日歩7・5銭は、年38・373% ?
日歩7・5銭は、年37・615% ?
商工ファンドの公正証書による給与差押えに対して国家賠償訴訟を提起!



 商工ファンドからお金を借りた事業者から頼まれて連帯保証人になった女性に対して、商工ファンドが、公正証書を債務名義として給与に対する差押えをした。

 商工ファンドを債権者とする公正証書には、次の記載があった。

第2条 乙(債務者)は、次の事項を履行することを約した。
1 元金及び利息を別紙(元金及び利息の支払方法)記載のとおり支払うこと。
2 期限後又は期限の利益を失ったときは、年30%の割合の遅延損害金を支払うこと。

別紙の記載は、次のようになっている。
債務元本  金3,000,000円
債務発生日 平成11年8月5日借入
利 息   年15%(年365日の日割り計算)
支払方法  元金一括

ア 平成16年7月5日に元金を一括支払う。
イ 借入日より平成11年10月5日迄の日歩7・500銭(実質年率38・373%)の割合による利息は借入当日支払済
ウ 平成11年10月から平成16年6月迄毎月5日限り翌月分の利息を支払う。

皆さん、日歩7・5銭というのは、%に直すと幾らになると思いますか?

  0・075×年365=27.375%

 どういう計算をすれば、日歩7・5銭が、実質年率38・373%となるのかわからない。


問題点

 公証人は、別紙の内容を読めば、商工ファンドが、300万円を融資した段階で、実質年率38・373%の割合で計算した利息等を天引きして、借主に渡したことわかったと思われる。

 つまり、借主は、300万円を受け取っていないのである。

 このような場合には、公正証書上は、現実に受け取った金額を記載することとなっている。

 利率が年15%と書いてあることと、日歩7・5銭、実質年率38・373%で天引きした利息との関係がどのようになるのか、公証人は、合理的に理解したのだろうか。


国家賠償訴訟の提起

 このような理解不可能な内容の公正証書によって強制執行をされたということで、 国家賠償訴訟を提起した。


国の奇妙な主張

1、債権者代理人と債務者ら代理人が、出頭して、両名が、「利息及び遅延損害金は、利息制限法所定の制限利率に引き直すことを承諾した。

2、公証人は、第一次審査として、委任状の記載の審査に寄らざるを得ない。

 委任状には、「債務元本金300万円也」「本日借入日より平成11年10月5日迄の利息を支払う」と記載されており、公証人としては、本件委任状に利息が天引きされていることを伺わせる記載がないことから、この記載文言に基づき、元金貸借時に任意に支払済であると考えた。

 第一次審査の結果、支払済の利息につき、利息制限法違反があるのではないかという具体的な疑いが生じたとはいえず、公証人が、関係人(出席した代理人)に対して必要な説明を促すなどの第二次審査をすべき注意義務があったと解することはできない。


皆さん!どう思われますか?

 別紙に記載されている日歩7・5銭、実質年率38・373%という、それ自体理解困難な利息等を天引きされている債務者が、利息制限法に違反する金利を天引きされていると、理解されないというのは、どういうことなのだろうか。

 商工ファンドが債務者に交付している計算書には、次のように記載している。

 貸付金額が150万円のものでは、次のような記載となっている。

貸借金額  150万円 貸付金利息 77,615円
利息・割引料・諸費用計       98,525円
御手渡金額          1,401,475円

 このような計算書を渡している商工ファンドが、利息等を天引きしていないと言えるのだろうか。

 日歩7・5銭の実質年率は?

   38・373%?
   37・615%?

 同じ公証人が作成している同じ債務者の別の公正証書では、日歩7・5%は、実質年率37・615%となっている。

 これでも、疑問を持たない公証人とは、どういう考えで、公正証書を作成しているのだろうか。