武蔵野簡易裁特定調停の実情



 これは、叔母が、長年月にわたってサラ金からお金を借りていたことがわかり、息子さんが、特定調停を活用して債務の整理を行うとしたことについての記録である。全国、どこでも、一定の水準の特定調停を受けることができるようにとの観点から、調停対策会議が活動しているが、調停の実態は種々様々問題があることがわかる。

調停を利用するに至った事情

 Aの叔母(2004年10月現在、満75歳)は20年以上に渡りカードによるキャッシングを利用してきましたが、2003年7月中旬、カードローン会社9社に対して支払不能状態に陥り、かねてより「キャッシングのことで必要ならいつでも相談に乗る」と言っていたAに助けを求めてきました。Aは叔母に特定調停をすすめ、8月7日に、叔母を申立人とする特定調停が受理されました。かなりの過払い金の生じているはずの業者が3社ありましたが、それらについては、取引明細を調停委員経由で入手し「債務0決定」をもらったあと、じっくり取り組むつもりでいました。(Aは公法コースでしたが、法学部大学院の博士課程まで進学した経歴があり、法律問題一般に対するセンスは、素人としては決して悪くない方だと自己認識しています。また私は必要や興味に応じてものごとを深く調べるのが性分です)。

その直後の8月11日深夜、多重債務問題で鬱状態になっていた叔母は、食べられない・動けないなどの症状が高じて、救急車で病院に緊急入院しました。

入院治療は、精神科の専門病院も含めての転院を重ねながら、2004年5月まで約9ヶ月間続くこととなりました。9月初めに予定されていた第1回目期日(準備期日)は10月7日に延期となり、その10月7日の第1回期日には、私が叔母を病院から自動車で連れて行って出頭、Aも調停に立会いました。

この時、調停委員は「この特定調停は2回で終了します」とAに言い渡してから、資料をみて叔母に自己破産をすすめました。叔母は即答できず、調停委員から「それでは11月7日にもう一度(準備)期日を設定しますので、その時に自己破産するかどうか答えて下さい」と言われました。 9社中3社はいずれも年率28パーセント前後の利息を20年以上も取り続けており、各社100〜200万円前後の過払い金が発生していることが、その日に調停委員から得た情報からも、ほぼ確実で、それを回収すれば残り6社の残債150万ほどを支払ってもかなりのものが残るはずで、従って調停委員が自己破産をすすめるのは納得がいかないケースだと思いました。

Aはそのことをその調停の場で叔母にも調停委員にも説明しましたが、叔母は耳も遠く、体力も気力も理解力も衰えていて、「自己破産」という言葉に相当なショックを受けたようでした。(恐らくこの日の調停委員の対応が主な原因ではないかと思われますが、その後、叔母の病状は悪化し、12月には精神科専門病院に入院し、悪化の一途をたどり、年末にはもう回復の見込みはないのではないかと思われるほどになってしまいました)。

その10月7日の調停の席上で、Aが調停委員に「自己破産を選択するかどうか、方針が決まったらその時点で連絡してよいか」と尋ねたところ、「いや、それはだめです。11月7日にもう一度期日をとりますから、その時に答えて下さい」と調停委員は答えましたが、その答えには果たして法的な根拠があるのか、疑問を抱きました。

この第1回期日のあと叔母はますます衰えてしまったので、Aは八王子家庭裁判所に叔母の成年後見補助人の申し立て(補助人候補者は私)を行う一方、代理人許可申請をしてその後の調停に臨もうと考え、戸籍謄本類をとるなど準備を進め、関連法令について勉強しながら、来るべき次回期日に向けての準備のため、担当書記官に幾つかの基本的と思われる質問をしましたが、返ってきた答えに釈然としないもの・矛盾するものを覚え、直接調停委員会に質問してみようと思って、平成15年10月27日朝、配達証明付内容証明便で最初の質問書を送りました。

このプロセスで、インターネットのホームページ「由利弁護士の部屋」にあった特定調停に関する文章を読んで、函館や伊予三島における不当で違法な事例の存在なども初めて知りました。それまで多重債務関係の一般書やホームページを読んで、それらに記されていることを信じて「「特定調停=多重債務者に優しい救済手段」と理解していた私は、それらの事例の密室性・不当性・違法性に愕然とし、10月7日の調停委員とのやりとりからして決して他人事として切り離して考えることはできないと考え、甘い認識や期待を捨てて、「これは気をひきしめて、十分に勉強しながらかからねばならないなと考えました。そのため、証拠として残せる内容証明便でやりとりし、回答も書面でを求めることにしよう。

内容証明便は申立人である叔母とAの連名で送り、その後送ることとなった全ての質問書・上申書・通知書・要請書等も同じ連名の差出人で送付しました。(一連の質問書・上申書・通知書中と同様に、この文書中でも、以下、「申立人と私」のことを「当方」と表記します)。



1.最初の二つの質問書と、調停委員会の対応

この最初の質問書の15項目の質問事項は、次の6ジャンルに分類できますが、いずれも、以下のように、基本的な実体法・手続法の適用・準用等に関するものばかりでした。



質問書(10月27日付け)


A.利息制限法の強行規定性と全取引経過の開示についての質問

1.利息制限法は強行規定です。貴委員会は特定調停事件についてそのことを正当に認識して調停活動を行っていますか?

2.強行規定としての利息制限法を適正に適用する場合特に同法第1条規定の利息を上回る利息を取っている貸し金業者に対しては、全取引経過を開示させた上で債務を確定することが当然の筋ですが、そういう業者に対して全取引経過を開示させるために最大限の働きかけ(その開示を拒む業者に対しては特定調停法第24条「文書の不提出に対する制裁」を発動することも含めて)をしていただけますか?

3.「利息制限法規定の利息を上回る利息を取っている貸し金業者に対しては、全取引経過を開示させた上で債務を確定することが、当然の筋であるが、そういう業者に対して全取引経過を開示させるために最大限の働きかけをしない場合、貴調停委員会は利息制限法の強行規定性を無視することになり、同時に、特定調停法第10条(当事者の責務)、同第12条(文書等の提出)、同第24条(文書等の不提出に対する制裁)、の適正運用を怠り、法定の調停役という立場にありながら、その存立根拠でもある特定調停法を骨抜きにしてしまっている、等のそしりを免れないことになる」。以上「」内の見解(Aの見解)について、貴委員会はどう思われますか?(この質問の前提として、担当書記官から「調停委員会による全取引経過の開示の実現は難しい。文書不提出に対する制裁の発動もないのではないか」というニュアンスの話を聞いた経緯があります)。


B.手続き問題(調停委員の提案に対する回答方法)についての確認についての質問

 10月7日の準備期日に調停委員より「自己破産」を勧められ、申立人が即答できなかったところ、調停委員より「それでは、次回にどうするか答えて下さい」と言われました。その時立会人の私が調停委員に「自己破産を選択するかどうか、方針が決まったらその時点で連絡してよいか」と尋ねたところ、「いや、それはだめです。次回11月7日にもう一度期日をとりますから、その時に答えて下さい」というのが調停委員の答えでした。

4.この、「回答は次回期日にして下さい。期日以前に書面・電話・書記官を通じて回答するのはだめです」という趣旨の調停委員の答えには、法的根拠がありますか? あるのであれば、その根拠について具体的に回答して下さい。


