(C)TWO-WAY/学級経営/中学校/読書指導/朝読書
職員朝会終了とともに、私は本を持って教室へ向かう。
音を立てないように静かに教室の戸を開ける。
生徒は読書に集中している。
私は小さな声で「おはようございます」と言い、教卓横の席に座る。
すぐに本を広げ、読み始める。
朝学活が始まる8時40分までの10分間、教室にはページをめくる音だけが響く。
その後、朝学活、授業と落ち着いた雰囲気の中で学校生活が続く。
林公氏が提唱した「朝の10分間読書」は、全国1600校以上で実践されている。
林氏がかつて勤務されていた私立H高校は学力が低く、学校不信・教師不信の生徒ばかりであったという。
(1)朝の10分間、読書の時間を設定する。
(2)生徒だけではなく、管理職を含めた全教職員が読書をする。
(3)読む本はマンガ以外、自由とする。感想は求めない。
この3本柱からなる「朝の10分間読書」を導入してから1か月後、H高校は朝読書開始のチャイムとともに校内が静まり返るようになった。
そればかりか、生徒達も明るさと自信を取り戻した。
まさに「奇跡」であった。
読書嫌いの傾向は、私が勤務する学校でも指摘されていた。
しかし、この「事実」を改善しようと行動する教師はいなかった。
平成9年11月、当時の校長が全教職員に呼びかけて「朝読書」の追試を提案した。
本嫌いな生徒ほど、自分から絶対に本を読もうとしません。
放っておけば、いつになっても読むようにはなりません。
読まなければ、読む力もつかないし、読まなければ学年が進むほど、ますます本嫌いになっていきます。
「10分間で何ができる」「読書で生徒は変わらない」と、誰もが思った。
林氏の著書を読み、提案を支持した私でも効果は半信半疑であった。
1か月後、実践の効果が証明された。
生徒の声を紹介する。
読書がこんなに楽しいものだとは思ってもいませんでした。
今まで損をしていたように思います。
いつも男子がうるさかった時間が静かになって、「朝読書の力はすごいな」と思いました。
朝読書に関する調査では、次の結果が出た。染谷学級の文だけを紹介する。
(1)続けた方がいい 20人
(2)やめた方がいい 1人
(3)どちらでもいい 11人
全校生徒の8割以上から「続行(続けた方がいい・どちらでもいい)」を望む声を得た。
導入から、2年半、本校では「朝読書」はすっかり定着した。
この間、私が「静かにしなさい」と注意したのは2度だけである。
この実践の強さは、教師も生徒と一緒に本を読む点にある。
しかも、生徒には好きな本を選ぶ楽しさがある。
生徒の「事実」に目を向けたとき、力のある実践が誕生する。 (『トークライン中学』第2号より)
| 補記1 本校の時程は、次のようになっている。 8時20分〜30分 職員朝会・朝自習 8時30分〜40分 朝読書 8時40分〜45分 朝学活 朝自習は生徒のみで行っている。 染谷学級では、朝自習終了後すぐに読書を始めることになっている。 4月当初、2、3度指導すれば、立ち歩いている生徒はいなくなる。 全員が静かに読書している教室へ静かに入っていくのは、気持ちいいものである。 |
| 補記2 本は生徒自身が準備することが原則である。 町の図書館の協力もあり、学校の図書室の貸出も朝に行っている。 また、学級には100冊ほど学級文庫をおいてある。 生徒の興味に応じて、古本屋で購入した本がほとんどである。 黒柳徹子さんの本が、染谷学級では人気ナンバー1である。 女子には、赤川次郎さんの本に根強い人気がある。 |
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