認定調査票(特記事項)のための文例集

目的:認定調査票の特記事項は自由記入となっていますが、調査員と審査委員は同じ職種であることはまれであり、用語も異なり、調査員の考えが必ずしも審査委員にうまく伝わるとは限りません。そこで、特記事項の記入様式をある程度定型化し、記入の際の便宜を図るとともに、認定審査会での状態像の把握が容易となるようにします。
方法:掲示板上で具体的な文例(とできればその解説)を募集します。それをHP作者が一覧表に転記していきます。分類はHP作者の独断で行ってます。文例に関するコメントはコメントツリー上に書きこんでください。
最終的には、ページを持ち歩いてすぐ参照できるようにしたいと考えています。
*ページを保存するのは、ファイル−開くで http://www.marimo.or.jp/~momo/tokkijikoubunrei.html で保存してください
書きこみは特記事項用掲示板のほうにお願いします。
研修会資料に入っていた厚生省のお手本(*じるし)も載せておきます。
該当する項目がない場合は「新しい話題」として書きこんでください。
「元気な痴呆老人」は特記事項がないと、一次判定のみでは介護の労力をきちんと評価されません。5群、6群、7群の特記文例をとくに募集します。
厚生省の認定調査票記載に関するQ&A集からの抜粋も併記しました(文例ではないので青字で記載します)

目次
1.麻痺・拘縮に関連する項目
2.移動等に関連する項目
3.複雑な動作等に関連する項目
4.特別な介護等に関する項目
5.身の回りの世話等に関連する項目
6.コミュニケーション等に関連する項目
7.問題行動に関連する項目
8.特別な医療に関連する項目
9.日常生活自立度に関連する項目
10. その他
特記事項用掲示板へ

特記記入用文例一覧表

項目

文例
1.麻痺・拘縮に関連する項目
1−1.麻痺等の有無

四肢の欠損

*右手薬指及び小指切断
*右前腕中央にて切断

麻痺はないが、脱力による運動障害

・慢性関節リウマチのため、肘・手首の可動域制限があり、また痛みのため上肢を動かすことがなく、筋萎縮をきたしている
・長期間寝たきりの状態にあったため、とくに下肢の筋肉が著明に萎縮している
*明らかな麻痺はないが、うつ状態からくる食欲、意欲の減退で全身の筋力低下が著しい
*両手の握力はほとんどない
 筋力の低下は「麻痺等」に含む
 筋肉の随意的な運動障害によって日常生活に支障がある寝たきりの状態は「麻痺等」ありとする

脱力は無いが運動障害がある

・パーキンソン病のため両上肢のふるえ・固縮が強い。日常生活動作はほとんどできない状態
*小脳の疾患による振戦があり細かい動きができない、距離感がつかめない
・脊髄小脳変性症のため歩行は安定を欠き千鳥足歩行である。また手の細かい動作は拙劣でひとつの動作に長い時間を要する
 パ−キンソン病による筋肉の不随意的な運動によって日常生活に支障がある運動機能の低下は「麻痺等」に含む

その他

 顔面神経麻痺に伴う筋肉の麻痺があり、それによって日常生活に支障が生じている場合はその他の「麻痺」に含む
 重度の痴呆等を原因とする自発的な運動の欠如によって寝たきりの状態になっている場合「麻痺」とする
1−2.関節の動く範囲の制限の有無

慢性関節リウマチなどの関節疾患によるもの  

・長期間臥床していたため、両股関節は屈曲位で動かない。両膝関節も90°で固定して動かない。足は尖足位で動かない
・慢性関節リウマチがある。痛みのため両肘は屈曲したままであり、両手首も屈曲位で固まっている
・慢性関節リウマチがある。痛みはあまりないが手指の変形がひどく、細かい動作はできない
・慢性関節リウマチがある。関節の変形は目だたないが、動作時の痛みが強く、家事ができない
*肩、肘、膝関節が十分曲がらないため、衣服の着脱が困難
*亀背で45度屈曲、拘縮
 「関節可動域制限」があっても、自助具の使用によって日常生活への支障がなければ「関節可動域制限」はないと判断し使用している自助具について特記事項に記載する