C.調停申し立て取り下げの可能性についての質問

現在、上記6件については申し立てを取り下げたうえで直接交渉することも一つの選択肢として検討中です。

5.「訴えの取り下げ」に関する民事訴訟法の規定(第261条)は特定調停にも準用されますか? 準用されないのでしたら、特定調停において申し立ての取り下げをする場合の根拠となる法令が何か教えて下さい。


D.個々の事件の独立性に関する質問

 担当書記官は「個々の事件は独立したものです」と説明してくれましたが、他方、上記()内のように、「6件の取り下げをした場合、調停委員会が残りの3件についても調停を不調にする可能性がある」とも言っています。そこで質問です。

9. 申立人が複数の事件について(つまり複数の相手方に対して)特定調停の申し立てをしている場合、貴調停委員会は、ある一つの事件の取り下げ・不調・終了などを根拠にしてその申立人の別の事件も不調にし、終了させることができる場合がありますか? できる場合があるのでしたら、その法的根拠についても具体的に説明して下さい。

10.「個々の事件の独立性云々」とは別の根拠で、貴調停委員会が「申し立て手人が6件の取り下げをした場合、残りの3件についても調停を不調にする」場合がありますか? ある場合にはその法的根拠についても具体的に教えて下さい。


E.民事訴訟法第54条但し書きに基づく「代理人許可申請」について

 申立人(実名略)は10月7日の期日には入院中の病院から出頭しましたが、その後容態は回復するよりむしろ悪化しています。そこで、同期日に立会人として同席した私が、八王子家庭裁判所に成年後見補助人の申し立てを行う一方、本特定調停特150〜158号について今後申立人に代わって臨むべく、貴調停委員会に対して代理人許可申請を行う方向で、戸籍謄本取得など準備中です。

11.私は申立人(実名略)の兄の長男ですが、代理人許可申請を行った場合、その関係について戸籍謄本で証明できたにもかかわらず、貴調停委員会が不許可の決定を下す可能性がありますか? 可能性のある場合、その根拠を示してください。

12.私が代理人許可申請を行った場合、この質問書を根拠に貴調停委員会が不許可の決定を下す可能性はありますか? 可能性のある場合にはその根拠を教えて下さい。


F.民事調停法第1条と特定調停法との関係についての質問

13.民事調停法はその第1条に「この法律は、民事に関する紛争につき、当事者の互譲により、条理にかない実情に即した解決を図ることを目的とする」と定めています。特定調停法はこの民事調停法第1条を排除するものでしょうか? それとも排除しないものでしょうか? 貴委員会の見解を教えて下さい。

14.特定調停法第15条及び第17条の調停条項案について、「条理にかない実情に即した」調停案を、貴委員会が当事者双方に対して示すことは可能ですか?

15.将来利息のカットや分割払いのみならず、一括払いの場合の総支払い額の20〜50パーセント減額などが特定調停でまとまった京都簡易裁判所の事例があるとのことで、 京都第一法律事務所オフィシャルサイト http://www.daiichi.gr.jp/soudan/faxnews/20000403/tokutei.html に、この事例についての記述があります。

このような事例もまた「条理にかない実情に即した」柔軟な調停案の一つだと思われますが、貴調停委員会はこの事例のように、「特定債務者の経済的再生に資するため」に「条理にかない実情に即した」柔軟なキメ細かい調停案を打ち出していこうという意思がありますか?



 この質問書には「特定調停は日本国民全体の権利と法益に関わる法的手続きであるので、この質問書及び頂いた回答(回答なき場合はその事実)については、今後ホームページ・著作等のメディアを通じて公開し、また参考資料として、監督機関である最高裁判所にも送付する所存です」とも明記し、その回答期限を11月5日中とし、書面による責任ある回答を要請しました。(「監督機関である」という表現は、「裁判官の独立」からして、適切ではないかもしれませんが・・・)。

 これに対して10月28日夕方、担当書記官が電話で「調停委員会としては書面による回答は行わない」との調停委員会からの伝言を伝えてきました。

「貴調停委員会にはその義務はない、ということですか?」と問いましたところ、「そうです」とのことでした。また、担当書記官は同じ電話で「次の期日に貴方がくれば、調停委員が貴方の言い分を聞き、質問の内容についてもお答えします」という趣旨の伝言も伝えてきました。そこで、「『書面での回答は行わない。その義務はない』というのはどのような法的根拠に基づいて言っているのか? それを書面で答えて欲しい」との当方よりの伝言を調停委員会に伝えて欲しいと担当書記官に要請し承諾を得ました。

電話のあと、翌11月29日朝、前記の法的根拠に対する質問をはじめとする5項目の質問を記した質問書2を配達証明付速達内容証明便で調停委員会宛に送付しました。回答期限はやはり11月5日中とし、書面による責任ある回答を要請しました。

以下がその質問内容です。



質問書2(11月28日付け)

1.「書面での回答は行わない。その義務はない」というのでしたら、どのような法的根拠に基づいてそのように言われているですか?

2.15項目の質問事項は、いずれも書面で回答し国民に対して公表されても何ら問題のない、特定調停における基本的な法律事項や法手続き事項ばかりではありませんか? にもかかわらず、何故書面での回答は行わないのか、その理由はなんですか? 法的根拠の有無にかかわらず、お答え下さい。

3.一般的に言って、貴調停委員会が法令に拠らずに活動することができるのですか?

4.特定調停における基本的な法律事項や法手続き事項についての質問ばかりであるはずの15項目の質問に書面で答えないということは「書面で答えて公表されたら何か不都合なことがある」と一般国民に受け取られてもしかたがない、また「15項目の質問事項にあるような法令(強行規定である利息制限法をはじめとするそれら)を遵守せず、従って、信義及び公明正大性についておおいに疑義のある不透明な委員会だ」と貴調停委員会が一般国民に受け取られてもしかたないと思われますが、いかがでしょうか? また、「次の期日に貴方がくれば、調停委員が貴方の言い分を聞き、質問の内容についてもお答えします」ということなら、事前に書面でも回答はできるはずです。それなのに何故事前に書面で回答しないのですか? 一般国民から「責任を持ちたくないから、証拠を残したくないから、書面では答えないと言ったのだろう」「一般国民の基準からしても、法律家の基準からしても、通用しない回答なのだろう」と受け取られてもしかたないのではないでしょうか?

5.そのように一般国民に受け取られないためにも、法的義務の有無にかかわらず、先の15項目の質問事項について、貴委員会は書面で真摯に回答すべきではないでしょうか?



 10月29日夕方、当方の担当書記官より電話があり、前日伝言を要請した質問につき「文書の回答はしない。事件処理の中で回答していく」と調停委員会からの回答の伝言が、留守番電話に録れてありました。

「事件処理というのは申し立てが受理されてから終わるまですべてを言うと思うけれど、調停委員会からの伝言中の『事件処理の中』は要するに『期日の調停室の中』という意味だろう」と思って、担当書記官に電話で確認すると「そうです」とのことでした。

同じ電話で「28、29日に担当書記官より伝えられた通知内容の決定には調停主任である裁判官が関与している」ことも確認しました。



2.質問書3〜5・上申書・通知書の送付と、調停委員会の対応

この電話のあと、11月6日までの間に、当方は更に質問書3〜5・上申書・通知書を、武蔵野簡易裁判所調停委員会宛に送付しました。それらの質問事項及び内容は次の通りです。



質問書3(10月29日付け):

1.法令が当方の一連の質問書の送付を禁止していない以上、また法令が指定期日における調停室内でのやりとりのみを事件処理と定義していない以上、当方の質問書(指定期日に臨む準備のための質問事項や代理許可申請についてわからない点を問い合わせる質問事項からなる質問書)の送付も、それらに対する貴委員会の対応も、すべて事件処理の一環であると解するのが妥当だと思いますが、いかがでしょうか?

