老企第44号
平成12年3月17日

各都道府県介護保険主管部(局)長 殿

厚生省老人保健福祉局企画課長

介護老人保健施設の人員、施設及び設備並びに運営に関する基準について

介護保険法(平成9年法律第123号。以下「法」という。)第97条第1項から第3項までの規定に基づく「介護老人保健施設の人員、施設及び設備並びに運営に関する基準」(以下「基準省令」という。)については、平成11年3月31日付け厚生省令第40号をもって公布され、平成12年4月1日より施行されるところであるが、基準の趣旨及び内容は下記のとおりであるので、御了知の上、管下市町村、関係団体、関係機関等にその周知徹底を図るとともに、その運用に遺憾のないようにされたい。

第1 基準省令の性格

1 基準省令は、介護老人保健施設がその目的を達成するために必要な最低限の基準を定めたものであり、介護老人保健施設の開設者は、常にその施設、設備及び運営の向上に努めなければならないこと。

2 基準省令を満たさない場合には、法第94条第1項の規定による開設許可は受けられず、また、運営開始後、基準を下回るに至った場合、法第101条の規定による設備の使用制限等、法第102条の規定による管理者の変更命令又は法第103条の規定による業務運営の改善命令等の対象となり、これらの命令に従わない場合には法第104条の規定により許可を取り消すこができるものであること。

3運営に関する基準に従って施設の運営をすることができなくなったことを理由として開設許可が取り消された直後に再度当該施設から介護老人保健施設の開設許可の申請がなされた場合には、当該施設が運営に関する基準を遵守することを確保することに特段の注意が必要であり、その改善状況等が確認されない限り開設許可を行わないものとすること。

第2 人員に関する基準(基準省令第2条)

1医師

(1)介護老人保健施設においては、常勤の医師が1人以上配置されていなけばならないこと。したがって、入所者数100人未満の介護老人保健施設にあっても常勤の医師1人の配置が確保されていなければならないこと。また、例えば、入所者数150人の介護老人保健施設にあっては、常勤の医師1人のほか、常勤医師0.5人に相当する非常勤医師の配置が必要となること。ただし、前段に規定する介護老人保健施設(以下「基本型介護老人保健施設」という。)の開設者が当該介護老人保健施設と一体として運営するものとして開設する介護老人保健施設(以下「分館型介護老人保健施設」という。)においては、当該分館型介護老人保健施設と一体として運営される基本型介護老人保健施設に配置されている医師が配置されるときに限り、非常勤職員をもって充てても差し支えないこと。例えば入所者30人の分館型介護老人保健施設にあっては、0.3人分の勤務時間を確保すること。

(2)(1)にかかわらず、病院又は診療所(医師について介護老人保健施設の人員基準を満たす余力がある場合に限る。)と併設されている介護老人保健施設にあっては、必ずしも常勤の医師の配置は必要でないこと。したがって、複数の医師が勤務する形態であっても、それらの勤務延時間数が基準に適合すれば差し支えないこと。ただし、このうち1人は、入所者全員の病状等を把握し施設療養全体の管理に責任を持つ医師としなければならないこと。なお、兼務の医師については、日々の勤務体制を明確に定めておくこと。

2薬剤師

薬剤師の員数については、入所者の数を300で除した数以上が標準であること。

3看護婦、看護士、准看護婦、准看護士及び介護職員
看護婦、看護士、准看護婦若しくは准看護士(以下「看護職員」という。)又は介護職員(以下「看護・介護職員」という。)は、直接入所者の処遇に当たる職員であるので、当該介護老人保健施設の職務に専ら従事する常勤職員でなければならないこと。ただし、業務の繁忙時に多数の職員を配置する等により業務の円滑化が図られる場合は、次の2つの条件を満たす場合に限り、その一部に非常勤職員を充てても差し支えないこと。
(1)常勤職員である看護・介護職員が基準省令によって算定される員数の7割程度確保されていること。
(2)常勤職員に代えて非常勤職員を充てる場合の勤務時間数が常勤職員を充てる場合の勤務時間数以上であること。
4支援相談員

(1)支援相談員は、保健医療及び社会福祉に関する相当な学識経験を有し、次に掲げるような入所者に対する各種支援及び相談の業務を行うのにふさわしい常勤職員を充てること。
@ 入所者及び家族の処遇上の相談
A レクリエーション等の計画、指導
B 市町村との連携
C ボランティアの指導

(2)支援相談員の員数は、基準省令により算定した数以上の常勤職員を配置しなければならないこと。ただし、分館型介護老人保健施設においては、基本型介護老人保健施設に配置されている支援相談員が配置されるときに限り、非常勤職員をもって充てて差し支えないこと。例えば入所者30人の分館型介護老人保健施設にあっては、0.3人分の勤務時間を確保すること。

5 栄養士
入所定員が100人以上の施設においては常勤職員を1人以上配置することとしたものである。ただし、同一敷地内にある病院等の栄養士がいることにより、栄養指導等の業務に支障がない場合には、兼務職員をもって充てても差し支えないこと。
なお、100人未満の施設においても常勤職員の配置に努めるべきであること。

