(今までのあらすじ♪)
とうとうゴールインしてしまったバカップル
各方面からの手荒い祝福を受けつつ和やかに(?)進む披露宴。
だがしかし!気が付くと花嫁は3人に!?
果たして彼らは無事バカ夫婦となれるのか!?

「……増えてますね……」

 唖然と呟く菊一文字。…もう何が何だか。

「ニッポン全国、分裂日和ですね」
「…いきなりどうしたんですか?」
「……いえ、淡々と進めるなとツッコミの電波が入りましたので…」

 虚空を見つめながら呟く神秘的な美女の横顔をちらりとみて、菊一文字は深いため息をついた。

「分裂日和…ってなんでしょう?」

 フロゥリアの声に苦笑する双葉。
相変わらず3名の双葉がどれが本物なのかと争っている。

「ねね、いちろーおにーちゃん♪
ふたばおねーちゃん、いっぱいだね。おねーちゃんがいっぱいなのは嬉しいけど、見分けが付かないなぁ」
「うーん…だれだろお……」
 
 ぎゅーっと一狼にしがみ付きつつにこにこと楽しそうにしている静。
彼の頬にほんのり赤みが差している事には彼女は気が付いていない。

「いちろーおにーちゃんは、どれが本物か解る?」
「わっ、わかんないよぉ、そんなこときかれても」

「双葉が3人???」

 紫遠は、あまりの事に狂気の淵へと落ちていきそうな中で必死に現実にしがみ付こうとしていた。

「一人は・・・バグとして・・・いやバグか? それより・・・」

 冷静になって考えようとする。
一番可能性があるのはID登録者のデータを利用して自らの姿を変えることができるバグなのだろうが
…それでも、一度に2人は無理であろう。
…だとすると………
 一人の双葉がふわりとスカートを翻す。
現実感の無い軽さ。そして足元には……影が無い。

「……ひっ!?」

 思わず出てきた悲鳴を押し殺す。

「くしゅんっ」
 
 一人の双葉が小さくくしゃみをした。
一瞬ぶれる姿。走るノイズ。瞬間だけ透けて見えた向こうの景色。
……見てはいけないものを見てしまったのか? 青ざめていく紫遠。

「う、うああああああ!!」

 思わず壁に頭をがんがん打ち付ける。
悪い夢なら覚めてくれ。

「しっ、紫遠さん!? 落ち付いてくださいっ」
「くっ! 来るなっ寄るなっ!! あぁぁぁぁぁっ!!!!」

 額が、生暖かい。
目の前が真っ赤に染まっていく。不思議と痛みは無かった。
現実と言う断崖絶壁にしがみ付いた最後の岩からゆっくりと手を離す。

「・・・も、いいや、ここ、ラウンジ、だし・・・」
 
 暗くなりゆく真紅の景色の中、妙に爽やかに彼はつぶやいた。



 朱羽は不思議そうに増えた彼女達を見ていた。
立ち居振舞いはぱっと見には3人とも同じに見える。
ドレスも同じ、お色直し後空色のカクテルドレス。
その間にも3人は器用に場所を入れ替え、もう何が何だかわからなくなってしまっている。

「そのドレス綺麗ですねっ♪ どこで着替えてきたんですか?」
3「控え室ですよ?」
2「控え室だけど?」
1「んー…多分控え室」

 似たような答えを返す3名。
わずかに自信なさげな1番は除くとして……
 
「あ、じゃぁ…プロポーズの言葉は何でした?」
3「え………と……」

 考え込む双葉達。

2「そんなの俺が知るか!」
「あっ!って事はあなたも偽者ね?」
2「ふふふ…良くぞ見破った。俺の正体は……」

 見破られた偽双葉は、ばさりとそのドレスを脱ぎ捨てた。

「ブラック双葉!略して黒葉だ!」
「服が黒くなっただけじゃねーかっ!!!」

 黒いウェディングドレスの双葉に早変わり(ぉぃ)

「…バグだろう?」
「……バグ様ですよね?」
「バグだ…バグに違いない…」
 
 騒然とする会場。
なによりその物腰が完全にバグじゃないか。

「違うと言ってるだろうに…俺は黒葉だって……」

「と…言うことは………」

 最後に残った一人…。

「あたしは、このヒトが本物だと思う…。どうですか?霜月さん」
「…まぁ、ここに本物の双葉さんが居るとしたらですけどね」

 いつもの笑みを崩さぬまま新郎はきっぱりとそう言った。

「居ないんですか!?」
「三人が本物の双葉さんの増殖したものであれば、それはそれでよかったんですけどね」

 目を閉じて居場所を探る。
求めるのは最愛のあの人の気配。

「惜しい……このままなら、嫁としての性別を3種類制覇できましたものを……」

 ポツリとフロゥリア。たしかバグは両性具有者。
ってことは残りの偽者は男性と女性?

「このままいけば、結婚したことになりましたのに惜しかったですね。残念賞です」

 何処から取り出したのやら洗剤ギフトの詰め合わせを偽双葉達に授与。

「ふにぃぃぃぃ………」

 何かフリーズ起こしてる一人には[Ctrl]+[Alt]+[Delete]で再起動。
もう一人もぱさりと変装を解く。
 その姿にユージは思わず絶句した。

「かっ…風水さん!?」
「黙っててゴメン、驚いたかい?」
「…驚いたなんてもんじゃないですよ…俺全然分からなかったです」
「まだまだ修行が足りないね、探偵に必要なのは観察眼。それと行動力だ」

「で、本物の双葉さんは見つかりました?」
 
 何とか進行を立てなおそうとする菊一文字。

「えぇ、僕の双葉さんは…

 それを遮るようにフロゥリアはマイクを握った。

「新婦のお召し替えが終わったようですね」

どがぁぁぁっ!!!!
突然吹き飛ぶドア!? 現れたのは!!??


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