2.民事調停規則第8条の2は「調停に関与する者は、調停が適正かつ迅速に行われるように、期日外において十分な準備をしなければならない」と規定しています。「指定期日に臨む準備のための質問事項」や「代理許可申請についてわからない点を事前に問い合わせる質問事項」からなる当方の質問書は、この民事調停規則第8条の2の規定に基づくものです。この規定により「調停に関与するもの」の一員である貴調停委員会にも「調停が適正かつ迅速に行われるように、期日外において充分な準備をする」責務があり、当然、民事調停規則第8条の2に基づく当方の質問書に対して期日外に迅速に回答する責務があることになりませんか? 期日外に迅速に答えない場合には、特に当方の度重なる要請にもかかわらず「指定期日にしか回答しない」とこのまま言い続けているうちに指定期日に至ってしまった場合には、この民事調停規則第8条の2違反に該当することになりませんか?

3.更に言えば、そういう責務があるにもかかわらず、また「期日外で可能な限り迅速に、書面という責任ある形で答えてほしい」という趣旨の当方の度重なる要請にもかかわらず、書面という責任のある形で回答するのを拒み、指定期日の調停室内の非公開のやりとりでしか答えないと言い続けるのは、「指定期日の調停室内という非公開の場での、口頭による形に残らない回答ならするけれど、書面という形に残る責任ある回答は拒む」と言い続けることになり、法の一般原則である信義誠実原則の違反に該当することにもなりませんか?

民事訴訟法第2条は「裁判所は、民事訴訟が公正かつ迅速に行われるように努め、当事者は、信義に従い誠実に民事訴訟を追行しなければならない」とありますが、裁判所にも調停委員会にも当然「信義に従い誠実に民事訴訟を追行しなければならない」責務があるのではないでしょうか? とすれば、貴委員会は法の一般原則としての信義誠実原則に対する違反というだけでなく、民事訴訟法第2条違反にも該等することになるのではないでしょうか?

4.当方は最初の質問書において「特定調停は日本国民全体の権利と法益に関わる重要な法的手続きであるので、この質問書及び頂いた回答(回答なき場合はその事実)については、今後ホームページ・著作等のメディアを通じて公開し、また参考資料として、監督機関である最高裁判所にも送付する所存です」と明記しています。

筋の通った回答をいただければ、それを公表することによって、一般国民が広くこれを共有できることとなり、啓蒙効果として大きなものがあると同時に、透明性の確保による適正手続きの保障も含めて、貴調停委員会の信頼性や公明正大性も大いにアピールできることになります。それなのに、何故、書面での迅速な回答を拒み指定期日における密室での口頭による回答を主張し続けるのでしょうか? それは、法令違反・信義誠実原則違反に該当するのみならず、「貴委員会は信頼性・公明正大性・透明性において大いに問題があるのではないか? 公表の憚られる、形に残っては困る、筋の通らぬ回答しかできないのではないか?」と一般国民から思われてもしかたがないのでないでしょうか? ことは貴委員会の信頼性・公明正大性・透明性にも関わる問題だという点を十分に認識していただきたいです。

5.信頼性・公明正大性・透明性に問題があると一般国民に思われる危険までおかしてもなお、書面による回答を拒み続けることに正当な理由があるのなら、是非教えて下さい。もしもそれが本当に正当な理由であるのなら、一般国民も当方もなるほどと納得するでしょう。

6.今回担当書記官より伝えられた「事件処理の中で回答していく」というのは、やはり「指定期日における調停室内での非公開のやりとりの中だけで答える」という趣旨ですか? その場合は、第2番目の質問事項の中でも触れましたが、次のように一般国民から疑われる可能性があります。「調停室内でのやり取りは非公開だから、しかも口頭によるものだから、回答は形には残らない。だから、文書による、形に残る責任ある回答は拒むけれど、調停室内における非公開のやりとりの中で口頭なら答えると言っているのだろう」。そんな風に一般国民から疑われる危険をおかしても、それでもなお文書による責任ある回答を拒み続ける正当な理由があるというのなら、是非教えて下さい。

7.あらためて問いますが、何故、指定期日における調停室内での非公開のやりとりの中でなら答えるが、公開を前提とした書面による形に残る責任ある回答は拒むのですか?正当な理由があるのなら、法的回答義務の有無にかかわらず、是非書面で答えて下さい。書面による責任ある回答なきばあいは、正当な理由のないものと一般国民に思われてもしかたないでしょう。



質問書4(10月30日付け)

信義誠実原則という視点からの以下の質問にお答え下さい。

1.貴調停委員会にも当方にも相互に信義誠実原則に則ってやり取りしあう義務がありませんか? ないというのなら、是非ともその理由を教えて下さい。

2.法の執行者である裁判所の機関である貴調停委員会が信義誠実原則に則って活動すべき義務の度合いは、一般個人のそれよりもはるかに重いのではありませんか? そうでないというのなら是非ともその理由を教えて下さい。

3.民事調停規則第8条の2(調停に関与する者は、調停が適正かつ迅速に行われるように、期日外において十分な準備をしなければならない)が訓示規定であったとしても、民事調停規則第8条の2に基づく質問書について期日外に書面という責任ある形で迅速に回答するように何度も繰り返し当方が要請していることに対し、「指定期日にしか答えない」とだけ、貴調停委員会が正当な理由の開示・表明もなしに言い続けているうちに指定期日に至ってしまった場合、信義誠実原則違反に該当するのではありませんか? 該当しないというのなら、是非ともその理由を教えて下さい。

4.民事調停規則第8条の2に基づく当方の15項目の質問事項について、書面での回答を再三に渡って要請しているにもかかわらず、「書面では回答しない」と言い続けるのは、「書面という、形の残る、紛れのない明確な、責任ある回答はできない」と貴調停委員会が言い続けるのと同じであり、そのこと自体がまさに信義誠実原則違反に該当するのではありませんか? そうでないと言うのなら、是非ともその理由を教えて下さい。

5.「書面では答えない」ということについて、貴調停委員会がその理由を開示しないというのなら、そのこと自体が信義誠実原則違反ではありませんか? そうでないというのなら、是非ともその理由を教えて下さい。

6.「書面では答えない」ということにもしも本当に正当な理由があるのでしたら、その正当な理由を是非とも書面という責任ある形で教えて下さい。



質問書5(11月3日付け)

当方の一連の質問書への回答期限11月5日が迫っております。貴調停委員会としては当方の要望通り書面で回答する意思がおありですか? これについては@「書面で回答する意思がある」A「書面で回答する意思はない。その理由は〜である」B「書面で回答しない。その理由も開示しない」、概ね3通りの選択枝があると思いますが、どうぞ貴調停委員会の意思を当方に、書面という形に残る責任のある形で、下記ファックス番号に、11月4日中に送付下さい。



上申書(11月5日付け。11月6日午前10時18分到達)

当方の一連の質問書に対する貴調停委員会の対応の現状ですが、「回答期限である11月5日までに書面の回答をいただけるかどうか」についての質問を記した質問書5を送付したにもかかわらず、その回答期限を過ぎた11月5日午前0時1分の時点で、「回答の意思の有無」についても「回答の意思無き場合の理由」についても何らの回答もいただいていません。そういう現状から、「質問書1〜4に対する11月5日の回答期限内の回答はいただけない」ものと考えるに足る充分な理由が当方にはあります。