6 介護支援専門員

(1)介護支援専門員については、その業務に専ら従事する常勤の者を1名以上配置していなければならないこと。したがって、入所者数が100人未満の介護老人保健施設にあっても1人は配置されていなければならないこと。また、介護支援専門員の配置は、入所者数が100人又はその端数を増すごとに1人を標準とするものであり、入所者数が100人又はその端数を増すごとに増員することが望ましいこと。ただし、当該増員に係る介護支援専門員については、非常勤とすることを妨げるものではない。

(2)介護支援専門員は、入所者の処遇に支障がない場合は、当該介護老人保健施設の他の職務に従事することができるものとする。この場合、兼務を行う当該介護支援専門員の配置により、介護支援専門員の配置基準を満たすこととなると同時に、兼務を行う他の職務に係る常勤換算上も、当該介護支援専門員の勤務時間の全体を当該他の職務に係る勤務時間として算入することができるものとする。
なお、居宅介護支援事業者の介護支援専門員との兼務は認められないものである。ただし、増員に係る非常勤の介護支援専門員については、この限りでない。

7 調理員、事務員等
(1)調理員、事務員等については、介護老人保健施設の設置形態等の実情に応じた適当数を配置すること。

(2)調理員、事務員等については、併設施設との職員の兼務や業務委託を行うこと等により適正なサービスを確保できる場合にあっては配置しない場合があっても差し支えないこと。

8 経過措置

(1)平成17年3月31日までの間の看護・介護職員の員数は、常勤換算方法で、入所者の数が3.6又はその端数を増すごとに1人以上であれば差し支えないこととされている(基準省令附則第2条)が、できるだけ早期に基準省令本則により算定した員数を配置できるように努めるものとすること。なお、本措置が既設の施設に対する経過措置として設けられた趣旨に鑑み、平成12年4月1日以降に新たに開設される施設にあっては、可能な限り、開設当初から当該職員の配置を3:1以上とすることが望ましいこと。

(2)平成15年3月31日までの間は、介護支援専門員の配置については、 介護支援専門員に代えて、看護若しくは介護の提供に係る計画等の作成に関し経験のある看護職員若しくは支援相談員を充てることとして差し支えないものであること(基準省令附則第3条)。

9 用語の定義

 (1)「常勤換算方法」

当該介護老人保健施設の従業者の勤務延時間数を当該施設において常勤の従業者が勤務すべき時間数(1週間に勤務すべき時間数が32時間を下回る場合は32時間を基本とする。)で除することにより、当該施設の従業者の員数を常勤の従業者の員数に換算する方法をいうものである。この場合の勤務延時間数は、当該施設の介護保健施設サービスに従事する勤務時間の延べ数であり、例えば、当該施設が通所リハビリテーションの指定を重複して受ける場合であって、ある従業者が介護保健施設サービスと指定通所リハビリテーションを兼務する場合、当該従業者の勤務延時間数には、介護保健施設サービスに係る勤務時間数だけを算入することとなるものであること。

 (2)「勤務延時間数」

勤務表上、介護保健施設サービスの提供に従事する時間として明確に位置付けられている時間の合計数とする。なお、従業者1人につき、勤務延時間数に算入することができる時間数は、当該施設において常勤の従業者が勤務すべき勤務時間数を上限とすること。

 (3)「常勤」

当該介護老人保健施設における勤務時間数が、当該施設において定められている常勤の従業者が勤務すべき時間数(1週間に勤務すべき時間数が32時間を下回る場合は32時間を基本とする。)に達していることをいうものである。当該施設に併設される事業所の職務であって、当該施設の職務と同時並行的に行われることが差し支えないと考えられるものについては、それぞれに係る勤務時間数の合計が常勤の従業者が勤務すべき時間数に達していれば、常勤の要件を満たすものであることとする。例えば、介護老人保健施設に指定通所リハビリテーション事業所が併設されている場合、介護老人保健施設の管理者と指定通所リハビリテーション事業所の管理者を兼務している者は、その勤務時間数の合計が所定の時間数に達していれば、常勤要件を満たすこととなる。

 (4)「専ら従事する」

原則として、サービス提供時間帯を通じて介護保健施設サービス以外の職務に従事しないことをいうものである。この場合のサービス提供時間帯とは、当該従業者の当該施設における勤務時間をいうものであり、当該従業者の常勤・非常勤の別を問わない。

 (5)「前年度の平均値」

@ 基準省令第2条第2項における「前年度の平均値」は、当該年度の前年度(毎年4月1日に始まり翌年3月31日をもって終わる年度とする。以下同じ。)の入所者延数を当該前年度の日数で除して得た数とする。この算定に当たっては、小数点第2位以下を切り上げるものとする。
A 新設(事業の再開の場合を含む。以下同じ。)又は増床分のベッドに関して、前年度において1年未満の実績しかない場合(前年度の実績が全くない場合を含む。)の入所者数は、新設又は増床の時点から6月未満の間は、便宜上、ベッド数の90%を入所者数とし、新設又は増床の時点から6月以上1年未満の間は、直近の6月における入所者延数を6月間の日数で除して得た数とし、新設又は増床の時点から1年以上経過している場合は、直近1年間における入所者延数を1年間の日数で除して得た数とする。
B 減床の場合には、減床後の実績が3月以上あるときは、減床後の入所者延数を延日数で除して得た数とする。

