第19回 社会福祉概論
19回1
問題1 諸外国と我が国の社会福祉の歴史と発展に関する次の記述のうち、正しいものを一つ選びなさい。
1 ドイツでは、19世紀のビスマルク宰相の時代に、世界に先駆けて介護保険制度を確立させ、その後この制度は、世界の国々に影響をおよぼしてきた。
2 デンマークでは、19世紀末よりリッチモンドが社会福祉援助技術の理論を発展させ、世界の国々に影響を及ぼしてきた。
3 アメリカでは、1935年に社会保障法が制定され、第二次世界大戦後には「ゆりかごから墓場まで」といわれる高度に発達した社会保障のモデルとなる福祉国家をつくり、今日に至っている。
4 イギリスでは、1942年のベバリッジの作成した報告書を基礎とした福祉国家を、第二次世界大戦後につくりあげた。
5 我が国では、明治時代(1868〜1912年)に救護法が制定され、国家責任に基づき、国民の保護請求権を確立し、社会保障の権利が保障された。
正解 4
1:×ドイツのビスマルクがしたことは、介護保険制度ではなく、世界初めての老齢年金、健康保険、老妻保険等の社会保障制度を整えたことである。このことは覚えておいたほうがいいですね。この問題は介護福祉士の試験問題にはあまり出てこなかったですが、社会福祉士の試験では過去問題の定番問題です。
2:×社会保障援助技術の理論を最初に定義づけたのはアメリカのリッチモンドさん。でもリッチモンドさんはデンマーク人ではありません。国と人名を掛け合わせた試験は古典的だけど覚えておいて損はなし。過去問題にもでてますね。
3:×アメリカで1935年に社会保障法が制定されたのは事実、でも第二次世界大戦後「ゆりかごから墓場まで」という福祉国家をつくりあげたのはイギリスですから間違いですよね。「ゆりかごから墓場まで」=イギリス・・これだけ知ってるだけでも問題を解く参考にはなるね…
4:○正解です。覚えておきましょう・・ベバリッジ報告のなかに、3番目の問題にもある有名な言葉「ゆりかごから墓場まで」が掲載されてるんですよ〜
5:×日本で、明治に制定されたのが恤救(じゅっきゅう)規則というもの。救護法は昭和7年制定・・それにもう一つの間違いは、この救護法には保護請求権はなかったことです。今の時代なら「困ってるから助けて〜」と行政に訴えることができるけど、あの時代は、その判断は行政の判断ということでした。
19回2
問題2 現行の社会福祉関係各法に関する次の記述のうち、誤っているものを一つ選びなさい。
1 社会福祉事業従事者の確保の促進については、社会福祉法に規定されている。
2 養護老人ホームへの入所措置については、老人福祉法に規定されている。
3 自立支援医療費の支給については、児童福祉法に規定されている。
4 子育て支援事業については、児童福祉法に規定されている。
5 母子家庭及び寡婦自立促進計画については、母子及び寡婦福祉法に規定されている。
正解 3
1:○これは初めてでる問題ですね〜。たしかにありました。社会福祉事業法の第7章の2に「社会福祉事業に従事する者の確保の推進」ってのがありました。いや〜・・介護員の配置数においてももっと改善して欲しいもんです。この問題は今年限りかな〜・・覚えなくていいと思う
2:○その通りです。特別養護老人ホームは原則、事業者との契約によることとなっていますが、やむおえない事情で介護保険の利用が困難なケースの場合は従来通り市町村の措置制度は存続しているので注意してください。
3:×障害者自立支援法が平成18年4月から施行されてから、精神の通院医療費・更正医療・育成医療は自立支援医療費に一本化されたのでこの問題は間違いです。
4:○平成17年施行の新しい法律です。覚えておいたほうがいいです。子育て支援事業は児童福祉法で規定・・・実施は市町村です。子育てというと母子保健福祉法かと勘違いしそうですが、児童福祉法であることを、頭の隅に入れておきましょう。
5:この自立促進計画は平成14年に追加されたものですが、「こんなところまででるの?」って感じの問題ですね。まあ、今回限りの問題と割り切りましょう。
19回3
問題3 社会福祉の財政と費用負担に関する次の記述のうち,正しいものに○,誤っているものに×をつけた場合,その組み合わせとして正しいものを一つ選びなさい。
A 「平成17年版厚生労働白書」によると、平成15年度から平成17年度の各年度の国の一般会計において、社会福祉費が社会保障関係費に占める割合は、3割を超えている。
B 障害者の居宅介護については、障害者自立支援法により国の費用負担が義務づけられた。
C 都道府県は、法律により義務づけられた負担のほかにも、介護保険事業に要する費用の一部を補助することができる。
D 社会福祉法人が設置した保育所のサービスを利用した場合には、利用者は、原則として、保育費用を直接保育所に支払う。
(組み合わせ)
A B C D
1 ○○○×