この間、当方は再三再四にわたって貴調停委員会に対して「書面による責任ある回答」を要請したにもかかわらず、貴調停委員会はそれに答えず、その理由についても一切開示してくれていません。

当方は「当方の質問書に対する貴調停委員会のこの間の対応は、民事調停規則8の2違反であり、また信義誠実原則違反ではないか」と質問書3及び4で問いましたが、それに対する回答も理由の開示もない以上、裁判上の自白の援用を持ち出すまでもなく、貴調停委員会によるかかる法令違反及び信義誠実原則違反の状態は、全く解消されていないと考えざるを得ません。

このまま何もせずに黙って11月7日の期日に出頭することは、かかる法令違反及び信義誠実原則違反の状態を追認しその違反状態の持続に加担し裁判所及び法の権威をないがしろにすることにも加担することとなると考えざるを得ず、当方は法治国家日本国の一国民として、そのような状態については到底追認も加担もできません。そこで以下の2つの申し立てを順次いたします。

申し立て1=期日延期の申し立て:

調停期日を7〜10日程度延期していただきたい。「その間に再考し、質問書に対する回答を書面でいただきたい。そのことによって、貴調停委員会による現在の法令違反、信義誠実原則違反の状態を解消していただきたい」というのがこの申し立ての趣旨です。

申し立て2=録音・ビデオ撮影許可の申し立て:

1が却下された場合には、11月7日の調停期日、まず冒頭に当方の質問書に対する貴調停委員会の回答とそれに関する質疑応答の時間帯を設け、少なくともその時間帯についてはこれを公開とし、録音・ビデオ撮影を許可し、また録音・ビデオ撮影者の立会いを許可していただきたい。それをもって、15項目の質問に対する書面による回答にかえていただいても当方としてはかまわないので、そのことによって貴調停委員会による現在の法令違反、信義誠実原則違反の状態を解消していただきたい。

当方としては、15項目の質問事項に対する貴調停委員会のその時の回答を踏まえた上で、貴調停委員会と忌憚のない意見交換を行い紛争解決方法を貴委員会と共に柔軟に検討したい。

申し立て1、2、いずれに付いても不受理・却下等の場合にはその理由もきちんと丁寧に書面で開示して下さい。

申し立て1について、当方は「かかる法令違反及び信義誠実原則違反の状態を追認しその持続に加担し法の権威をないがしろにすることに加担することは到底できない」ことを申し立ての理由にしていますので、不受理・却下等の場合は、その理由として、貴調停委員会には「かかる法令違反も信義誠実原則違反も存在しない」ことにつき、明確な法的根拠に基づく丁寧な説得力ある論証を是非行って、その結果を不受理・却下等の理由として開示していただきたいと思います。

申し立て2について、調停期日の非公開の趣旨は、「調停制度が、当事者が自由に意見を述べ合い、互譲によって平和的に紛争を解決しようとする手続であることから、手続を公開してその公正を担保するという要請がそれほど強くなく、かえって、当事者に外部の人間に気兼ねすることなくじっくりと話合いをさせるとともに、調停委員会にも事案に即した紛争解決方法を柔軟に検討させた上で、当事者と忌憚のない意見交換をさせることが相当であるという点にある」(平成15年1月20日、高松地裁、調停手続に関する違法を問う損害賠償事件判決)ということです。

しかし、

@「11月7日の期日は、調停委員と当方のやりとりになり、相手方を呼んでいない以上、当事者同士のやりとりはあり得ないので、『当事者が自由に意見を述べ合い』『当事者に外部の人間に気兼ねすることなくじっくりと話合いをさせる』という非公開の趣旨とはなんら関係がない。従って民事調停規則第10条の定める非公開は適用されない」

A「当方が、法令の適用や基本的な法的手続きについての15項目の質問等について調停委員会から答えを聞くことは、『調停委員会にも事案に即した紛争解決方法を柔軟に検討させる』という非公開の趣旨とはなんら関係がないので、民事調停規則第10条の定める非公開は適用されない」

B「『調停委員会にも事案に即した紛争解決方法を柔軟に検討させた上で、当事者と忌憚のない意見交換をさせる』という趣旨も、『法令や法手続きに関する15項目の質問、それ自体公開性のある質問に対して調停委員の回答を当方が得ること』とはなんら関係なく、当方はそれらの回答を踏まえた上で、貴調停委員会と忌憚のない意見交換を行い紛争解決方法を貴委員会と共に柔軟に検討する所存であることを本上申書中で明確にしている以上、民事調停規則第10条の定める非公開は適用されない」

以上@ABの理由により、当方の申し立て2について貴調停委員会が不受理・却下等とする法的理由はないことを主張します。よって、不受理・却下等の場合、その理由として、当方の上記の主張に対して「民事調停規則第10条の定める非公開は当方の申し立て2にも適用されること」との、明確な法的根拠に基づく丁寧な説得力ある論証を是非行って、その結果を不受理・却下等の理由として開示していただきたいと思います。

 現在の法令違反及び信義誠実原則違反の状態解消のために当方ができることは上記2つの申し立て以外に考えられません。そこで、申し立て1,2が不受理・却下等とされた場合には、次のことを申し立てます。

申し立て3:

貴委員会として、当方が上記のように提案した2つの方策以外で、現在の法令違反及び信義誠実原則違反の状態解消のための具体的方策を考え、実行していただきたい。実行していただくまでは、期日を延期していただきたい。

申し立て3について不受理・却下等とする場合にもその理由として、申し立て1の不受理・却下等の場合と同様の論証をし、開示することが是非必要でしょう。

以上3つの申し立てに対する貴委員会の結論とその結論に至った理由に付いて、書面という責任ある形でファックスにて、(FAX番号略)Aまで、遅くとも11月7日午前10時(次回調停日時である11月7日午後1時の3時間前)までに、速やかにお伝え下さい。(中略)

最後になりましたが、民事調停規則第17条により調停委員会を指揮する調停主任は、民事調停法第17条によって裁判官、即ち法の執行者でありエキスパートです。故に、上記の申し立て1〜3を却下する場合には、通りいっぺんの門前払いなどではなく、貴調停委員会が調停主任の指揮下に、一般国民にも法の専門家にも納得でき裁判にも耐えうるレベルの、当方の論陣を完璧に打ち破ることのできる、確たる法的根拠に基づく明快な論旨に基づく却下理由を開示されるよう、強力に要請いたします。

これは信義誠実原則を根拠とするところの、裁判官の良心に対する、そして調停委員会の良心に対する、強力要請でもあります。(憲法第76条は「すべて裁判官は、その良心に従ひ独立してその職権を行ひ」と定めると同時に「この憲法及び法律にのみ拘束される」とも定めています。この規定からも、調停主任が裁判官であり調停委員会がその指揮下にある以上、当方の申し立てに対する判断及びその理由について、確たる法的根拠が必要だということが当然言えます。また「裁判官の主観的良心と法の命じるところが食い違った場合に法が優先する」というのが通説的な考えです)。

そしてもう一つ、本上申書の到達は11月6日午前中と思われ、もう11月5日の回答期限をすぎていると思いますが、この書面をもって引き続き、繰り返し、当方の一連の質問書に対する書面による責任ある形に残る回答を、貴調停委員会に対し強力要請いたします。



通知書(11月6日朝送達。11月7日9時51分到達)