第3 施設及び設備に関する基準


 1 一般原則

(1)介護老人保健施設の施設及び構造設備については、基準省令のほか建築基準法、消防法等の関係規定を遵守するとともに、日照、採光、換気等について十分考慮したものとし、入所者の保健衛生及び防災につき万全を期すこと。

(2)介護老人保健施設の環境及び立地については、入所者の療養生活を健全に維持するため、ばい煙、騒音、振動等による影響を極力排除するとともに、交通、水利の便等を十分考慮したものとすること。

 2 施設に関する基準

(1)基準省令第3条第1項各号に掲げる施設(設置の義務づけられているもの)については、次の点に留意すること。
@ 機能訓練室、談話室、食堂及びレクリエーション・ルームを区画せず、一つのオープンスペースとすることは差し支えないが、入所者に対する介護保健施設サービスの提供に支障を来さないよう全体の面積は各々の施設の基準面積を合算したもの以上とすること。
A施設の兼用については、各々の施設の利用目的に沿い、かつ、入所者に対する介護保健施設サービスの提供に支障を来さない程度で認めて差し支えないものであること。したがって、談話室とレクリエーション・ルームの兼用並びに洗面所と便所、洗濯室と汚物処理室が同一の区画にあること等は差し支えないこと。

(2)各施設については、基準省令第3条第2項に定めるもののほか、次の点に留意すること。
@ 療養室
療養室に洗面所を設置した場合に必要となる床面積及び収納設備の設置に要する床面積は、基準面積に含めて差し支えないものであること。
A 診察室医師が診察を行うのに適切なものとすること。
B 機能訓練室
介護老人保健施設で行われる機能訓練は、理学療法士又は作業療法士 の指導下における運動機能やADL(日常生活動作能力)の改善を中心 としたものであるので、これに必要な器械・器具を備えること。
C 談話室
談話室には、入所者とその家族等が談話を楽しめるよう、ソファー、テレビその他の教養娯楽設備等を備えること。
D 浴室
入浴に全面的な介助を必要とする者に必要な特別浴室については、その出入りに当たってストレッチャー等の移動に支障を生じないよう構造設備上配慮すること。
E サービス・ステーション
看護・介護職員が入所者のニーズに適切に応じられるよう、療養室のある階ごとに療養室に近接して設けること。
F 調理室
食器、調理器具等を消毒する設備、食器、食品等を清潔に保管する設備並びに防虫及び防鼠の設備を設けること。
G 汚物処理室
汚物処理室は、他の施設と区別された一定のスペースを有すれば足りること。
H その他
イ 焼却炉、浄化槽、その他の汚物処理設備及び便槽を設ける場合には、 療養室、談話室、食堂、調理室から相当の距離を隔てて設けること。
ロ 床面積を定めない施設については、各々の施設の機能を十分に発揮し得る適当な広さを確保するよう配慮すること。
ハ 薬剤師が介護老人保健施設で調剤を行う場合には、薬剤師法の規定により、調剤所が必要となること。

(3)基準省令第3条第3項は、同条第1項各号に定める各施設が当該介護老人保健施設の用に専ら供するものでなければならないこととしたものであるが、介護老人保健施設と病院、診療所又は指定介護老人福祉施設等の社会福祉施設(以下「病院等」という。)とが併設される場合(同一敷地内にある場合、又は公道をはさんで隣接している場合をいう。以下同じ。)に限り、次に掲げるところにより、同条第3項ただし書が適用されるものであるので、併設施設(介護老人保健施設に併設される病院等をいう。以下同じ。)と施設を共用する場合の運用に当たっては留意すること。
@ 次に掲げる施設については、併設施設との共用は認められないものであること。
イ 療養室
ロ 談話室
ハ サービス・ステーション
ニ 洗面所
ホ 便所
A@に掲げる施設以外の施設は、介護老人保健施設と併設施設双方の施設基準を満たし、かつ、当該介護老人保健施設の余力及び当該施設における介護保健施設サービス等を提供するための当該施設の使用計画(以下「利用計画」という。)からみて両施設の入所者の処遇に支障がない場合に限り共用を認めるものであること。
B 共用する施設についても介護老人保健施設としての許可を与えることとなるので、例えば、併設の病院と施設を共用する場合には、その共用施設については医療法上の許可と介護老人保健施設の許可とが重複するものであること。

(4)設置が義務づけられている施設のほか、家族相談室、ボランティア・ルーム、家族介護教室は、介護老人保健施設の性格等からみて設置が望ましいので、余力がある場合には、その設置につき配慮すること。
 
3 構造設備の基準

基準省令第4条に定める介護老人保健施設の構造設備については、次の点に留意すること。

 (1)耐火構造

同条第1号本文にいう建物は、療養室、談話室、食堂、浴室、レクリエーション・ルーム、便所等入所者が日常継続的に使用する施設(以下「療養室等」という。)をいう。

 (2)エレベーター

介護老人保健施設の入所者が寝たきり老人等介護を必要とする老人であることから、療養室等が2階以上の階にある場合は、屋内の直通階段及びエレベーターの設置を義務づけたこと。