2 ○×○×
3 ○××○
4 ×○○×
5 ×○×○
正解 4
A×:言葉の意味を正確に捉えることが大事です。でもけっこうややこしい(^^;)・・社会保障関係費…というのは、国や自治体の予算で社会保障に関する支出をまとめる勘定科目です。平成16年度では国が20兆円、地方自治体合計が13兆円。社会保障関係費には、社会保障費、生活保護費、社会福祉費、保健衛生対策費、失業対策費などからなっている。白書によると社会福祉費の割合は3割を超えていないので間違い・・でもこの問題はもうでないと思います。重箱の隅をつっつくような問題ですから・・・
B○:居宅介護の費用負担については、自己負担が一割、残り9割を国が50%、県と市町村がそれぞれ25%を負担する。正解
C○:その通りです。市町村は地域独自のニーズに応じて、65歳以上のかたの保険料を財源に、家具の洗濯・乾燥サービス、一人暮らしの被保険者のための配食サービスなどを行うことができます。
D×:保育料を直接保育所に支払うことはありません。住んでいる市町村に利用料を支払うことになります。
19回4
問題4 社会福祉関連の資格制度等に関する次の記述のうち,正しいものを一つ選びなさい。
1 社会福祉士は、社会福祉法に基づく資格であり、年齢20歳以上であって、人格が高潔で、思慮が円熟し、社会福祉の増進に熱意がある者であることが要件とされている。
2 精神保健福祉士は、精神障害者福祉法に関する法律に基づく資格であり、3年以上精神障害の診断または治療に従事した経験を有することが要件とされている。
3 介護支援専門員は、老人福祉法に基づいて、福祉事務所の所員に対して技術的指導を行なったり、老人福祉の相談援助等で専門的技術を必要とする業務も行う。
4 保育士は、秘密保持が義務づけられており、これに違反した場合の罰則も規定されているが、保育士でなくなった後は秘密保持の義務は適用されない。
5 介護福祉士は、信用失墜行為が禁止されており、これに違反した場合は登録の取消し等の処分が行われることがある。
正解 5
1:×この記述は、社会福祉主事の要件を書いたものです。社会福祉主事については社会福祉法の第19条で、年齢20歳以上の者で、人格が高潔で、思慮が円熟し、社会福祉の増進に熱意があるものと規定されています。社会福祉士や介護福祉士は「社会福祉士及び介護福祉士法」という法律で規定されているのでご注意ください。
2:×精神保健福祉士の資格は精神保健福祉士法に規定されたものです。それに、精神科医ではありませんから診断とか治療をおこなうことはできません。まあ、基本的なこととして覚えておけばいいかな〜
3:×介護支援専門員は介護保険法に基づいた資格で、要介護者や要支援者からの相談に応じ、それらの人が心身の状況に応じて適切な居宅サービスや施設サービスが利用できるように市町村、居宅サービス事業者との連絡調整を行う者となっている。であるから老人福祉法に基づく福祉関連の技術的指導等を行うことはない。従って間違い…
4:×保育士であれ、介護福祉士、社会福祉士、精神保健福祉士、看護師等、多くの福祉・医療職では秘密保持が義務づけられていて、その職業でなくなった以降も秘密保持の義務は適用されている。常識として覚えておきましょう。
5:介護福祉士は社会福祉士共に共通であるが、信用失墜行為の禁止、秘密保持義務、連携(医師その他の医療関係者)、名称の使用制限(介護福祉士でない者は、介護福祉士という名称を使用してはならない)などの義務や制限を規定されている。
秘密保持に違反すると→1年以下の懲役又は30万以下の罰金
19回5
問題5 社会福祉法に規定する福祉サービス等に関する次の記述のうち,適切なものの組み合わせ一つ選びなさい。
A 地域住民、社会福祉を目的とする事業を経営する者及び社会福祉に関する活動を行う者は、地域福祉の増進に努めなければならない。
B 地域福祉の推進においては、公平性の観点から、どの地域においても、同一のサービスを提供しなければならない。
C 社会福祉基礎構造改革により、福祉サービスの実施主体は、地方分権化及び民営化したので、社会福祉領域における国民の責任は消滅した。
D 福祉サービスは個人の尊厳の保持を旨とし、利用者の自立を支援するものとして、良質かつ適切なものでなければならないとされている。
(組み合わせ)
1 AB
2 AD
3 BC
4 BD
5 CD
正解 2
A:○社会福祉法の第4条の地域福祉の推進の文面です。まあ、常識的なことをかいてある問題ですね。このまま覚えるしかありません。
B:×同一のサービスを提供するなどという文面は見あたりませんね。従って間違い
C:×地域福祉の推進については、第4条にもあるように地域住民も地域福祉については相互協力し地域福祉の推進に努めなければならないと明記されている。
