ま、正確に言うとオレの父さんの古い同僚らしい。で、何故かWeponTowerにいやがるんでな、まあその方が色々と手に入るんだろうが。で、俺がWeponTowerに用事がある時はいつも寄ってやってるんだ」

 このリッキーの父親は、今は死去しているがかなりの腕を持っていたメカニックだった。
その腕をある程度引き継いでいるリッキーも、実は結構なメカ扱いの腕を持っている。


リッキー「けど、ここの連中もスラムの奴らが増えてきたな。昔と比べて」
正宗「スラム・・・ですか・・・」

 いきなり話を振られて、とっさにデータバンク内のスラムに関するデータを集める正宗。
一方の天空は、あまり興味がなさそうに口笛を吹きながら二人の前を歩いている。

正宗「スラム、WeponTowerから追い出され、ピジン・・・つまりここからはみ出た人々が作っている地域・・・ですね・・・」
リッキー「よっと。ま、そんな所だな」

 地面にできたオイルの水たまりを飛びながら返事をするリッキー。

正宗「WeponTowerにいる人々の考えは、僕にとってはバカバカしいだけに思えるのですが・・・」
リッキー「んなもん上の連中なんてみんなバカ野郎なんじゃねえのか?例えばよ・・・」

 リッキーは道の端にいる、配線がむき出しになっている自動修理用メカだったと思われる機械に目をやった。
ところどころ装甲が剥がれ、ショートしており、地面に落ちている水とまざったオイルを集めている。

リッキー「こいつらなんて、もともとはWeponTowerの連中に作られたんだぜ?それが少し型が古くなっちまっただけでダストシュート行きだ。で、ここに来たんだろうな」

 リッキーは懐のあたりをさぐり、缶と小さな袋の様な物を取り出す・・・
ふと後ろを振り向いた天空は、リッキー達が止まっているのを見て同じ様に立ち止まった。

リッキー「悪いな。少し待っててくれよ」

 そう言って、小さな袋を開くリッキー。中には工具一式、予備回路用コード、絶縁ゴムや小型のハンダなど、色々と入っていた。
辺りを少し見回し、道の隅に落ちていたただの鉄板や銅板などを集め始める。
ある程度集め終わると、元修理メカの前に座り込み、手袋をしてショート部分を直し始めた。
そして2、3分で修理を終え、最後に鉄板や銅板をハンダで止めて装甲の代わりにする。

リッキー「完了っと。この缶はオイルが入ってるからな。交換は自分で出来るだろ」

 元修理メカにそう言い、小さな掛け声と共に立ち上がる。
見事な手捌きに、天空が小さく口を鳴らす。

リッキー「さ、行こうぜ」

 何か言おうとする正宗を背にし、早々と歩き始めるリッキー。


正宗「ここが僕の通って来た道ですね」
リッキー「ああ、『TowerGate』・・・WeponTowerに出入りする為の唯一の門。ってとこだな」

 三人の目の前には、すでに大きなビル群が迫っている。その下に、小さな門が一つ。これがTowerGateだ。
人の出入りはほとんどなく、監視員と警備員がいるぐらいだ。

リッキー「よし、行くか」
正宗「はい、わかりました」
天空「おしっ、ついでに色々と銃を見てまわるか」
「あの・・・すみません」

 TowerGateへと歩き出した三人の後ろから、落ち着いた女性の声がかけられた・・・


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