 (3)階段

階段の傾斜は緩やかにするとともに、手すりは原則として両側に設けること。

 (4)廊下

@ 廊下の幅は、内法によるものとし、手すりを含むものであること。
A 手すりは、原則として両側に設けること。
B 中廊下は、廊下の両側に療養室等又はエレベーター室のある廊下をいうこと。

(5)入所者の身体の状態等に応じた介護保健施設サービスの提供を確保するため、車椅子、ギャッチベッド、ストレッチャー等を備えること。

(6)家庭的な雰囲気を確保するため、木製風のベッド、絵画、鉢植え等の配置や壁紙の工夫等に配慮するとともに、教養・娯楽のための本棚、音響設備、理美容設備等の配置に努めること。

(7)車椅子等による移動に支障のないよう床の段差をなくすよう努めること。

(8)介護老人保健施設と病院等の施設を同一建物として建築する場合は、表示を明確にすること、壁や廊下の色等を変えること等により施設の区分を明確にすること。ただし、介護老人保健施設と病院等にそれぞれ専用の入口が設けられている場合については、それぞれに通じる建物の玄関、ホール、階段、エレベーター、廊下等は共用できるものであること。

(9)同一階に、病院等と介護老人保健施設とが共存するものは原則として認められないこと。ただし、病院等又は介護老人保健施設の入所者が直接利用しない施設はこの限りでないこと。

(10)基準省令第3条第7号に定める「消火設備その他の非常災害に際して必要な設備」とは、消防法第17条の規定に基づく消防用設備等及び風水害、地震等の災害に際して必要な設備をいうこと。

4経過措置

(1)介護保険法施行法第8条第1項の規定により開設の許可を受けたとみなされる介護老人保健施設(以下「みなし介護老人保健施設」という。)のうち、老人保健施設の施設及び設備、人員並びに運営に関する基準の一部を改正する省令(平成6年厚生省令第1号)附則第2項の規定(病床転換に係る老人保健施設の床面積の特例)の適用を受け、基準の施行の際老人保健施設として開設していたものについては、療養室の入所者一人当たりの床面積は6平方メートル以上で差し支えないこととした(基準省令附則第4条)。

(2)みなし介護老人保健施設であって、平成4年9月30日以前に老人保健施設として開設していたものについては、食堂の入所者一人当たりの床面積については1平方メートルで差し支えないこととした(基準省令附則第5条)。

(3)みなし介護老人保健施設であって老人保健施設の施設及び設備、人員並びに運営に関する基準(昭和63年厚生省令第1号)附則第3条(病床転換に係る老人保健施設のエレベーターの特例)の適用を受け、基準の施行の際老人保健施設として開設していたものの構造設備(当該適用に係る部分に限る。)については、エレベーターの設置を義務づけないこととした(基準省令附則第6条)。

(4)みなし介護老人保健施設であって、老人保健施設の施設及び設備、人員並びに運営に関する基準附則第2条第1項の規定(病床転換に係る老人保健施設の廊下幅の特例)の適用を受け、平成12年1月19日までに開設したものについては、廊下幅の規定は適用しないこととした(基準省令附則第7条)。

第4 運営に関する基準

 1 内容及び手続の説明及び同意

基準省令第5条は、入所申込者に対し適切な介護保健施設サービスを提供するため、その提供の開始に際し、あらかじめ、入所申込者又はその家族に対し、当該介護老人保健施設の運営規程の概要、従業者の勤務体制、事故発生時の対応、苦情処理の体制等の入所申込者がサービスを選択するために必要な重要事項をわかりやすい説明書やパンフレット等の文書を交付して懇切丁寧に説明を行い、当該施設から介護保健施設サービスの提供を受けることにつき同意を得なければならないこととしたものであること。なお、当該同意については、入所申込者及び介護老人保健施設双方の保護の立場から書面によって確認することが望ましいものである。

 2 受給資格等の確認

(1)基準省令第6条第1項は、介護保健施設サービスの利用に係る費用につき保険給付を受けることができるのは、要介護認定を受けている被保険者に限られるものであることを踏まえ、介護老人保健施設は、介護保健施設サービスの提供の開始に際し、入所申込者の提示する被保険者証によって、被保険者資格、要介護認定の有無及び要介護認定の有効期間を確かめなければならないこととしたものである。

(2)同条第2項は、入所申込者の被保険者証に、介護保健施設サービス等の適切かつ有効な利用等に関し当該被保険者が留意すべき事項に係る認定審査会意見が記載されているときは、これに配慮して介護保健施設サービスを提供するように努めるべきことを規定したものである。

