2007年1月3日の日記
日本が危ない!ヤミ金で働く若者の将来!

サイト掲載: 2007年 1月 5日

 昨年、最も驚くべき変化は、ヤミ金で働く若者の変化だった。
 1昨年まで、ヤミ金で働く若者も、一応、弁護士からの電話や介入通知に対して、それなりの「一目置く」という対応だったと思う。
 ヤミ金から相談を受けた場合には、それ以外の相談とは異なり、「即座」に対応する必要がある。
 時と所を問わず、あらゆる方法で「取立て」をする。
 一応、貸金業規制法の適用を受ける業者の場合は、「支払義務のない第三者に対して請求することはできない」。もし、それに反して、「支払義務のない第三者に対して請求」すれば、処罰される。
 しかし、ヤミ金には法律は関係がない。
 ヤミ金の請求は、ますます巧妙でひどいものになっている。
 まず、私が相談にのった事例では、次ぎのようなものがある。

1、典型的ヤミ金
 一応、現実に金を貸す。多くは5万円以下。振込料を引くもの、手数料を引くものなどいろいろなものがある。利息は、1週間で50パーセント程度が最も多い。10日で50パーセントがその次ぎに多い。1週間で100パーセントを超えるものもある。
 借りるきっかけは、直接、携帯電話や家電に電話をしてくるというものと、ダイレクトメールがある。

2、現実に金を貸さないヤミ金
(融資の金を振り込むという電話をしてきて、違約金や情報削除料などの名目で金をとる)
 突然、勤務先などに「融資する金の準備ができたので、金を振り込む」などの電話がくる。覚えのないことなので、「借りるつもりはない」というと、「あんたが融資の申込みをしたので、融資する準備をしたのに借りないのか」と脅し、「借りない」というと、「あんたが金を借りたいと申し込んだ情報が登録されている。この情報を削除しなければ、また、あんたのところに融資の電話がある。その情報を削除するために、○○万円の金を払え」「あんたが融資の申込みをしたのでその準備をした。違約金を払え」などという言いがかりを付ける。

3、地元のヤミ金は、さらにひどい。
 地元のヤミ金は、直接、手渡しで金を貸し、手渡しで利息を受け取るため、証拠となるものが、全く手元にない。しかも、借り主の状況がわかっているため、失業したり病気になったりすると、利息の支払を免除する。そのため、長く、長く、違法な高額の利息を支払い続けさせられ続ける。
 私が相談にのった事例では、次ぎのようなものがあった。

 2の付く日  10万円を借りた利息10,000円の支払日
 3の付く日  5万円を借りた利息5,000円の支払日
 5の付く日  3万円を借りた利息3,000円の支払日
 7の付く日  2万円を借りた利息2,000円の支払日
 8の付く日  4万円を借りた利息4,000円の支払日
 9の付く日  7万円を借りた利息7,000円の支払日

 というふうな金の借り方をして、総額65万円を借り、10日毎に65,000円、一月で195,000円を支払っているというのがあった。
 相談者はメモももっていない。記憶では、一番最初に借りたのは2年位前だという。

 何時借りたかも、失業で支払っていない期間も明確にはできない。

 ヤミ金の相談を受けた場合、すぐに、その場で、ヤミ金に電話をする。
 まず、相談者に電話をしてもらって、「FAX」番号を聞いてもらうのだ。
 FAX番号を聞かないと、介入通知が出せない。
 相談者が、弁護士に相談をして弁護士事務所から電話をしているというと、「弁護士に電話に出ろ」ということになる。
 弁護士が電話に出ても、ヤミ金の対応は、ひどいものだ。

「そうですか。うちは、払ってもらうものは払ってもらいますから」
「どうぞ、どうぞ、警察にでもなんでも言ってください。」
「口座の凍結、幾らでもしてください。うちは、常時100の口座を準備してますから」
「携帯電話も、何本も準備していますよ。」