本通知書は、

@平成15年11月5日水曜日午前7時付けの上申書で申し立てた当方の3つの申し立てについて貴調停委員会がいずれも不受理・却下等とし、その事実及び不受理・却下等の理由を当方に伝達したが、「その理由が妥当性・正当性を欠く」と当方の客観的理性及び法的良心によって判断された場合。

A上記の3つの申し立てについての決定についても、その決定の理由についても、貴調停委員会が当方に対してなんら伝えてきていない場合。

上記@Aに該当すると当方が判断した場合に有効な文書として記すものです。それらの場合に貴調停委員会はこの文書の内容に対して適切と判断される対応をお願いします。(@Aに該当しないと当方が判断した場合には当方から11月7日午後1時までにその旨を連絡します。その旨の連絡がない場合は、この文書の内容は有効として、適切な対応をお願いします)。

1.武蔵野簡易裁判所が特定調停の申立人に配布している文書「特定調停事件の申し立てをされた方へ」中には「4.呼び出された期日には、必ず出頭して下さい。正当な理由がないのに出頭しなかったり、調停委員会の指示に従わないと、調停手続きを終了させることがあります」という記述があります。つまり「当方に正当な理由がある場合、当方が期日に出頭しなかったり、貴委員会の指示に従わなくても、貴調停委員会が調停手続きを終了させることはない」というルールが武蔵野簡易裁判所にはあるということです。

2.当方の3つの申し立てに対する貴調停委員会の対応の結果、当方は、貴調停委員会による民事調停規則第8条の2違反及び信義誠実原則違反の状態は相変わらず全く解消されていないと考えざるを得ません。そこで、この「当方としては、貴調停委員会による民事調停規則第8条の2違反及び信義誠実原則違反の状態は相変わらず全く解消されていないと考えざるを得ず、その違反状態について今回の期日に出頭することによって追認し加担することは法治国家日本国の一国民として到底できない」ことを理由に、当方は今回の期日(11月7日午後1時)には出頭しません。当方としては上記の理由を不出頭の正当な理由であると考えます。

3.「当方に正当な理由がある場合、当方が期日に出頭しなかったり、貴委員会の指示に従わなくても、貴調停委員会が調停手続きを終了させることはない」というルールがあるので、当方が正当だと主張する上記の理由を貴調停委員会が法的根拠に基づいて十分論駁し、それが正当な理由ではないと客観的に認定される程度の理由を当方に対して責任ある形で示した上でないと、当特定調停の終了を当方に通告することはできず、期日延期状態が続く事態にもなりかねません。

4.当方の不出頭に対して、貴調停委員会としては、

(z@)放置しておく。

(zA)あらためて当方の15項目の質問に書面で回答する。

(zB)当方の不出頭の理由が正当な理由ではないことを十分論駁し、その論駁の内容と共に当方に本特定調停の終了を通告する。

(zC)当方の不出頭の理由が正当な理由ではないことを論駁せず、従ってその論駁の内容を伝えることのないまま、適当な理由付けをした上で、それと一緒に本特定調停の終了を当方に通告する。

など、対応についてはいろいろな選択肢があると思いますが、いずれにせよ、どう対応するか、貴調停委員会として早急に決めたうえで知らせて下さい。当方に終了を通告する場合、

@何法の第何条に基づく終了なのか

A終了の理由は何か?

B抗告はできるのか? その根拠法令は何か?

については必ず明記した上で、書面で通告して下さい。

5.対応が決まり次第、必ず書面という責任ある形で、(FAX番号略、住所略)Aまで伝達して下さい。 どうしても書面で伝達したくない場合は、(電話番号略)A宛の電話による、担当書記官経由の伝言による伝達、または調停委員・調停主任による直接の伝達でも結構です。但し、その場合、責任をもって伝達していただくために、電話を録音させていただきますので、貴調停委員会としては「当方が貴調停委員会からの伝達を電話録音すること」をあらかじめ承諾の上、電話による伝達をして下さい。当方の電話が留守電の場合は、録れておいて下さい。

11月5日付けの上申書にも記しましたが、民事調停規則第17条により調停委員会を指揮する調停主任は、民事調停法第7条によって裁判官、即ち法の執行者でありエキスパートです。故に、当方の不出頭の理由が正当な理由でないと主張される場合には、貴調停委員会は裁判官である調停主任の指揮下に、一般国民にも法の専門家にも納得でき裁判にも耐えうるレベルの、当方の論陣を完璧に打ち破ることのできる、確たる法的根拠に基づく明快な論旨に基づく根拠を開示されるよう、強力要請いたします。

これは信義誠実原則を根拠とするところの、裁判官の良心に対する、そして調停委員会の良心に対する、強力要請でもあります。(憲法第76条は「すべて裁判官は、その良心に従ひ独立してその職権を行ひ」と定めると同時に「この憲法及び法律にのみ拘束される」とも定めています。この規定からも、調停主任が裁判官であり調停委員会がその指揮下にある以上、当方の申し立てに対する判断及びその理由について、確たる法的根拠が必要だということが当然言えます。また「裁判官の主観的良心と法の命じるところが食い違った場合に法が優先する」というのが通説的な考えです)。

そしてもう一つ、この書面をもって引き続き、繰り返し、当方の最初の質問書の15項目の質問に対する書面による責任ある形に残る回答をいただけますよう、貴調停委員会に対し強力要請いたします。それが、貴調停委員会による現在持続中の法令違反及び信義誠実原則違反の状態を解消するためのもっとも素直にして筋の通った方法であると確信するからです。

11月7日午前10時5分、担当書記官より「期日を11月18日午後2時に変更する」とのファックスによる通知が来ました。すぐに「当方の病院の都合で期日を11月19〜21日に変えて欲しい」「当方としては法治国家の一国民として単に当たり前のことを当たり前に問いかけ続けているだけであり、本当に調停委員会の皆さんの良心・良識・信義・フェアープレイの精神を信頼している。一つの結論が得られるまで続ける所存である」という内容のファックスを入れてました。11月14日の朝、担当書記官から「期日を11月21日午後2時に変更する」旨のファックスが入っていました。



3.期日変更に対する対応

 ところで、期日変更の通知に対して、当方は11月8日に通知書2を、同9日に質問書6を、内容証明便で送付することによって早速対応しました。それらの内容は次のとおりです。



通知書2(11月8日付)

 昨日(11月7日)午前10時5分、貴調停委員会より期日変更の通知をファックスでいただきました。この変更された期日に対する当方の方針をお知らせします。それは、変更された期日についても、前回の通知書(内容証明便116−50 62712−2)で通知しました内容が有効であるということです。

前回の通知書の3ページ目の、

「1.武蔵野簡易裁判所が特定調停の申立人に配布している文書」以下に記したことがそっくりそのまま変更された期日に対する当方の方針だということです。

 第2項の冒頭の「当方の3つの申し立てに対する貴調停委員会の対応の結果、」は削除し、また、同じ第2項の「今回の期日」及び「今回の期日(11月7日午後1時)」は「変更された期日(現在のところ、11月18日午後2時)」に置き換えた上で、もう一度前回の通知書を読みなおして下さい。それが当方の方針です。

その上で、そしてこれまでに当方が送付した一連の書面も再読の上、どうぞ貴委員会として迅速に公正に適法に対応して下さい。

(今後期日の変更・延期等が繰り返された場合についても、当方の方針は全く同じです)。

この書面をもって引き続き、繰り返し、最初の質問書の15項目の質問に対する書面による責任ある形に残る回答をいただけますよう、貴調停委員会に対し重ねて強力要請いたします。それが、現在持続中の法令違反及び信義誠実原則違反の状態を解消するためのもっとも素直にして筋の通った方法であると確信するからです。(以下、略)。



質問書6(11月9日付け)

調停当事者の「期日外の質問権」について、貴調停委員会にお尋ねします。

1.武蔵野簡易裁判所が調停の当事者に郵送している「調停期日呼出状」には、「分からない点は、お気軽に当裁判所にお問い合わせ下さい」と記されていますが、これは民事調停規則第8条の2「調停に関与する者は、調停が適正かつ迅速に行われるように、期日外において十分な準備をしなければならない」に基くものであり、調停当事者の「期日外の質問権」及びそれと表裏一体の「裁判所の(=調停委員会の)、期日外の質問に対して次回期日のはじまる前に迅速に回答しなければならない、回答義務」が調停実務における当然の前提となっていることの動かぬ証拠ではありませんか?

