全国調停シンポ開かれる!



 8月21日、金沢で「全国調停シンポジウム」が開かれた。

 特定調停は、多重債務者の駆け込み寺的役割を果たし、年々、その利用が増えているが、今年は、若干、減少傾向だという。

 全国クレ・サラ・商工ローン調停対策会議が平成13年9月に結成されてから、日本国民であれば、どこに住んでいようと、均質の調停を受けることができるように、調停を利用した経験者が、その体験報告を行い、問題があれば、どのように対処するかが検討されてきた。

 この会では、次のような報告があった。

対策会議の副代表幹事である伊澤正之弁護士から、基調報告があった。

 これまでの対策会議の活動、現在の調停の問題点などが詳細に報告された。

 中でも、信じられないひどい調停として、国家賠償訴訟が提起されている「伊予三島」の現状が報告された。

 国家賠償訴訟が提起されているにもかかわらず、同様のひどい調停が行われたとして、愛媛弁護士会に「人権救済」の申立てをしているが、愛媛弁護士会からなんらの報告がないという。

 このシンポで、最も、参加者に感銘を与えたのは、元調停委員であり、現在も司法委員をされている方からの現場の苦労の報告であった。

 特定調停というものを、どのような法的位置付けでとられるのかということの問題提起には、多くの共感の意見表明があった。

 一般調停の流れとしてとられるのか、破産の補完的役割をになうべきものであるのか。

 私は、任意整理にあたっては、多重債務者で約定返済ができないということで相談があった時点で「破産」状態である。従って、その時点での利息制限法による元本充当計算をした結果算出された残元金をどのようにして支払うかという考え方で、債権者の理解と協力を得て、任意整理をおこなってきた。

 つまり、相談時点における残元金を何年かかっても支払うということなのだ。

 もし、返済不能時からの約定利息や遅延損害金を支払うということになると、まず、返済は不能だ。

 50万円を支払うとして、利息制限法の制限金利で、7,500円である。

 50万円の債務が4件あれは、3万円である。毎月3万円を借金払いに回せる人は、非常に少ない。

 従って、特定調停を破産の補完的役割を担うものであると考えれば、個人再生と同様に、頑張って数年間支払った後、残額を免除するということも十分に可能ということになるのだ。

 特定調停で、いわゆる「過剰融資」と判断されるような融資については、借り主の返済能力に対応した貸金額まで減額するような方向での扱い、さらには、残債務額が多い場合には、個人再生よりは、返済額を多くするような方向での解決など、多様な取り扱いが可能となれば、破産ではなく、さらに、個人再生ではなく、できるかぎりの範囲で支払うという方向での多重債務からの開放による立ち直りが可能となる。

 さらに、ここで、ひどい調停の事例も多数報告されたが、同じ日本国民であるかぎり、どこに住んでいようとも、均質の調停を受けることができるよう、調停対策会議の活動は、さらなる広がりが必要だと思った。