きちんと家賃を支払っているのに出て行け!
借りていたマンションが競売に!

サイト掲載: 2010年 12月 9日

きちんと家賃を支払っているのに出て行け!
借りていたマンションが競売に!
敷金は、前の貸主から返してもらってくれ!
新しく契約をしなければ出て行ってもらわなければダメ!

 Kさんは、平成21年4月、マンションの一部屋を借りる契約をした。
 敷金4万円、家賃は、前月末に翌月分を支払うという約束だった。
 平成22年7月、裁判所の執行官が、「調査」ということでやってきて、部屋の中を見た。
 Kさんは、学校に通っていたが、平成22年11月、実地研修のために、マンションにはいない日が多くなるということだったため、平成22年10月末に、11月分と、12月分2ケ月分の家賃を前払いした。

家主が変わる!

 11月16日、突然、不動産業者から次のような内容の手紙がきた。

・所有者及び管理者変更に伴う今後の手続きに付いて
・賃貸借契約の際締結について
 従前の契約は継承されません。
 改めて契約を締結していただくか、「敷金に関する合意書」「入居現況確認書」に記名・捺印を
 お願いたします。(敷金以外の契約を継承致します。)
・家賃の発生時期  家賃は12月分賃料から発生します。

Kさんは、なんのことだか全くわからなかった。

敷金とか、前家賃については、引き継がれない!

 Kさんは、驚いて、法テラスに相談をして、弁護士を紹介してもらった。 弁護士は、Kさんが借りているマンションを建てるときに、銀行からお金員を借りて、そのときに、借りたお金を担保するために、根抵当権が設定されている。
 根抵当権の設定後に、マンションを借りた人は、根抵当権が実行されて競売になったときには、根抵当権設定後の権利関係は、引き継がれないのだと言われた。
 だから、根抵当権が実行される(競売される)ということになると、家賃の支払を敷金分はしないとか、前払いをしないとかして、損害を受けないようにすればよかったのだという。

重要事項として根抵当権の内容を説明しなかったのかは、不動産業者の責任だ!

 Kさんの弁護士は、Kさんが、マンションの部屋を借りる契約を仲介した不動産業者に、「根抵当権について説明しなかったことは、過失だから、Kさんが支払った敷金について、責任をもって支払ってほしい」という書類を送った。

不動産業者が責任を持って敷金分を支払う!

 Kさんがマンションを借りるという賃貸借契約の仲介をした業者は、敷金分を支払うということになった。
 前家賃については、新しい家主が、負担を免除するということになった。
不動産の賃貸借契約を仲介する不動産業者は、根抵当権が設定されている不動産の仲介の際には、重要事項の説明のとき、その危険性について、説明すべきである。
 不動産業者が根抵当権がついている不動産の賃貸借契約について、根抵当権の危険性について、説明をしなければ、その不動産を借りて住んでいる人が、ひどい損害を受ける危険がある。
 Kさんの場合は、4万円の敷金と、前家賃について、二重払いをせず済んだが、突然、敷金や前家賃が無駄になり、二重払いをしなければならないことになると、大変である。