廃用性萎縮による拘縮

*身体全体の筋力低下が著しく自分から身体を動かそうとする意欲が少ない
*両手第3,4,5指は握ったままで拘縮
*膝は両方とも90度に曲がったまま動かない
*両下肢に不全麻痺があり、両足関節拘縮し、背屈、屈曲に制限、特に左足関節は尖足状態

その他

 左片麻痺があり、肩関節脱臼予防のため三角巾を使用している場合、「制限あり」とはしない
 パーキンソン病等によって固縮のために関節の動きが悪い場合は「関節可動域制限」はなしとする
2.移動等に関連する項目
2−1.寝返り

意欲に問題があるもの

*自力で寝返りしようとせず、エアマット使用
 できる能力はあっても動作方法がわからず、指示をしてもできない場合、「できない」とする

随意動作ができないもの

*痙攣発作による体動で結果的にできるという感じである、昼夜関係なく、突然起こり屋内のドアやガラス等にぶつかるので危険な状態である

見守りが必要なもの

 「何かにつかまればできる」場合、相当な時間を要して何とかできるという状態については何かにつかまればできる」とする
2−2.起き上がり
*ベッドからの起きあがりはできるが、布団の上からでは困難である

補助具があればできるもの

見守りが必要なもの

*足のマッサージをして、ゆっくりと伸ばし、ベッド柵につかまり起きあがる

その他

 「何かにつかまればできる」場合、相当な時間を要して何とかできるという状態については何かにつかまればできる」とする
2−3.両足がついた状態での座位保持

足がつかないもの

*多発性関節リウマチで両膝人工関節により関節が90度以上に曲がらず、床に足がつかない

補助具あればできるもの

*車椅子を使用する際は、前に倒れないようにヒモで腰部を固定している
 両側の大腿部以下の下肢が欠損しており義足を使用していない場合、欠損していても坐位を保持できれば「できる」と判断する

見守りが必要なもの

 介護者からの聞き取りでは「できない」としたが、デイサービスに車椅子で通っている場合は「支えてもらえばできる」とする
2−4.両足がつかない状態での座位保持

可能であるが痛み等あるもの

*バランスはとれるが足に痛みを訴える
*数秒は行えるが、それ以降は腰痛を訴える

補助具あればできるもの

*つかまっても、かなり不安定である

見守りが必要なもの

*左股関節が十分屈曲できず後方に倒れやすい、動作時に筋収縮がある
 介護者からの聞き取りでは「できない」としたが、デイサービスに車椅子で通っている場合は「支えてもらえばできる」とする
2−5.両足での立位保持

立位そのものをとれないもの

*変形性脊椎症、膝関節症などで立位の保持は不可能である
*腰に力が入らず、腰痛もあって立位時腰部屈曲し、保持は困難である

補助具(補装具)あればできるもの

 右大腿部から欠損しており、義足はつけず松葉杖を使用している場合「何か支えがあればできる」とする
 両足が欠損しているが、日頃は両手を使って移乗や浴槽の出入りなどが可能な場合、日頃補そう具を用いても立位を保持できない場合は「できない」とする

見守りが必要なもの

*体幹バランスが悪いため転倒の危険が高く、常にそばに介護者が必要である
2−6.歩行

歩行はできるが危険なもの

*歩行時、右膝関節が急に屈曲し転倒することがあるため不安が大きい
*両膝関節が人工関節のため転倒すると1人で立ち上がれない
*つかまらずに歩行できるが、次第に前傾姿勢の小刻み歩行となり転倒することがしばしばある
*つかまらずに歩行できるが、ふらつきあり不安定である。転倒数回あり。
*前進は杖で何とか行っているが、折り返したり、曲がったりするとバランスを崩しやすい
*屋内では自立、屋外では下肢のしびれやだるさがあり、杖歩行でも100mは歩行できない
 日頃は転倒防止のため常に杖または歩行器を使用していても、訪問調査の際にこれらを使用しないでなんとか5メートル以上歩ける場合「つかまらないでできる」とする
 大腿頚部骨折後、立位、移動は家族により全介助である。夜中徘徊しタンスにつかまっていたり、廊下にいることがある。実用性はなく頻度から考えて「出来ない」とした。