 3 入退所

(1)基準省令第7条第1項は、介護老人保健施設は、看護、医学的管理の下における介護及び機能訓練等が必要な要介護者を対象とするものであることを規定したものである。

(2)同条第2項は、原則として、利用申込に対して応じなければならないことを規定したものであり、特に、要介護度の多寡を理由にサービスの提供を拒否することを禁止するものである。提供を拒むことのできる正当な理由がある場合とは、@ベッドが空いていない場合、A入院治療の必要がある場合、その他入所者に対し自ら適切な介護保健施設サービスを提供することが困難な場合である。

(3)同条第3項は、入所申込者の病状からみて、その病状が重篤なために介護老人保健施設での対応が困難であり、病院又は診療所での入院治療が必要であると認められる場合には、適切な病院又は診療所を紹介する等の適切な措置を速やかに講じなければならないものであること。

(4)同条第4項は、基準省令第1条(基本方針)を踏まえ、入所者の家族等に対し、居宅における生活への復帰が見込まれる場合には、家庭での療養へ移行する必要性があること、できるだけ面会に来ることが望ましいこと等の説明を行うとともに、入所者に対して適切な介護保健施設サービスが提供されるようにするため、入所者の心身の状況、病歴、家族の状況等の把握に努めるべきことを規定したものである。

(5)同条第5項は、入所者について、その病状及び身体の状態に照らし、退所して居宅において生活ができるかどうかについて定期的に検討しなければならないこととされたものであること。医師、薬剤師(配置されている場合に限る。)、看護・介護職員、支援相談員、介護支援専門員等による居宅における生活への復帰の可否の検討は、入所後早期に行うこと。また、その検討は病状及び身体の状態に応じて適宜実施すべきものであるが、少なくとも3月ごとには行うこと。これらの定期的な検討の経過及び結果は記録しておくとともに、基準省令第38条の規定に基づきその記録は2年間保存しておくこと。

(6)同条第7項は、入所者の退所に際しての、本人又は家族等に対する家庭での介護方法等に関する適切な指導、病院又は診療所の医師及び居宅介護支援事業者等に対する情報提供について規定したものであること。また、退所が可能になった入所者の退所を円滑に行うために、介護支援専門員及び支援相談員が中心となって、退所後の主治の医師及び居宅介護支援事業者等並びに市町村と十分連携を図ること。

 4 要介護認定の申請に係る援助

(1)基準省令第8条第1項は、要介護認定の申請がなされていれば、要介護認定の効力が申請時に遡ることにより、介護保健施設サービスの利用に係る費用が保険給付の対象となりうることを踏まえ、介護老人保健施設は、入所申込者が要介護認定を受けていないことを確認した場合には、要介護認定の申請が既に行われているか否かを確認し、申請が行われていない場合は、当該入所申込者の意向を踏まえて速やかに市町村に当該申請が行われるよう必要な援助を行わなければならないこととしたものである。

(2)同条第2項は、要介護認定の有効期間が原則として6月ごとに終了し、継続して保険給付を受けるためには要介護更新認定を受ける必要があること及び当該認定が申請の日から30日以内に行われることとされていることを踏まえ、介護老人保健施設は、市町村に要介護認定の更新の申請が、遅くとも当該入所者が受けている要介護認定の有効期間が終わる30日前にはなされるよう、必要な援助を行わなければならないこととしたものである。

 5 健康手帳への記載

基準省令第10条は、提供した介護保健施設サービスに関して、その記録を入所者の健康手帳の医療の記録に係るページに記載しなければならないことを定めたものである。なお、健康手帳の医療の記録に係るページの様式については、「健康手帳の医療の受給資格を証するページ及び医療の記録に係るページの様式」(昭和57年11月厚生省告示第192号)により定められているものである。
(1)「医療機関名、所在地・電話」の欄には、介護老人保健施設の名称、所在地及び電話番号を記載すること。
(2)「外来・入退院年月日」の欄には、入退所年月日を記載すること。

 6 利用料等の受領

(1)基準省令第11条第1項は、法定代理受領サービスとして提供される介護保健施設サービスについての入所者負担として介護保健施設サービスにかかる費用の額のうち食事の提供に要する費用の額を除いた額の1割(法第50条又は第69条の規定の適用により保険給付の率が9割でない場合については、それに応じた割合)及び食事の提供に要した費用について、いわゆる食事の標準負担額の支払を受けなければならないことを規定したものである。

(2)同条第2項は、入所者間の公平及び入所者の保護の観点から、法定代理受領サービスでない介護保健施設サービスを提供した際にその入所者から支払を受ける利用料の額と法定代理受領サービスである介護保健施設サービスに係る費用の額の間に、一方の管理経費の他方への転嫁等による不合理な差額を設けてはならないこととしたものである。

(3)同条第3項は、介護保健施設サービスの提供に関して、
@ 厚生大臣の定める基準に基づき入所者が選定する特別な療養室の提供を行ったことに伴い必要となる費用
A 入所者が選定する特別な食事の提供を行ったことに伴い必要となる費 用
B 理美容代
C 前各号に掲げるもののほか、介護保健施設サービスにおいて提供される便宜のうち、日常生活においても通常必要となるものに係る費用であって、その入所者に負担させることが適当と認められるもの
については、前2項の利用料のほかに入所者から支払を受けることができることとし、保険給付の対象となっているサービスと明確に区分されない曖昧な名目による費用の徴収は認めないこととしたものである。なお、上記Cの費用の具体的な範囲については、別に通知するところによるものである。