2.回答者が裁判所(調停委員会)という公的機関である以上、無責任な回答は決して許されず、当然、責任ある回答をしなければならない義務があることになりませんか?

3.責任ある回答という場合、事後に第三者のチェックを受けることの出来る、形として残る回答であることが必要不可欠で、事後の第三者によるチェックができない、口頭による回答では責任ある回答とはいえず、書面や録音などによる回答でなくては責任ある回答とはいえないのではありませんか?

4.調停当事者から「責任ある形に残る回答を下さい」「回答は書面で下さい」などと要請されようとしまいと、本来どんな場合にでも、後に第三者によってチェックされることの出来る形の回答(書面や録音による回答)をしなければならないのではありませんか?

訴訟当事者から「書面で回答して欲しい」「回答を録音させて欲しい」と要請されたらもちろん当然そうしなければならないのではないですか?

5.「期日外の質問」に対しては、当然次の期日がはじまる前に迅速に答えなければならないのではないですか?

6.今後、もしも貴調停委員会が当方の「期日外の質問」に書面という責任ある形で回答しないまま、正当な理由も無いのに更に期日を延期するようなことがあると、民事調停規則第8条の更に一層重大な違反に、そして信義則の更に一層重大な違反にも、なりませんか?

 なお、通知書2において繰り返し、最初の質問書の15項目の質問に対する書面による責任ある形に残る回答するよう重ねて強力要請し、更に質問書6において、その質問書と同じ回答期限(次回期日の1日前の午前0時まで)・同じ送付先(A宛)で、最初の質問書の15項目の質問に対する書面での責任ある回答をあらためて強力要請しました。

 更に、11月12日付けの質問書7で、次の7項目の質問を追加しました。(回答期限はやはり、次回期日の1日前の午前0時まで)。



質問書7(11月12日付け)

A.調停において、「法の定めるところから離れることがあってもよい」ことを、法自身が許容している範囲について。

1.武蔵野簡易裁判所が調停の当事者に郵送している「調停期日呼出状」には、「1.実情に沿った紛争解決ができるように・・・」と記されていますが、これは民事調停法第1条「この法律は、民事に関する紛争につき、当事者の互譲により、条理にかない実情に即した解決を図ることを目的とする」に基くものであり、その解決の内容が「法の定めるところから離れることがあってもよい」(弘文堂刊、三ケ月章著「民事訴訟法」昭和54年版13ページ)という趣旨ですが、貴調停委員会もその線に沿って、解決の内容としての調停案を模索し策定してきているのではありませんか?

2.特定調停において、結論として「実情に沿った」「法の定めるところから離れることがあってもよい」調停が調停委員会によってなされることを上記のように法は許容しています。しかし、(その結論に至る前の)調停プロセスの中で、調停委員会が「法の定めるところから離れること」=「法令や法の一般原則等に違反すること」を法が許容しているわけでは全く無いのではありませんか?


B.調停委員会の「中立」に関する質問

3.強行法規である利息制限法は「経済的弱者である債務者の保護」を目的とする法律です。(有斐閣「民事法学辞典」昭和35年版、下巻286ページ)。その目的にもある、「貸金業者=強者、債務者=弱者」という前提は、特定調停や債務弁済協定調停においても当然の前提ではないのでしょうか? 特定調停法第1条(目的)中の「支払不能に陥るおそれのある債務者等の経済的再生に資するため」も、この前提に基づいて解釈されるべきものではありませんか?

4.貴調停委員会は貸金業者と債務者にたいして「中立」の立場をとっている、と担当書記官から聞きました。それは事実ですか?

5.それが事実の場合、その「中立」の立場というのは、強者と弱者間の力関係を黙認することになり、実質的平等という意味での(特定債務者の経済的再生に資するとの観点からの)「公正かつ妥当で経済的合理性を有する」(特定調停法第15条、同第17条2項)内容の調停とはかけ離れた内容の調停を行うことに通じることになりかねず、妥当性を欠く不適切な立場ではありませんか?


C.憲法第14条1項「法の下の平等」との関連で。

6.特定調停の期日及び期日外において、

(z@)法の知識の十分ない一般国民の申立人が単独で調停に臨む場合、と、

(zA)彼が弁護士・司法書士などの代理人を介在させて調停に臨む場合、とでは、

貴調停委員会の対応(強行法規としての利息制限法の適正適用の如何、全取引経過開示の努力の程度、法手続きの適正運用の程度、結論としての調停案の実情即応性や妥当性の程度、等々)に差別がありますか? ありませんか?

 差別がある場には「法の下の平等」に反することとなりませんか?

7.更に、その場合、調停期日呼出状に「調停は法的知識の不十分な方でも、本人だけで手続きが進められます」「分からない点はお気軽に当裁判所にお問い合わせ下さい」と書いてある以上、一般国民に対する重大な信義誠実原則違反になりませんか?

 これらの質問について、延期された次回期日までの書面による回答を求め、最初の質問書の15項目の質問についても同じ期限での書面による回答を重ねて要請し、更にこの質問書7の最後には、次のように記しました。

書面による回答なき場合は、通知書2(内容証明便116−50 62757−5)に記した方針通り、当方は次回期日には出頭しません。その不出頭を理由に、本調停を不調・終了させる場合は、「貴調停委員会は当方に対して、民事調停規則第8条の2違反を犯していないし、また信義誠実原則違反も犯していない。従って、当方の主張する不出頭の理由は正当な理由とは言えず、その、不出頭の正当な理由のないことを根拠に本調停を終了させる」と、当方の論陣を完璧に論破できるレベルの緻密な論によって証し、そのレベルの論をもって本調停終了の事由として当方に明快に責任ある書面にて開示されることを、貴調停委員会に対して繰り返し強力要請します。



4.調停終了通知と、それへの対応

 調停委員会からの、質問書7に対する回答はありませんでした。(質問書1に対する回答も同様でした)。質問書7おいては、書面による回答の代わりに電話で回答する場合には録音を録らせてもらうことを条件としてありましたが、電話による回答もありませんでした。回答期限である11月20日午前0時までに回答のないことはまず間違いないと思われたので、それを見越して、11月20日の午前中、「平成15年11月21日午前到達予定」として次の要請書を内容証明便で調停委員会に送付しました。



要請書(11月20日付け)

本日(11月20日)午前0時の回答期限を過ぎましたが、11月12日付の質問書7(内容証明便116−50 62847−4)で要請しました、当方の最初の質問書(内容証明便116−50 62438−1)に対する貴調停委員会の書面による責任ある回答はいただけませんでした。よって、質問書7に記しました通り、11月21日午後2時の期日に当方は出頭しません。

不出頭の理由は前回と同じです。

当方としては、貴調停委員会による民事調停規則第8条の2違反及び信義誠実原則違反の状態は相変わらず全く解消されていないと考えざるを得ず、その違反状態について今回の期日に出頭することによって追認し加担することは法治国家日本国の一国民として到底できません。

これまでに当方が送付した一連の書面全てを再読の上、どうぞ貴委員会として当方の不出頭に対して、法令と法の一般原則に則って、迅速で公正で適法な責任ある対応をして下さい。

11月6日付の通知書(内容証明便116−50 62712−2)に詳しく記しましたが、武蔵野簡易裁判所には「当方に正当な理由がある場合、当方が期日に出頭しなかったり、貴委員会の指示に従わなくても、貴調停委員会が調停手続きを終了させることはない」というルールがあります。

当方に終了を通告する場合には、

@何法の第何条に基づく終了なのか

A終了の理由は何か?