補助具(補装具)あればできるもの

*近所の外出時は松葉杖歩行、室内ではつたってか這って移動する
*歩行訓練平行棒につかまっての歩行のみしか行っていない
*長距離歩行では杖を使用
*義肢を装着し、不安定なため冬道は1人では歩行できない
 日頃は車椅子のみであるが、歩行訓練時には平行棒につかまって歩行可能であれば「何かにつかまればできる」とする
 自力歩行が不安定なため、シルバーカーを使用して歩行している場合、「何かにつかまればできる」とする

見守りが必要なもの

*ゆっくりと数mは何かにつかまらなくても可能であるが、日常的には介護者が手を引いて歩く
 パーキンソン病で非常に歩行バランスが悪く転倒しやすいため、常に見守りが必要な場合、歩行時の状態に基づいて判断し、見守りが必要であることを特記事項に記載する

その他

*坂道は横歩きしなければ歩行が困難
*両足底にタコがあり、長時間の歩行はできない
 視力障害者で介護者の肘を持つと歩行できる場合、「何かにつかまればできる」とする
 理学療法士により歩行制限が行われている場合、医師による場合と同様に、歩行可能であっても「できない」とする
2−7.移乗
 移乗行為のうち片方のみが自立している場合や、移乗の種類によって介助の必要性が異なる場合は、より頻回に見られる状態に基づいて判断する
 立位保持・歩行は全くできないが、いざってどこへでも移動している場合「自立」と判断し、状況について特記事項に記載する

補助具(補装具)あればできるもの

見守りが必要なもの

3.複雑な動作等に関連する項目
3−1.立ち上がり

立ちあがることできるが普通でないもの

*手をついて反動をつけて立ち上がる

補助具(補装具)あればできるもの

*義肢のため下腿に力が入らず、ソファの縁などにつかまればできるが、1人で床からの立ち上がりはできない

見守りが必要なもの

*椅子からの立ち上がりには立つ準備にかなりの時間を要し、テーブル等につかまりようやく立っている
3−2.片足での立位保持

立つことができるが普通でないもの

補助具(補装具)あればできるもの

 両足が欠損しているが、日頃は両手を使って移乗や浴槽の出入りなどが可能な場合、日頃補そう具を用いても立位を保持できない場合は「できない」とする

見守りが必要なもの

3−3.一般家庭用浴槽の出入り

入浴しないもの

*自宅では「浴槽から出られなくなっては困る」という理由から入っていない
*自分で下肢を上げることができず、独居で介助者がいないので、シャワー浴をしている
 デイサービス、デイケアを利用しており、自宅で行っていない場合、施設に状況を確認した上で判断し、その旨特記事項に記載する
 浴槽に入る習慣がない場合は、一般家庭用浴槽のふちをまたぐ能力に基づいて判断する

介助にて入浴しているもの

*バスグリップ、踏み台を使用し、体幹を支えてもらって出入りする
*月2回家庭用浴槽へ抱えて入浴している、その他は毎日清拭(訪問入浴は血圧が低く利用できない)
*銭湯へはヘルパーが同行し、浴槽の出入りの際、左足を曲げるのを介助している

入浴はできるが問題があるもの

*義肢をはずし、踏み台に膝を乗せ、浴槽の縁につかまり腕の力で全身を持ち上げるため、肩と腕の痛みを訴える
 週1回程度の入浴習慣で自立している場合、「自立」とする

見守りが必要なもの

3−4.洗身

洗身できないもの

*月1回の入浴サービス以外は清拭と洗髪を家族が実施
 家庭では日常的に入浴しないため洗身を行っていないが、週に1回のデイサービスでは全介助である場合、「行っていない」ではなく「全介助」とする
 入浴の習慣がない場合、能力に基づき判断する

介助にて洗身しているもの

*入浴動作により心拍数が増加し、心負荷が大きいため医師の指示により介助している
*入浴時は酸素をはずしているので、疲労を最小限にするため介助が必要である
 訪問入浴車を利用している場合も、入浴の際の洗身の状況に基づき判断する

