地方におけるケアマネと情報化のかかわり

(その4)コンピュータ化への障壁

いざ、地方で空き情報システムを立ち上げようとするときにもっとも障害となる点は、地方ではケアマネジメント・介護サービスを担う中核が公的機関あるいは準公的機関とならざるを得ないことです。

公的機関同志のコンピュータネットワーク化はある程度進んでいます。たとえば戸籍関連の作業は役場と役場支所の間をコンピュータネットワークで結んでいるはずです。ところが介護保険のような新しい仕事について、直ちにネットワーク化することは困難と考えられます。なぜなら役場の仕事は予算にしばられていますし、新規の事業をはじめるにあたっては議会の承諾を得る必要があります。前例のない事に新たに着手するには首長の理解と指導力が必要です。

民間

公的機関

事業の計画

いつでも

前年の9月中

事業の着手

いつでも

翌年の4月以降

新規事業

需要があれば
前例がないと説得が困難

コンピュータ化

必要があれば
決定権を持つ幹部はコンピュータに弱い(?)

奈井江町を中心とした空知中部の連合体ではすでに介護のためのコンピュータネットワークが作られているそうです。しかし道内のかなりの町村ではケアマネジメントのためのコンピュータネットワーク作りはまだ議論すらなされていないと思われます。仮にネットワークを作る話があっても、議会・予算のことを考えれば来年4月の介護保険実施に間に合わせるのは大変なことです。まして介護保険はたてまえとして民間活力利用をうたっておりますので、保険者たる役場が積極的にケアマネジメントに介入することについても一部から批判が出ると予想されます。(個人的には公的機関によるケアマネジメントは、ケアサービスを受ける要介護者が特定の民間事業者に囲い込まれることをチェックする点で公平性確保のためには有力な方法だと考えますが)。

では、このようにあらたなコンピュータネットワーク作りが困難だとすれば、今ある資源を利用して空き情報システムをつくるにはどうすればよいでしょうか。

希望が持てる点がひとつあります。それは前述の介護報酬請求のためにケアマネジメント機関・サービス提供事業者ともにかならずパーソナルコンピュータを導入しているはずである、という点です。

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