B抗告はできるのか? その根拠法令は何の何条か?

については必ず明記した上で、書面で通告して下さい。

11月5日付の上申書(内容証明便116−50 62675−0)や11月6日付の通知書(内容証明便 116−50 62712−2)にも記しましたが、民事調停規則第17条により調停委員会を指揮する調停主任は、民事調停法第7条によって裁判官、即ち法の執行者でありエキスパートです。故に、当方の不出頭の理由が正当な理由でないと主張される場合には、貴調停委員会は裁判官である調停主任の指揮下に、

「貴調停委員会は当方に対して、民事調停規則第8条の2違反を犯していないし、また信義誠実原則違反も犯していない。従って、当方の主張する不出頭の理由は正当な理由とは言えない」

ことを、一般国民にも法の専門家にも納得でき裁判にも耐えうるレベルの、当方の論陣を完璧に打ち破ることのできる、確たる法的根拠に基づく明快な論旨に基づく根拠を書面という事後の検証の可能な責任ある形で開示されるよう、強力要請いたします。

これは信義誠実原則を根拠とするところの、裁判官の良心に対する、そして調停委員会の良心に対する、強力要請でもあります。(憲法第76条は「すべて裁判官は、その良心に従ひ独立してその職権を行ひ」と定めると同時に「この憲法及び法律にのみ拘束される」とも定めています。この規定からも、調停主任が裁判官であり調停委員会がその指揮下にある以上、当方の申し立てに対する判断及びその理由について、確たる法的根拠が必要だということが当然言えます。また「裁判官の主観的良心と法の命じるところが食い違った場合に法が優先する」というのが通説的な考えです)。

期限をすぎても回答がなかったので、11月21日の期日には出席しませんでした。(この時期叔母の容態は悪化していたので、回答があった場合には私1人で、許可代理人として出席する予定でした)。それに対して、11月21日付けの調停終了通知が調停委員会より郵送されてきましたが、終了事由としてただ「不成立」と記されているだけで、それ以外は何も記されてはいませんでした。そこで、11月27日付けの質問書8を、調停委員会に送付しました。その内容は以下の通りです。



質問書8(11月27日付け)

調停終了通知を受け取りました。それについて、貴調停委員会にお尋ねします。

A:終了の理由について

11月7日付の通知書にも書きましたが、武蔵野簡易裁判所が特定調停の申立書に配布している文書「特定調停事件の申立てをされた方へ」中には「4.呼び出された期日には、必ず出頭して下さい。正当な理由がないのに出頭しなかったり、調停委員会の指示に従わないと、調停手続きを終了させることがあります」という記述があります。つまり「当方に正当な理由がある場合、当方が期日に出頭しなかったり、貴委員会の指示に従わなくても、貴調停委員会が調停手続きを終了させることはない」というルールが武蔵野簡易裁判所にはあるということです。

にもかかわらず、今回、貴調停委員会が当方に調停終了通知を送付されたということは、「当方が主張している不出頭の理由が正当ではない」と貴調停委員会が判断したことになると思います。

 そこでお尋ねします。

1.何故貴調停委員会が「平成15年(特ノ)第150〜158号」について、「不成立」を終了事由として終了されたのか、その理由を詳しく教えて下さい。

2.「当方が主張している不出頭の理由が正当ではない」と貴調停委員会が判断したのであれば、そう判断した理由を詳しく教えて下さい。

3.貴調停委員会は当方に対して、民事調停規則第8条の2違反も、信義誠実原則違反もおかしていないと考えているのですか? そうだとしたら、その根拠を詳しく教えて下さい。

B.終了の根拠法令について

4.今回の終了は何法の第何条に基づくものですか? その根拠法令を教えて下さい。

C.総括的質問

5.貴調停委員会のメンバーの皆様は、当方のこれまでの質問(いずれもごく基本的な質問ばかりです)に責任ある形で答えることも、答えないことについての理由を開示することも、一切しなかったご自分達自身をどう思われますか? そういう調停活動に疑問を持ちませんか? 何故そんな不明朗な、法的にも問題あると思われる調停活動をされるのですか? それで、形式的にはともかく、実質として、裁判所の活動に携わる資格があるのですか? ご自分たちの活動の基盤である法と裁判所の権威を、そして他ならぬご自分たち自身の権威をないがしろにするようなことをされていませんか? 貴方達は法や条理ではなく、一体何に従っているのですか? 今後、可能な範囲で修正していこうとは思われませんか?


以上の質問について、「5についてはお答えいただかなくても結構ですが、1〜4については是非書面で12月2日火曜日いっぱいまでにお答え下さい」と要請しました。また調停委員会からの終了通知書は未使用の切手が同封されており、それらについての返還切手受領書の提出が求められていたが、それについては「なお、返還切手受領書については、貴調停委員会の終了理由に筋がなく、当方としては終了を認められないので、筋の通った回答をいただかない限り、提出はしません」と記しました。

調停委員会からは回答期限を2週間過ぎてもなんの回答もありませんでした。そこで、こちらから、次の「終了通知書」を調停委員会あてに送付しました。



終了通知書(12月23日付け)

貴調停委員会が当方に送付してきた11月21日付けの調停終了通知には、当方の度重なる指摘や要請にもかかわらず、終了理由がただ「不成立」とあるだけで、「当方が期日不出頭について主張した理由は正当ではないと」とするような貴調停委員会の判断は一切記載されておらず、裁判所の公的法的文書としてはその有効性に大いに疑義があると思われました。そこで、当方は11月27日付けの質問書8でその疑義について貴調停委員会に問いただしましたが、その回答期限である12月2日を2週間以上過ぎた現時点に至ってもなんらの回答もないため、当方より申し立てた一連の特定調停(平成15年特ノ150〜158号)は法的には未だ終了していないものと考えざるを得ません。

そこで本日当方よりあらためて以下の終了事由を明記した本終了通知を貴調停委員会宛に送付することによって、あらためて本特定調停を法的に正式に終了させたいと思います。

終了事由

1.武蔵野簡易裁判所が特定調停の申立書に配布している文書「特定調停事件の申立てをされた方へ」中には「4.呼び出された期日には、必ず出頭して下さい。正当な理由がないのに出頭しなかったり、調停委員会の指示に従わないと、調停手続きを終了させることがあります」という記述がある。つまり「当事者に正当な理由がある場合、期日に出頭しなかったり、貴委員会の指示に従わなくても、貴調停委員会が調停手続きを終了させることはない」というルールが貴調停委員会にはあるということである。しかし、貴調停委員会が当方に送付した調停終了通知には「当方が期日不出頭について主張した理由は正当ではないと」する貴調停委員会の判断は一切記載されていなかった。そこで、当方は貴調停委員会に対して、11月27日付けの質問書8で以下の点について尋ねた。

