ヤミ金被害者を食い物にする司法書士・弁護士の驚くべき商法

サイト掲載: 2016年12月15日

由利弁護士は、平成28年11月、Aさんという男性の相談を受けた。
Aさんの債務の一覧表には、アコム・プロミスから各50万円を借りたという記載があったが、その2社以外は、すべて、法律事務所という名称がついていた。全部で6件である。

Aさんと由利弁護士との会話
「この法律事務所というのは、どういう借金なの。」
「ヤミ金から金を借りて、それを解決してもらうために頼んだところです」

由利弁護士が、Aさんが持ってきた書類を調べると次のようになっていた。

H法律事務所  J法律事務所  K法律事務所  L法律事務所
M法律事務所  N法律事務所

Aさんの債権者の2件以外は、すべて法律事務所なのだ。
Aさんが、持参した書類の中には、M法律事務所の債権差押命令というのがあった。M法律事務所の債権額は、196,000円だ。

由利弁護士は、Aさんに、なんで、こんなところに頼んだのと聞いた。
Aさんは、勤務先の昇給に差し障ると思って、地元以外のところをインターネットで調べて頼んだと言った。

Aさんは、最初、自分が借りた覚えもないのに、「借りた金を返せ」というような電話を受けた。借りてもいないので、放っておいたら、しつこく、一日に何回も電話がくるようになった。職場にも電話がきた。そのため、仕方なく支払った。
そうすると、次々と電話がくるようになり、なんとか解決したいと思ってスマホで調べたら、ヤミ金を専門に整理するというサイトがあった。
そういうところに電話を掛けて頼んだ。

  1. Aさんの預金口座からヤミ金と思われるものは、総計で33件だ。
    送金総額は、598,048円である。
    ヤミ金の送金額は、次のようになっている。
    1万円以下 5件
    15,000円以下15件
    2万円以下 4件
    2万円〜3万円 5件
    3万円〜4万円 2件
    4万円〜5万円 1件
    5万円〜6万円 1件
  2. 時期は、平成28年2月25日から9月5日までである。
  3. 法律事務所との契約は、次のようになっている。
    事務所委任月日件数単価費用総額
    4月18日3件54,000円162,000円
    4月27日1件45,000円 45,000円
    4月27日2件45,000円 90,000円
    6月14日2件27,000円 54,000円
    6月19日4件54,000円216,000円
    7月 5日2件40,000円 86,400円
    11月21日1件27,000円 27,000円
    合計680,400円
    尚、Kは、ヤミ金ではなく、アコムとプロミスについての依頼である。
    法律事務所は、弁護士事務所2件、司法書士事務所4件である。
    Aさんの給料の差押をしてきたのは、M法律事務所である。
    差押の債権総額は、債権総額は、196,000円である。
    Aさんは、法律事務所への送金を毎月7〜8万円前後行っていたが、給料の差押を受けて相談にきたのだった。
  4. ヤミ金の相談について、各法律事務所に電話をして、依頼者と面談をしたのかを尋ねた。面談はしていないが、ヤミ金は、違法金融だから面談は必要ないという司法書士がいた。
    また、面談はできないので、電話で話したと言った。
    依頼事件が終わったときに、報告書を作成したのかを確認したが、報告書を作ったという事務所はなかった。
  5. そもそも、ヤミ金の利用者の相談にのったときは、その人が、どのような経緯でヤミ金から金を借りることになったのか、その経緯を詳細に聞き、その人が再びヤミ金を利用するようなことのないようにするのが、相談にのるものの最低の義務ではないかと思う。
    しかし、すべての法律事務所が、最初にまず、金を払わせているようだ。
    委任した日に、2万円とか払えと言われて払える人はいないのではないか。
    依頼した日にヤミ金から金を借りているという実態だ。
  6. ある法律事務所の司法書士は、依頼者が1万件あるのでちょっと待ってください。データを調べますと言った。
    10,000件で1件が4万円とすると、それだけで、費用の総額は次のようになる。ヤミ金相談の場合、1件というのは少ない。たいてい数件はある。
    10,000件 × 40,000円 = 400,000,000
    ヤミ金の処理について、やっていることは、電話を一本かけるというだけであると思われる。
    ヤミ金で振り込まれた総額よりも、法律事務所への支払額の方が多い。
    ヤミ金の上前を跳ねる商売だというのは、偏見だろうか。
    専門家というのなら、それなりに責任をもった仕事をするべきではないか。
    ヤミ金の上前を跳ねるというのは、言い過ぎだろうか。
  7. ヤミ金相談は、たいてい、警察に行った後にくることが多い。
    警察では、「警告だけですから」と言い、「ヤミ金から電話がきても出るな」と指導するようだ。
    ヤミ金から電話がきても出ないとどうなるのか。
    ヤミ金相談をした弁護士、司法書士ならよくわかると思う。
    ヤミ金は、利用者の親・兄弟・勤務先・知人の電話番号や住所を聞いている。
    ヤミ金利用者が電話に出ないということで、予め、入手しているそれらのところに電話を掛ける。
    警察の指導は、間違っているのだ。
  8. 由利弁護士は、ヤミ金相談は、少なくとも、20年以上やっている。
    数年前までは、ヤミ金も一応、紳士的に対応していたところが多い。
    ヤミ金利用者から聞いた内容で、どのように借りて、どのように支払ったかを話すと、ヤミ金側の資料見ながら、幾ら送金して幾らもらったかを応えてくれるところが多かった。
    しかし、1〜2年前からは、少なくとも、従前の取引の明細を教えてくれるところはなくなった。
    そして、送金してきたお金は払えないというと、先生は、ヤミ金の相談をしたことはあるのですか、全く払わないなどというのは、昔のことですよ、古いですね、今は、送金した金は返すのが普通ですよなどと、正々堂々と言う。
    そして、送金した金を払わないのなら、こちらでやるようにやらせてもらうと言い、「先生の事務所が仕事ができなくしてやる」等と言うところもある。
    そして、その後、2時間位事務所の電話がなりっぱなしという状態になる。
    電話だけで相談をしているAさんの相談にのったという法律事務所が、どのような処理をしているのか全くわからない。報告書もないから。
    しかし、このままでいいはずはない。