「裁判所に念書を持ってきなさい?!」信じられない調停の実態?!

驚くべき調停の実態

 私が、函館簡易裁判所で行なわれた驚くべき調停について、ホームページに載せたところ、さらに、驚くべき調停の実態の報告があったので、紹介する。

 A氏は、サラ金・クレジットからの債務について約定返済ができなくなりT簡裁に特別調停の申立てをしたが、不調となった。不調になった理由は、援助者がいないということだったという。そのため、実兄に相談するなどして、ようやく債務の支払を援助してくれる第三者をみつけたという。そして、一般調停の申立てをしたという。
 債務総額は、約800万円、内約300万円のジャックスの車輛ローンがあるため、一般債務は500万円程度であるという。A氏が知人の助言を受けて計算したところでは、利息制限法に定める制限金利により元本充当計算を行なうと、「過払い」になったり、限りなく「ゼロ」に近くなる債務の相当あるという。
 A氏は、前回の調停の後、書記官と思われる人に援助してくれる人に一筆書いてもらえと言われたという。そのため、援助者に「一筆書いてほしい」と頼んだところ、その人から、「それは、どういうことや、なんで、第三者が、お前の金の貸し借りのことで、一筆書かないかんのや。」と言われたと調停委員に説明した。
 A氏が、「18%で計算すると、ゼロになるというのもあると言われたので、債務額を確定してほしい。そうして債務額が確定すれは、援助してくれるという人がいる」と言ったことに対して調停委員は次のように言ったという。

「調停ですので、相手方がでてこなければ、どうしようもない。債務がゼロか限りなくゼロに近くなる債権者があったとしても、そういう債権者は、100%出てこない。絶対出てきません。出て来なければ、アウトですから。」
 債務額確定調停で、それを利息制限法で引き直してくれといわれても、これは、一般調停だから、できない。
 特定調停いうのは、多重債務に陥って困っている人の経済的更生を図るという特定の目的のために、ということで国会を通っている。だから、裁判所は、それに基づいて利息の引き直しをすることができる。
 債務額減額というのなら、また、別である。
 債務額確定というのは、約定金利でやるほかない。

 さらに、A氏が、援助者がいるので、なんとか債務額を確定してほしいと何度も頼んだところ、次のように言われたという。
 援助者が払ってくれるというのならば、援助者が調停に来て、私が援助します。ですから、裁判所もよろしく、とか、それに代るものとして一筆を書いてもらってきなさいということを言った。それができないならここへ来てもらわないといけない。あなたの口から「援助者がいると」言われても、こちらは、ああそうですかと、言えない。それが、一般的なやり方です。  援助者がここへ出てきて調停委員の前で言うとか、裁判官の前でいうとか、それでないと、あなたが援助者がいると言っても、そんなあてのないことでは、裁判所は納得しませんよ。裁判所が、少なくともからんだら、裏打ちのないことで事を進めたらいかん、そんなことをしたら、裁判所が追及されます。何をやっているのかと言って。
このような話を延々とされたという。
 私は、このような話は、にわかには信じられないと思ったが、T簡易裁判所の調停を何度も利用したことがあるという被害者の会の関係者の話によれば、それは、当たり前のことで、いつも言われることだという話だった。

 この調停委員の言い方によれば、次のようになる。

  1. 特定調停ならば、債権者のサラ金・クレジットに取引明細を出すよう請求して利息制限法による元本充当計算ができるが、債務額確定調停の場合は、「約定金利」に将来金利として年18%をつけてやるしか方法がない。
  2. 援助者は、裁判所に出頭し、債権者が求めれば、利害関係人として調停に入り、保証をするほかない。
  3. 利害関係人が裁判所に出頭することが嫌なら、その内容を書いた一筆を裁判所にもってこなければならない。

 私は、T簡易裁判所や函館簡易裁判所の事例は、極めてまれなものと考えていた。ところが、平成12年10月14日、長野で開催された第20回全国クレジット・サラ金・商工ローン被害者交流集会の、「特定調停」の分科会に出席したところ、ここに紹介したような事例が必ずしも「まれ」なものではないという報告が相次いだ。
 司法改革が声高に叫ばれている先進国日本において、最後に救いを求めて裁判所に出向いた「国民」が、どのような取扱をされているのか、背筋が寒くなる思いがした。
 「裁判所」は、国民の権利を守ってくれるところだと信じていた私は、あまりにもお人良しということなのだろうか。
 日本の裁判所が市民の権利を守ってくれるという信頼は、幻想なのだろうか。 勿論、多くの調停委員の方が、献身的に多重債務者のために努力しておられると信じている。しかし、このようなことは、1件たりともあってはならない。
 同じ日本国民として、どこの裁判所で調停を受けようとも、同じ法的サービスを受けることができるというのでなければならない。
 密室で行なわれる調停の実態を、誰が保障してくれるのだろうか。
 情報開示が非常に重要なものと指摘されているが、司法の情報開示は、あまりにも遅れているのではないだろうか。