 7 保険給付の請求のための証明書の交付


基準省令第12条は、入所者が保険給付の請求を容易に行えるよう、介護老人保健施設は、法定代理受領サービスでない介護保健施設サービスに係る利用料の支払を受けた場合は、提供した介護保健施設サービスの内容、費用の額その他入所者が保険給付を請求する上で必要と認められる事項を記載したサービス提供証明書を入所者に対して交付しなければならないこととしたものである。


 8 施設サービス計画の作成

(1)基準省令第13条第2項は、計画担当介護支援専門員は、サービス計画策定に当たり、入所者又はその家族と会い、入所者の心身の状況、病歴及び家庭環境等を把握し、入所者が自立した日常生活若しくは家庭での生活を可能とするために必要な支援や解決すべき課題を把握しなければならないこととしたものである。

(2)同条第3項は、計画担当介護支援専門員は、入所者及びその家族の希望、入所者について把握された課題、並びに施設の医師の治療方針に基づき、介護保健施設サービスの提供に当たる従業者(医師、理学療法士、作業療法士、看護・介護職員、栄養士等)による検討を踏まえ、サービスの目標及び達成時期、サービスの内容、サービスを提供する上で留意すべき事項等を記載したサービス計画の原案を作成しなければならないこととしたものである。介護老人保健施設においては、日常生活全てが訓練であることから、各種サービス(医療、リハビリテーション、看護、介護、食事等)に係る目標を具体的に設定する必要があり、また、達成時期についても、サービス毎に入所者の状況に応じて、短期又は中長期に設定する必要があるものとしたものである。

(3)同条第4項は、施設サービス計画の原案について、入所者に対して説明し、同意を得ることを義務づけているが、必要に応じて入所者の家族に対しても説明を行い同意を得ることが望ましいことに留意されたい。

(4)同条第5項は、計画担当介護支援専門員は、施設サービス計画の作成後においても介護保健施設サービスの提供に当たる従業者との連絡を継続的に行い、施設サービス計画の実施状況を把握するとともに、必要に応じて施設サービス計画の変更を行うこととしたものである。その際、介護保健施設サービスの提供に当たる医師、理学療法士、作業療法士、看護・介護職員、栄養士等により、各入所者毎に実施状況を評価した上で、新たなサービス目標の設定とそれに基づく計画の検討が行われることが必要であること。
なお、効果的なサービスの提供を行うため、サービス提供に当たる従業者が各々に把握した入所者に係る情報をお互いに共有し、相互に連携を図りながら各種サービスを提供されることが重要であること。

 9 介護保健施設サービスの取扱方針

基準省令第14条第4項において、当該入所者又は他の入所者等の生命又は身体を保護するため緊急やむを得ない場合を除き、身体的拘束その他入所者の行動を制限する行為を行ってはならない旨を定めたところであるが、緊急やむを得ず身体拘束等を行う場合には、介護老人保健施設の医師は、その態様及び時間、その際の利用者の心身の状況、緊急やむを得なかった理由を診療録に記載しなければならないものとすること。


 10 診療の方針

基準省令第15条は、介護老人保健施設の医師が、常に入所者の病状や心身の状態の把握に努めるべきこととしたものであり、特に、診療に当たっては、的確な診断を基とし、入所者に対して必要な検査、投薬、処置等を妥当適切に行うこと。

 11 必要な医療の提供が困難な場合等の措置等


(1)基準省令第16条は、介護老人保健施設の入所者に対しては、施設の医師が必要な医療を行うことを定めたものであるが、入所者の病状からみて当該介護老人保健施設において自ら必要な医療を提供することが困難であると認めた場合は、協力病院その他の病院又は診療所への入院のための措置を講じたり、又は往診や通院により他の医師の対診を求める等により入所者の診療について適切な措置を講じなければならないとものとすること。

(2)特に、入所者の病状が急変した場合などのように入院による治療を必要とする場合には、協力病院等の病院へ速やかに入院させることが必要であること。

(3)介護老人保健施設入所者に係る往診及び通院(対診)については、別に通知するところによるものであること。

 12 機能訓練

基準省令第17条は、介護老人保健施設の入所者に対する機能訓練については、医師、理学療法士若しくは作業療法士又は言語聴覚士(理学療法士又は作業療法士に加えて配置されている場合に限る。)の指導のもとに計画的に行うべきことを定めたものであり、特に、訓練の目標を設定し、定期的に評価を行うことにより、効果的な機能訓練が行えるようにすること。
なお、機能訓練は入所者1人について、少なくとも週2回程度行うこと。

 13 看護及び医学的管理の下における介護(基準省令第18条)


(1)入浴の実施に当たっては、入所者の自立支援に資するよう、その心身の状況を踏まえ、特別浴槽を用いた入浴や介助浴等適切な方法により実施すること。
なお、入所者の心身の状況から入浴が困難である場合には、清しきを実施するなどにより身体の清潔保持に努めること。