見守りが必要なもの

4.特別な介護等に関する項目
4−1.じょくそう(床ずれ)等の有無

じょくそうに関するもの

*仙骨部、表皮剥離で、軟膏塗布している
*毎日1〜3回の軟便、泥状便のため常に肛門周囲から臀部にかけて軟膏塗布している
*腰背部に直径約20cmのじょくそうがあり、MRSAが出ていると家族は言っている
 発赤状態(じょくそうT度)もじょくそうに該当する
 じょくそうの大きさ程度は特記事項に記載すべきである

じょくそう以外の皮膚疾患

*外陰部潰瘍のため軟膏処置を行っている
*全身に発疹あり、かゆみのため夜間不眠状態が続いている
*全身に腫瘍が散在している
*皮膚の乾燥のために掻痒感が強く、軟膏塗布している
 気管切開の創処置を行っている場合、「じょくそう以外の皮膚疾患」に該当する
 

開放創などで処置がいるもの

*右足首切断されており、糖尿病のため観察が必要
4−2.片方の手を胸元まで持ち上げられるか
 胸元まで手首を持ち上げることができれば肘を持ち上げられなくともできるとする
 両手ともできるか片手しかできないかは状況を特記事項に記載する

拘縮のためできないもの

*上肢は肘関節が拘縮しており、胸元で交差している

理解能力がなくできないもの

*本人の言語理解力低下のため、支持してもできないが、自然に手を自分の胸元まで持っていく

介助にてできるもの

 自分の手で介助できるのなら、介助する手のほうは、胸元まで持ち上げられるのではないか?→肘を支えて片側の手だけが胸元に達する場合を含んでいる。
 自分で食事摂取が可能な機能レベルかどうかを判断すべきか?→食事摂取に限らず行為ができることを評価する
4−3.嚥下

食物の形状により異なるもの

*液体で時々むせるが、骨粗しょう症で胸椎前傾弯曲が強いためではないかと家族が話す
*嚥下障害があり、麺類は食べられず普通食でもむせることがある

意欲に問題があるもの

*空腹の訴えはないが、平均して食欲がなく、口に物を入れるといつまでもモグモグして、飲み込めないことが多く、寝かせると重力の関係で自然に嚥下することが多い

見守りが必要なもの

*嚥下困難で、摂取時には、一口ずつ声掛けが必要
 数回の嚥下を試行することによってようやく嚥下できる場合は「見守りが必要」と判断する
4−4.尿意・便意

尿意・便意はあるが排尿・便できないもの

*尿意はあるが、じょくそうがあるため留置カテーテルを使用
 便意は意識しているが、その行為を介護者が定期的に浣腸等で対応している場合、あると判断する
 便意はないが、自分で定期的に浣腸を実施している場合、あると判断する
 人工肛門を造設している場合、あると判断する

「ときどき」の頻度

*日中はあるが、夜間眠ってしまうとわからなくなってしまう
 頻尿によって、通常より介護の必要度が突出していると判断する場合には特記事項に記載する
 「排泄に結びつかない状態」とは、結果として排尿・排便の行為が行われなかったことをいう

尿意・便意はあるが介助を要するもの

*日中は尿器に自分でできるが、夜間は用心のため、オムツを使用しており、毎晩排尿時(3回くらい)介護者を起こす
4−5.排尿後の後始末

間接的援助に関するもの

*車椅子上で自己導尿し、尿を捨てるのは介護者である

直接的援助に関するもの

 後始末が不充分であり直接的援助が必要であるにもかかわらず、行われていない場合、直接的援助と判断すべきか?→現に行われている状態に基づいて判断する
 バルーンカテーテルを使用している対象者が何もできない場合、直接的援助とみなす。
 バルーンカテーテルの挿入抜去が医師によってなされている場合、直接的援助とみなす
 痴呆があるため一応の後始末を自分で行っていてもうまくできていないおそれがある場合、現に行われている状態に基づいて自立とすべきか、あるいは介護者が後始末をしなければならないことを想定して直接的援助と判断すべきか?→現に行われている状態に基づいて判断する