@何故貴調停委員会が「平成15年(特ノ)第150〜158号」について、「不成立」を終了事由として終了されたのか、その理由を詳しく教えてほしい。

A「当方が主張している不出頭の理由が正当ではない」と貴調停委員会が判断したのであれば、そう判断した理由を詳しく教えてほしい。

しかし、その質問に対する回答期限を2週間以上すぎた現時点に至るまで、貴調停委員会からはなんの回答もなかった。即時抗告等の申し立て期限が2週間であることとのバランスから、貴調停委員会が自らに課し一般国民に対しても公開している「当事者に正当な理由がある場合、期日に出頭しなかったり、貴委員会の指示に従わなくても、貴調停委員会が調停手続きを終了させることはない」というルールを貴調停委員会が自ら破ったことが確定したと考えざるを得ない。

2.また、貴調停委員会は当方の一連の質問書に回答せず、そのことについて当方より民事調停規則第8条の2違反及び信義誠実原則の重大な違反を度々指摘されたにもかかわらず、一切無視し続けたまま、11月21日付けの終了通知を当方に送付した。これに対し、当方は貴調停委員会に対し送付した質問書8で次のことを尋ねた。

B貴調停委員会は当方に対して、民事調停規則第8条の2違反も、信義誠実原則違反もおかしていないと考えているのか? そうだとしたら、その根拠を詳しく教えて欲しい。

しかし、その質問に対する回答期限である12月2日を2週間以上すぎた現時点に至るまで、貴調停委員会からはなんの回答もなかった。故にこちらもまた、即時抗告等の申し立て期限が2週間であることとのバランスから、貴調停委員会の民事調停規則第8条の2違反及び信義誠実原則の重大な違反が確定したものと考えざるを得ない。

3.現在、全国の特定調停のうち、申立人にとって納得できる結果に終わったものが8〜9割、納得できない理不尽な結果に終わったケースが8〜9割というアンケート結果がある。貴調停委員会が一般的に申し立て人にとって納得のいかない理不尽な調停をしているとまでは決して思わない。しかし、今回、当方とのやりとりの中で、貴調停委員会が「当事者に正当な理由がある場合、期日に出頭しなかったり、貴委員会の指示に従わなくても、貴調停委員会が調停手続きを終了させることはない」という自らのルールを自ら破り、また法令(民事調停規則第8条の2)違反及び法の一般原則(信義誠実原則)の重大な違反を犯し、それらを通じて自らの存立基盤である法と裁判所の権威を貶めたと判断せざるを得ず、そのような調停委員会に一連の調停をこれ以上委ねることはできないと判断した。よって、当方より、特定調停の終了を貴調停委員会に対して通知するものとする。

5.一連の送付文書の意図と今後の目標

 現在、全国の特定調停において程度の差はあれ、調停委員会が「調停の非公開」を隠れ蓑として、指定期日の「非公開」の調停室という密室の中で不当・違法なことをしている事例がいろいろあることが、特定調停に実際にかかわりながらいろいろ勉強しているうちにわかりました。また、今回かかわった武蔵野簡易裁判所の調停委員会にもそういう傾向があることが、調停委員の態度や、私の質問に対する担当書記官の答えなどから感じられました。

 「どうせ特定調停にかかわるなら、期日外の質問権を活用して、事前に調停委員会の手の内を公開させることによって、その密室での不当な調停活動に歯止めをかけたい」「そういう不当な調停活動について自分なりに公に問題提起してみたい」「もしも15項目の質問書の回答をもらえたら、それを一般の眼に触れうる形で公開し今後の特定調停利用者に一つの参考材料として活用してもらえるようにしておきたい」と思い、最初の質問書を記して送付し、調停委員会の対応に応じて、あとの文書も記して送付しました。結果として回答は一つももらえませんでしたが、そのことも含めて、現在の特定調停の実態の一端を浮き彫りにできたと思います。インターネットや出版物による公開はまだ果しておらず、これからの課題ですが、一つの方法として、こういう方法で調停委員会の非公開を隠れ蓑にした法令・法原則違反の不当な調停活動に歯止めをかけられる可能性のあることを今後の特定調停申立人やその代理人の方々に、そして一般国民の方々に、広くアピールしていきたいと思います。また、もしも今後、本特定調停について法令違反をおかし、正当な根拠なくして本特定調停を終了してしまったと考えられる武蔵野簡易裁調停委員会の法的責任を問えるなんらかの機会があれば積極的に取り組みたいと思います。



5.結びに代えて

 「調停委員会の、一般市民に対する対応と、弁護士や司法書士に対する対応とは、かなり違うのではないか? それは平等原則に反するのではないか?」

「貸金業者と同じで、専門家が一般市民の無知につけこむようなことを平気でやっているのではないか? こちらが知らなければ、何をしてもいいと思っているのか?」

「それにしても、裁判官って誰よりも法令や法の一般原則に通じそれらを遵守すべき人達ではないのか? そういう法の番人であり執行者であり専門家であるはずの人達に対して、私のような一般市民がここまでしてコンプライアンス(法令遵守)を問わなければならないというのは、ありがちかもしれないけれど、とても異常なことではないか?」

などの点を、はじめは一市民として特定調停に期待していた私も、今回の調停委員会とのかかわりの中で強く意識せざるを得なくなりました。 最近縁のできた多重債務者の友人から「2003年10月に東京簡易裁に特定調停を申し立てたところ、それまで月7万円だった支払いが、17条によって月9万円にされてしまった」という話を聞きました。私の身近の2つの事例が両方とも、「多重債務者に優しい特定調停」とは程遠かったわけです。

こんな状態を放置しておいたら、正に「仏作って魂入れず」の、多重債務者に冷たく貸金業者においしい特定調停が、今後も増え続けこそすれ、減ることはないでしょう。私の叔母も(ということは、実質的に彼女の代理人である私も)、不当かつ違法に特定調停を終了された特定調停被害者に他なりません。その立場と経験から、私は次のように思っています。

特定調停被害はもうこれ以上繰り返されてはならない。特定調停を「真に多重債務者に優しい制度」に変えていきたい。そのために今後もできるだけのことをしたい。

なお、叔母はこの(2004年)5月にやっと退院し、要介護2級の認定を受けてヘルパーさんに介護され、精神科の病院やその他の複数の病院に定期的に通院しながら、なんとか生活しています。その多重債務については、私が委任状を貰うなどして貸金業者に当たって様々な主張を行った結果、特に支払うことなくほとんど解決し、あとは基本的に3社からの過払い金返還交渉を残すばかりとなり、その点において、あの武蔵野簡易裁での特定調停に頼った場合よりもはるかに正当で有利な最終解決がすでに実現されているということを記して、この文章の結びに代えさせていただきます。




感想

 「仏作って魂入れず」という厳しい問いかけについて、裁判所関係者は、どのように答えるのだろうか。

 制度の利用者の問いかけに誠実に答える、ということは、基本的な公務員の義務だと思うが、どうなのだろうか。

 「特定調停により救われた」という大勢の利用者もいることも事実であるが、一人でも、この方のように不信をもつ人が出てくるということは非常な問題である。

 1000万円が利用できる調停を目指して調停対策会議は活動している。