<旧商工ファンド> 元社員がだましの手口
現ナマ見せ契約(毎日新聞)

毎日新聞2004年11月25日付けが、次のような報道をしている。

<旧商工ファンド>元社員がだましの手口 現ナマ見せ契約

 商工ローン最大手のSFCG(旧商工ファンド、東京都)が、契約者に無断で公正証書を作成した問題で、複数の元社員が毎日新聞の取材に応じ、だましのテクニックを証言した。「現金を客の前に置き、気持ちをせかせて公正証書から目をそらせた」「書類を逆さに向け、字を読めなくした」。後のトラブルに備え、契約者と一緒に「笑顔」の記念写真を撮って円満契約を演じることもあったという。

 関東地方の営業所や本社に勤務し、3年前に退社した30代の元社員は契約時、会社の指示で目の前に現金入りの茶封筒を置いた。一刻も早く融資を受けたい相手に、公正証書に関する面倒な質問をさせないためだった。「馬の鼻先にニンジンをぶら下げるようなものだ」と振り返る。

 契約者とは会社事務所のほか、レストランや喫茶店で対面し、契約書類を自分の方に向けた。相手から見れば逆向きになるため、細かい字は読みにくい。公正証書作成の委任状は5枚つづりの書類の中に紛れ込ませ、カーボン紙を敷いた。表の契約書に署名させれば、委任状にも署名される仕組みだった。

 保証人ともできるだけ同時に契約した。債務者本人が契約を急いでいれば、保証人が口をはさみにくくなるからだ。契約時間は通常30分そこそこ。とりわけ飲食店では周りの目もあり、言われるままに署名する人が多かったという。

 契約後は契約者と一緒に写真を撮るよう会社に指示された。「はい、笑顔で」。裁判になった時、写真は「契約に問題ない」という証拠として提出されたという。

 元社員は顧客への融資が回収不能になった後、その債務を自ら返済する契約を会社に結ばされ、公正証書も作らされた。担保に取られた父親らの不動産が競売にかけられたばかりか、転職先の給与まで差し押さえられた。01年、SFCGへの損害賠償請求訴訟を起こし、1300万円を同社が支払う内容で和解した。「債務者、保証人が払えなければ社員から取り立てるのがこの会社のやり方」と言う。

 最近まで関東地方の営業所などで働いていた別の元社員は、公正証書作成に必要な印鑑証明を契約者から計3通出させた。説明を求める契約者には「1通は本社、1通は営業所に置き、もう1通は予備のため必要だ」とごまかした。公正証書について尋ねられると、「万が一のためにお預かりするだけです」と答え、差し押さえに使うことはおくびにも出さなかったという。【伊藤正志】




感想

 公正証書問題に関するシンポジュームが、行われたとき、日本公証人連合会から出席した公証人は、「これまで、債務者や連帯保証人が知らない間に印鑑を押された」ということが裁判で認められたものは、一つもない」と声高に話された。

 確かに、公証人のところにだされる委任状には、債務者や連帯保証人の署名や実印が押されている。しかし、その委任状が、債務者(借り主)や連帯保証人が、その書類の意味を理解し、納得しているかどうか、が問題なのだ。

 公証人は、この記事を読んでなんというのだろうか。