尿器、オムツ等に関するもの

 留置カテーテルを使用している場合、どのように判断すべきか?→留置カテーテルの操作が行われている状況に基づいて判断する
4−6.排便後の後始末

間接的援助に関するもの

直接的援助に関するもの

*家族がいるときでないと排便できない、室内のポータブルトイレで全介助である

便器、オムツ等に関するもの

*人工肛門部の管理やパック交換は全介助である
 人工肛門の後始末が自分でできる場合自立と判断する
4−7.食事摂取

可能だが時間がかかるもの

*スプーン、フォーク使用だが、手指の振戦があり時間がかかる
 介護量には食事にかかる時間が大きく関与するので、食事に係る時間の程度の設問が必要である→突出した介護の手間を必要としていると考えられる場合は特記事項に記載する
 寝たきりであるが、食物を台所で小さく切る、ほぐす、皮をむく、魚の骨をとる等の準備を行えば食事摂取は自分で行えるが、昼食時には家族がいないため一人で食事摂取しなければならない場合、一部介助と判断すべきか?→自分で摂取しているのであれば自立と判断する

介助にてできるもの

*食事はなんとか自分で摂取するが食欲がないため常に声をかけ、最後には介助者が口に入れる等の介助をする
*口角より流れ出ることが多い。嚥下力低下し、ミキサー食でもむせる
 固形物が飲み込めないため、エンシュアリキッドのみを摂取している場合、食事摂取の介助として判断する

見守りが必要なもの

*手で食べたり、食べ物をぐちゃぐちゃにしたり、味噌汁におかずを入れたり、こぼしたりする
 ほとんど介助なしに自分で摂取可能だが、体調により時には介護側の指示が必要とされる場合、見守りと判断すべきか?→日頃の状況に基づいて判断する

まったくできないもの

*わずかな流動食ものみ込めないため、経管栄養をしているが、チューブをとろうとするため両手を抑制している
5.身の回りの世話等に関連する項目
5−1.清潔
 調査対象者に十分能力はあるが、調査対象者がすると時間がかかることを介護者が嫌って、常に全介助を行っている場合、全介助と判断する

口腔清潔

 自歯がなく、歯磨きを行っておらず、かつ、うがいをさせようとしてもその水を全部飲み込んでしまう場合、全介助とすべきか?→水をのみ込んでしまっても、それを口腔清潔の行為としており、他に介助が行われていないならば、自立と判断する

洗顔

整髪

つめきり

*視力がないため、爪きりなどの用具の使用は困難である
*足の爪きりはできない
5−2.衣服着脱

自助具によりできる

 マジックテープを使用している場合、「ボタンのかけはずし」を「マジックテープの着脱」と読み替えて判断すべきか?→調査対象の能力を総合的に勘案して判断する

介助にてできるもの

*ボタンをかけ違ったり、裏返しに着たりするが自分でできるときもある、急いでいるときは全介助
*指を使う細かい作業ができない。各関節の拘縮が著しく、各項目ごと相当の介助が必要である。
*手指の振戦あるため、小さいボタンは介助が必要
・指示どおりの動作ができず最終的には介護者が手伝っている。
 朝夕のベッド上での着脱はできるが、トイレでの着脱はできない場合、一部介助と判断すべきか?→より頻度の多い状況に基づいて判断する

見守りが必要なもの

*指示がなければ着替えないが着脱行為は問題なく行える
*なんとか行うも、疲労感が強い
*大きなボタン1個程度であれば、時間をかければ可能
・自分から着替えようとせず、準備、誘導、指示が必要。30分程度かかるのでデイサービスの日などは介護している
・自分のやろうとしている動作を途中で忘れてしまったりやめてしまったりする。介護者が見守り、指示するが介護への抵抗あり1日中パジャマで過ごす。 

能力を勘案した場合

*調査項目の1つにそれぞれ30分は要する
5−3.居室の掃除

意欲はあってもできないもの

*居室が狭く、歩行も困難で車椅子使用のため掃除はできない
*松葉杖をつかなければ立位保持できないため掃除機が使えない
 第三者が見て、整頓できていないと判断される状況であっても、調査対象者が掃除をする行為をしている場合、自立と判断する