(2)排せつに係る介護に当たっては、入所者の心身の状況や排せつ状況などをもとに、トイレ誘導や入所者の自立支援に配慮した排せつ介助など適切な方法により実施すること。なお、おむつを使用せざるを得ない場合には、入所者の心身及び活動状況に適したおむつを提供し、適切におむつ交換を実施すること。

 14 食事の提供(基準省令第19条)

(1)入所者の栄養状態、身体の状況並びに病状及び嗜好を定期的に把握し、それに基づき計画的な食事の提供を行うこと。

(2)調理は、あらかじめ作成された献立に従って行うとともに、その実施状況を明らかにしておくこと。

(3)入所者の食事は、適切な衛生管理がなされたものでなければならないこと。

(4)食事時間は適切なものとし、夕食時間は午後6時以降とすることが望ましいが、早くても午後5時以降とすること。

 15 入所者に関する市町村への通知

基準省令第22条第1号及び第2号は、偽りその他不正の行為によって保険給付を受けた者及び自己の故意の犯罪行為若しくは重大な過失等により、要介護状態等若しくはその原因となった事故を生じさせるなどした者については、市町村が、介護保険法第22条第1項に基づく既に支払った保険給付の徴収又は法第64条に基づく保険給付の制限を行うことができることに鑑み、介護老人保健施設が、その入所者に関し、保険給付の適正化の観点から市町村に通知しなければならない事由を列記したものである。

 16 管理者による管理(基準省令第23条)

介護老人保健施設の管理者は常勤であり、かつ、原則として専ら当該介護老人保健施設の管理業務に従事するものである。ただし、以下の場合であって、当該介護老人保健施設の管理業務に支障がないときは、他の職務を兼ねることができるものとする。
(1)当該介護老人保健施設の従業者としての職務に従事する場合
(2)当該介護老人保健施設と同一敷地内にある他の事業所、施設等の管理者又は従業者としての職務に従事する場合であって、特に当該介護老人保健施設の管理業務に支障がないと認められる場合

 17 管理者の責務

基準省令第24条は、介護老人保健施設の管理者の責務を、介護老人保健施設の従業者の管理及び介護保健施設サービスの実施状況の把握その他の管理を一元的に行うとともに、当該介護老人保健施設の従業者に基準省令の第4章の規定を遵守させるため必要な指揮命令を行うこととしたものである。

 18 運営規程

基準省令第25条は、介護老人保健施設の適正な運営及び入所者に対する適切な介護保健施設サービスの提供を確保するため、同条第1号から第7号までに掲げる事項を内容とする規程を定めることを義務づけたものであるが、特に次の点に留意すること。

 (1)施設の利用に当たっての留意事項(第5号)

入所者が介護保健施設サービスの提供を受ける際に入所者が留意すべき事項(入所生活上のルール、設備の利用上の留意事項等)を指すものであること

 (2)非常災害対策(第6号)

20の非常災害に関する具体的計画を指すものであること

 19 勤務体制の確保等

基準省令第26条は、入所者に対する適切な介護保健施設サービスの提供を確保するため、職員の勤務体制等について規定したものであるが、このほか次の点に留意すること。

(1)同条第1項は、介護老人保健施設ごとに、原則として月ごとの勤務表を作成し、従業者の日々の勤務時間、常勤・非常勤の別、看護・介護職員等の配置等を明確にすることを定めたものであること。

(2)夜間の安全の確保及び入所者のニーズに対応するため、看護・介護職員による夜勤体制を確保すること。また、休日、夜間等においても医師との連絡が確保される体制をとること。

(3)同条第2項は、介護保健施設サービスは、当該施設の従業者によって提供することを原則としたものであるが、調理、洗濯等の入所者の処遇に直接影響を及ぼさない業務については、第三者への委託等を行うことを認めるものであること。

(4)同条第3項は、介護老人保健施設の各職種にわたって、統一した運営方針のもとに介護保健施設サービスの提供を行い、かつ、その向上を図るため、計画的に職員の研修の機会を確保するよう努めるものとしたものであること。

 20 非常災害対策


(1)基準省令第28条は、介護老人保健施設の入所者の特性に鑑み、非常災害に際して必要な具体的計画の樹立、避難、救出訓練の実施等の対策に万全を期さなければならないこととしたものであること。

(2)「非常災害に関する具体的計画」とは、消防法施行規則第3条に規定する消防計画及び風水害、地震等の災害に対処するための計画をいうこと。なお、この場合、消防計画の樹立及びこれに基づく消防業務の実施は、消防法第8条の規定による防火管理者に行わせること。

21 衛生管理等


基準省令第29条は、介護老人保健施設の必要最低限の衛生管理等を規定したものであるが、このほか、次の点に留意すること。

(1)介護老人保健施設は、食中毒及び感染症の発生を防止するための措置等について、必要に応じ保健所の助言、指導を求めるとともに、密接な連携を保つこと。

(2)医薬品の管理については、当該介護老人保健施設の実情に応じ、地域の薬局の薬剤師の協力を得て行うことも考えられること。

(3)空調設備等により施設内の適温の確保に努めること。

 22 協力病院

基準省令第30条は、介護老人保健施設の入所者の病状の急変等に対応するため、あらかじめ1以上の協力病院を定めておくとともに、歯科医療の確保の観点からあらかじめ協力歯科医療機関を定めておくよう努めなければならない旨規定したものであること。なお、その選定に当たっては、必要に応じ、地域の関係団体の協力を得て行われるものとするほか、次の点に留意すること。