 というような対応が多くなった。
 私が、相談者に電話をさせている最中に、相談者の勤務先、相談者の実妹の勤務先にまで請求の電話をした事例があった。
 そのため、そのヤミ金に二度目の電話をして、「なぜ、相談者の勤務先や、妹さんの勤務先に電話をするのだ」と抗議をすると、「うちは、うちのやり方でやらせてもらいます。こちらの約束どおりの支払をしてもらうまで、やります」と堂々と主張する。
 私は、ヤミ金との会話は、すべて録音することにしている。
 いざとなって証拠となるのは「録音」しかないのだから。
 名前は偽名、携帯電話も本人のものではない、口座も別人のものということなのだから、録音のみが唯一の証拠なのだ。
 相談者の勤務先に電話をして事情を話し、相談者の妹の勤務先に電話をして事情を話して理解を求める。
 そして、相談者と事務員に録音したテープを持たせ、警察に行き、警察からヤミ金に電話をしてもらうよう依頼させた。
 ところで、まもなく帰って来た相談者は、警察官から、「警察が電話をしたら、もっとひどいことになる。ほっておけばいいから」と言われて帰されたという。
 驚いた私は、すぐに、警察に電話をして、相談者に対応した警察官に事情を聞いた。

 確かに、その警察官は、「僕らも、現実に、警察から電話をしてひどい目にあったのをみてますから」としゃーしゃーとのたもうた。
 警察官から電話をして、さらに、ひどい目にあった人がいたら、そのヤミ金は「許さない」という怒りをもって、対応してもらいたいと思うが、それは、土台無理な話のようだ。
 そのため、ヤミ金は、警察を「なめきっている」。
 このような中で、私は、ともかく、相談者とその家族に、「一切、理由のない金を払わないこと」「電話がきたらその時間と内容をメモしておくこと」をしつこく話す。

 ヤミ金がひどいことをするということが広く報道されるようになり、ヤミ金なみの利息が、個人間、特に、知人間でもとられるようになっている。
 昔、「トイチ」というのは、「10日に1割(10パーセント)」といい、やくざの高利金融の代名詞だった。
 ところが、私が、この間相談にのった事例では、女性同士の知人間で、2〜3万円程度の貸し借りをし、約束した日に返済しなかった場合には、「倍返し」をするという約束をし、現実に、「倍返し」をしたというのがあった。この「倍返し」をさせた友人は、法廷においても、悪びれることなく、「約束の日に返してくれない場合には、倍返ししてもらう約束をし、倍返ししてもらった」と証言した。

 ヤミ金のやり方が、広く報道されるようになり、「そんなひどいことが」と思う人と、「そんなに利息がもらえるんだ」という理解をする人がいるということのようだ。

 このような中で、私が、一番、心配していることは次ぎのようなことだ。
 「ヤミ金で働く人」が、今後、日本人として、どのような人生を送るのだろうかということだ。
 やくざ・暴力団というのは、警察が把握している。しかし、警察が把握しているヤミ金は、ごく一部ではなかろうか。
 「人を騙す」ことを職業とするヤミ金やヤミ金紛いの仕事をしている「若者」は、税金も納めず、人を騙すことに快感を覚え、社会のルールを守らないことをモットーとしているのだ。
 やくざ・暴力団は、自分達が「社会のはみ出し者」であることを認識していると思う。それだけでも、ヤミ金やヤミ金紛いの仕事をしている人より「まし」だと思う。
 ヤミ金やヤミ金紛いの仕事をしている人も、やがて人の親となり、社会の中核となる年齢となる。もう、なっている人もいるのだろう。
 「人を騙した人」「社会のルールを守らない人」に対しては、「人を騙してはいけない」「社会のルールを守らなければならない」ということを、思い知らせなければならない。
 しかし、今の日本では、「人を騙しても処罰されない」「社会のルールを守らなくても、社会的制裁を受けない」という「グレーゾーン」がどんどん拡大しているように思う。
 それらのことについて、国は、「断固とした意思」を示さなければならない。