能力はあるが行っていないもの

・清潔観念がなくダニの発生、畳の腐敗するまで放置されている。ヘルパーが掃除、食品の管理などの援助中。

見守りが必要なもの

5−4.薬の内服
 施設入所者で調査対象者の能力に関係なく施設側で管理している場合、調査対象者の能力を総合的に勘案して判断する

介助にてできるもの

能力はあるが行っていないもの

介助が行われていないもの

*家族が管理することを嫌うので、本人に任せているが、時間、量をたびたび間違え、副作用と見られる湿疹等が時々みられる
5−5.金銭の管理
 施設入所者で調査対象者の能力に関係なく施設側で管理している場合、調査対象者の能力を総合的に勘案して判断する
 施設は金銭の管理を行っていないが、家族が行っている入所者の場合、全介助とする

介助にてできるもの

能力はあるが行っていないもの

5−6.ひどい物忘れ
 植物状態のような高度意識障害は「ない」と判断する

物忘れの頻度

・一月に2〜3度は食事をしていないと不穏になる。
・しばしば自分のベッドを間違え、寝ていて他者とトラブルになる。

再調査を行った状況

鬱状態で閉じこもりがち。他人と接触することがないので問題にはならないが、本人は物忘れを気に病み症状悪化。介護負担が大きい。

物忘れに起因する行動

・タンスにしまったことを忘れて誰々に盗まれたと大きな騒ぎになる。
・居室を間違えて他者とトラブル   
5−7.周囲への無関心
 植物状態のような高度意識障害は「ない」と判断する
 寝たきり等で、とくに見守りが必要でない場合、「ない」と判断すべきか?→調査対象者の状況に応じて判断するものであり、見守りの必要性のみで判断するものではない

周囲への無関心の頻度

再調査を行った状況

無関心に起因する行動

・受診日や約束を忘れてしまうので、大事な用件の時は付き添いが必要。
6.コミュニケーション等に関連する項目
6−1.視力

意思疎通ができないもの

*目をつぶっていることが多く、声かけにより多少目を開く程度
*意思疎通がとれない、時々追視あり、声の方向に向くことがある

推定によらざるを得ないもの

*視力確認表での確認はできない、人の顔の認識等で推定

その他の視覚障害によるもの

*眼球の不随意運動により、細かい文字は見えない
6−2.聴力

意思疎通ができないもの

*右耳の聴力低下があり、聞き取りが悪く、曖昧な返事をする

推定によらざるを得ないもの

*呼び掛けの反応で推定

その他の聴覚障害によるもの

*補聴器を使用
6−3.意思の伝達
 痴呆のため、食事の直後に「腹が減った、何か食べたい」という場合、調査対象者が意思を他者に伝達できると判断すべきか?→伝達する内容については問わない

失語症があるが意思疎通可能

*失語症のため表情と首ふりにより簡単な意思の疎通をする
*失語症のため難しいが、まばたきで確認できるときもある
*発語できないため、呻吟したり大声などでつたえる

意思疎通不能

*発語はない、表情の変化はあるが情動失禁と思われ、意思を伝えようとするものではない
*発音不明瞭で聞きなおすと話さなくなる
*水、ごはん等の単語をなんとか理解する程度、会話は成立しない

意思疎通のための伝達手段

6−4.介護側の指示への反応

指示の伝達が困難なもの

*問いかけに対し、反応はあるがほとんど聞き取れない
 問いかけに対してのみ返答するような場合、自発的な反応とは考えにくいため、「介護側の指示が通じない」と判断すべきか?→反応の内容が適切であれば「通じる」と判断する
 指示の内容は理解しているがそれに反して行動する場合、通じないと判断する

指示に従えない頻度

*痴呆とパーキンソン病による症状の日内変動のため反応が一定しない
 1週間に1回程度は介護側の指示がつたわる場合、通じないと判断し、頻度を特記事項に記載する

その他

*着替えさせようとすると時に抵抗し、暴力をふるうことがある
6−5.理解
脳血管障害による意識障害のためコミュニケーションができない場合、「できない」と判断する

毎日の日課

生年月日や年齢

*年齢は60歳で止まっている
生年月日は答えるが年齢は60歳で止まっており、時代も間違って認識している。

直前の記憶

日課は理解しているので調査直前のことは答えられる。しかし、会話の中で短期記憶障害は著しく同じ話を何度もすること、介護者より日頃の状況を聞き取り総合的に勘案して「できない」と判断