D:○第3条に規定されている条文です。そのまま覚えるしかないでしょう。社会福祉法の第1から第6条くらいまでは熟読しておいて損はないようにおもいます。全面暗記などしなくても頭のどこかに残るもんですよ。(^^)/
19回6
問題6 次の人物とその業績等に関する次の記述のうち,正しいものの組み合わせ一つ選びなさい。
A アダムス ……………ハル・ハウス
B パールマン …………..「4つのP」
C ブース ………………. トインビー・ホール
D ランク ……………….ヨーク地方の貧困調査
(組み合わせ)
1 AB
2 AC
3 BC
4 BD
5 CD
正解 1
A:○ Jアダムス→アメリカの代表的なセルツメントハウス(救済施設)→ハルハウス・・こうまとめて覚えましょう
B:○ パールマン→個別援助技術を定義した人→@来談者(Person)A対象となる問題(Problem)B面接が実施される場所(Place)C援助過程(Process)の4つのPを提唱
C:× ブース→ロンドンでの貧困調査で有名。トインビーホールはバーネット夫妻が設立したセルツメントハウス。従って間違い
D:× ランクは精神分析家・・・ヨーク地方の貧困調査をしたのは、シーボムです。
19回7
問題7 市町村における社会福祉の行政計画に関する次の記述のうち,適切なものの組み合わせ一つ選びなさい。
A 地域福祉計画は、社会福祉法により策定されているものであり、地域における福祉サービスの適切な利用の促進等を定めることとされており、策定にあたっては住民等の参画を図ることとされている。
B 老人福祉計画は、高齢社会対策基本法により策定が義務づけられており、市町村ごとの養護老人ホーム及び特別養護老人ホームの必要入所定員その他老人福祉事業の量の目標などを定めることとされている。
C 介護保険事業計画は、介護保険法により策定が義務づけられており、3年を一期として策定され、定められたサービスの種類ごとの量の見込みが保険料算定の基礎となる。
D 保育計画は、次世代健全育成推進法により策定がぎむづけられており、保育所利用待機児童の解消のための保育所の整備や放課後児童健全育成事業(学童保育)について定めることとされている。
(組み合わせ)
1 AB
2 AC
3 BC
4 BD
5 CD
正解 2
A:○2000年に社会福祉法が改正されたときに、市町村が地域福祉計画の策定、都道府県が地域福祉支援計画の策定をすることとなりました。問題にもあるように策定にあたっては地域住民の参画を図ることとされていますので正解!
B:×老人福祉計画は、老人福祉法の第20条の8で規定されています。
C:○そのとおりですね。このまま覚えた方がいいでしょう。
D:×保育に関することですから、児童福祉法ですよね。平成17年4月から施行された比較的新しい法律ですから覚えておいたほうがいいです。
19回8
問題8 社会福祉や社会保障の制度における利用者保護や苦情解決の制度に関する次の記述のうち,正しいものに○,誤っているものに×をつけた場合,その組み合わせとして正しいものを一つ選びなさい。
A 社会福祉法では、社会福祉事業経営者が利用者等からの苦情の適切な解決に当たることを義務づけられており、利用者等が、直接運営適正委員会に解決の申し出を行うことはできない。
B 障害者自立支援法では、市町村の介護給費等に関する処分に不服がある時は、都道府県知事に審査請求を行うことができる。
C 生活保護法では、福祉事務所による、保護の決定及び、実施に関する処分について不服があるときは、市町村長に審査請求を行うことができる。
D 国民年金法では、支給決定について不服があるときは、市町村長に審査請求を行うことができる。
(組み合わせ)
A B C D
1 ○○××
2 ○×○×
3 ×○××
4 ××○○
5 ×××○
正解 3
A:×運営適正委員会は、苦情について申し出があったときは、その相談に応じ、申し出人に必要な助言をし、当該苦情に係る事情を調査することとされている。従って利用者が直接運営適正委員会に解決の為の申し出を行うことができる。従って間違い!
考えてみるとけっこう社会福祉法からの問題は多いですね。この法律は膨大なものではありませんから、大事なところにはマークをいれて覚えておいたほうがいいですね。何と言っても概論ではキーとなる法律です。
B:○その通り覚えておきましょう
C:×生活保護での審査請求は市町村ではなく都道府県です。覚えておきましょう。審査請求の期間は、不服の対象となる処分があったことを知った日の翌日から起算して60日以内となっています。都道府県知事の裁決に不服がある場合は、厚生労働大臣に再審査請求をすることになります。この場合は30日以内がその期限となります。
D:×これは目新しい問題ですね・・国民年金法では市町村長ではなく社会保険審査官に審査請求をすることになります。社会保険審査官は厚生労働大臣の所轄ですからいわば国にたいして審査請求しているともいえますね。