(1)協力病院は、介護老人保健施設から自動車等による移送に要する時間がおおむね20分以内の近距離にあること。

(2)当該病院が標榜している診療科名等からみて、病状急変等の事態に適切に対応できるものであること。

(3)協力病院に対しては、入所者の入院や休日夜間等における対応について円滑な協力を得るため、あらかじめ必要な事項を取り決めておくこと。

23 秘密保持等


(1)基準省令第32条第1項は、介護老人保健施設の従業者に、その業務上知り得た入所者又はその家族の秘密の保持を義務づけたものであること。

(2)同条第2項は、介護老人保健施設に対して、過去に当該介護老人保健施設の従業者であった者が、その業務上知り得た入所者又はその家族の秘密を漏らすことがないよう必要な措置を取ることを義務づけたものであり、具体的には、介護老人保健施設は、当該介護老人保健施設の従業者が、従業者でなくなった後においてもこれらの秘密を保持すべき旨を、従業者との雇用時等に取り決め、例えば違約金についての定めをおくなどの措置を講ずべきこととするものであること。

(3)同条第3項は、入所者の退所後の居宅における居宅介護支援計画の作成等に資するために、居宅介護支援事業者等に対して情報提供を行う場合には、あらかじめ、文書により入所者から同意を得る必要があることを規定したものであること。

 24 居宅介護支援事業者に対する利益供与等の禁止

(1)基準省令第33条第1項は、居宅介護支援事業者による介護保険施設の紹介が公正中立に行われるよう、介護老人保健施設は、居宅介護支援事業者又はその従業者に対し、要介護被保険者に対して当該施設を紹介することの対償として、金品その他の財産上の利益を供与してはならない旨を規定したものであること。

(2)同条第2項は、入所者による退所後の居宅介護支援事業者の選択が公正中立に行われるよう、介護老人保健施設は、居宅介護支援事業者又はその従業者から、当該施設からの退所者を紹介することの対償として、金品その他の財産上の利益を収受してはならない旨を規定したものであること。

 25 苦情処理

(1)基準省令第34条第1項にいう「必要な措置」とは、具体的には、相談窓口、苦情処理の体制及び手順等、当該介護老人保健施設における苦情を処理するために講ずる措置の概要について明らかにし、入所者に介護保健施設サービスの内容を説明する文書に苦情に対する措置の概要についても合わせて記載するとともに、施設に掲示すること等である。

(2)同条第2項は、介護保険法上、苦情処理に関する業務を行うことが位置付けられている国民健康保険団体連合会のみならず、住民に最も身近な行政庁であり、かつ、保険者である市町村が、介護保健施設サービスに関する苦情に対応する必要が生ずることから、市町村についても国民健康保険団体連合会と同様に、介護老人保健施設に対する苦情に関する調査や指導、助言を行えることを明確にしたものである。

 26 地域との連携等

基準省令第35条は、介護老人保健施設が地域に開かれたものとするため、介護老人保健施設は地域の住民やボランティア団体等との連携及び協力を行う等の地域との交流に努めなければならないこととしたものである。

 27 事故発生時の対応


基準省令第36条は、入所者が安心して介護保健施設サービスの提供を受けられるよう、介護老人保健施設は、サービスの提供により事故が発生した場合は速やかに市町村、当該入所者の家族等に対して連絡を行う等の必要な措置を講じるべきこととするとともに、サービスの提供により賠償すべき事故が発生した場合は、損害賠償を速やかに行わなければならないこととしたものであり、以下の点に留意すること。

(1)介護老人保健施設は、入所者に対する介護保健施設サービスの提供により事故が発生した場合の対応方法について、あらかじめ定めておくことが望ましいこと。

(2)介護老人保健施設は、賠償すべき事態となった場合には、速やかに賠償しなければならない。そのため、損害賠償保険に加入しておくか若しくは賠償資力を有することが望ましいこと。

(3)介護老人保健施設は、事故が生じた際にはその原因を解明し、再発生を防ぐための対策を講じること。

 28 会計の区分

基準省令第37条は、介護老人保健施設は、介護保健施設サービスと他の介護給付等対象サービスとの経理を区分するとともに、介護保険の事業の会計とその他の事業の会計を区分しなければならないこととしたものであるが、具体的な会計処理の方法等については、別に通知するところによるものであること。

 29 記録の整備

基準省令第38条により、整備すべき記録は以下のとおりであること。

 (1)介護保健施設サービスに関する記録
@ 施設サービス計画書
A 診療録その他の介護保健施設サービスの提供内容に係る記録
B 基準省令第7条第5項に規定する居宅への復帰の可能性についての検討の記録

 (2)基準省令第22条に係る市町村への通知に係る記録

戻る