自分の名前

調査員が誘導的に姓を言うと名が答えられた場合、できると判断する
姓も名前は言えないが会話の中で姓を誘導していくと最終的に名前も答えられた。

今の季節

今の場所

*食事時間がわからず居間を寝室だと思っている

その他

*太字のマジックで筆談しているが、都合が悪くなると見えないという
脳梗塞の後遺症で高次機能障害がある。会話は可能であるが複雑な話を理解したり、自分の意思をまとめる事が苦手で混乱を生じる。
失語症のため自分の意思を上手く表現できず、怒ったり抵抗したりする。
7.問題行動に関連する項目
7.行動(頻度はそれぞれに記入) 本項目は痴呆の有無を問うものではなく、問題行動が発現しているかどうかを判断するものである。性格によって問題行動が発現していると判断される場合にはその理由を特記事項に記載する。

ア:物取られ妄想

配偶者を他人に寝取られた、という妄想は該当する。
配偶者の浮気の妄想があり夜中責める。

イ:作話

ウ:幻覚、幻聴

エ:感情失禁

オ:昼夜逆転

医師の処方による睡眠薬によって昼夜逆転が発生している場合、「ある」と判断する。

カ:暴言、暴行

*感情の起伏が激しく、誰かれなく叩くことがある

キ:独話、不快な音

ク:大声

自分の思い通りにならないと場所にかまわず大声で怒るので家族で外出することができなくなった。

ケ:介護への抵抗

コ:徘徊

*重度の見当識障害に伴う徘徊が常にあって目が離せない

サ:家に帰る

毎日夕方になると家へかえるといって外に出たがる。家族が30分くらいかけて町内を1週散歩させると落ち着く。散歩がないと徘徊となる。

シ:自室や自宅へ戻れない

*1人で外出するともどれなくなるため介護者が常時監視している状態である

ス:外に出たがる

セ:収集癖

ソ:火の不始末

環境上の工夫で火元に近づくことがない場合でも、問題行動となっていない場合については「ない」と判断し、予防のために行っている対策等があれば「特記事項」に記載する。
一人暮らしで鍋こがしが時々ある。

タ:物や衣服を壊す

*電話線を切断したり、電化製品を捨てにいくなど常に監視が必要

チ:不潔行為

*弄便あるため、つなぎ着用

ツ:異食

たばこ、座薬など置いてあるものは何でも口に入れる。
(月に1回程度は大騒ぎになり先月は救急車を呼んだ。)

テ:迷惑を及ぼす性的行動

その他

*植物状態で行動すらできない項目がある
*情緒不安定になると自傷行為がみられる
8.特別な医療に関連する項目
看護職員に許されている業務独占行為が該当する。
医師の指示に基づき、家族や調査対象者が在宅で留置カテーテルなどの処置を行った場合は該当しない。
通院して定期的に点滴を受けている場合、該当する。
カテーテルに含まれるもの・・・尿管瘻・人口膀胱・回腸導管・膀胱瘻。
医師が処方したシップを自宅で調査対象者が貼った場合は該当せず、訪問看護婦が貼った場合は該当する。
座薬の挿入や鎮痛剤の内服は、看護職員によって行われているならば該当する。
整形外科での物理療法は該当する。
病院受診時の膝関節痛の痛み止めの注射は該当する。
2−3週に1回の割で経管栄養チューブの交換が行われているが、たまたま過去14日間になかった場合は、該当しない。
自宅で自己間歇導尿を行っており、訪問看護婦が口頭で状況を尋ねている場合、該当する。
*心臓疾患によりフランドルテープ使用
*慢性気管支炎を併発し、喀痰吸引を日に数回施行
*脱水症防止のため、水分のみ経鼻腔で補給
*頬部の皮膚の病変部位の軟膏塗布、ガーゼ交換
*上肢の疼痛のため座薬使用
*本人が嫌がり、在宅酸素療法が指示どおり行われていない
*カテーテル挿入しているが、尿道裂傷のため尿もれが多い
9.日常生活自立度に関連する項目
10. その他

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