金銭消費貸借契約と保証委託の関係



 金融機関が、事業者や、消費者にお金を貸す場合、保証会社と保証委託契約を締結する場合が、多い。

 金融機関と保証会社とは、提携関係にある。

 ところで、信用保証協会が設立された時、「信用保証協会の保証を付ければ、個人保証はいらない」ということが「売り」だった。保証協会付融資については、自動的に国(中小企業信用保険公庫)の保険が掛けられることになる。つまり、「国」という確実な裏付けがある「保証」ということだ。ところが、保証協会付の貸付に際しても、個人保証を付けねばならないようになった。それは、保証協会付の融資ということで、金融機関が安易な貸付を行い、貸し倒れが増えたためでと思われる。因みに、信用保証協会の保証債務の履行が免れる場合の原因として、保証約定書には、次の三 つの事由が規定されている。

住宅金融公庫と公庫住宅融資保証協会との関係
 住宅金融公庫は、「国民大衆が健康で文化的な生活を営むに足る住宅の建設及び購入に必要な資金で、銀行その他一般の金融機関が融通することを困難とするものでを融通することを目的」として設立されている。
とする。
 住宅金融公庫から資金を借りる場合に、公庫住宅融資保証協会の保証をつけることとなる場合が、極めて多い。ところで、住宅金融公庫と借主が締結する契約の特約条項には、次のような約定がある。(保証協会利用の場合)

私が財団法人公庫住宅融資保証協会に本債務の保証を委託している場合は、別に保証人を立てないものとし、本契約の条項中保証人に関する規定は適用しないものとします。

 公庫住宅融資保証協会が出している「公庫住宅融資保証のご案内」なる書面には次のように書いてあった。

「住宅金融公庫から資金を借り入れようとするときには、その条件として連帯保証人が必要です。ところが、最近は、適当な保証保証人を見いだすことが困難となってきました。
 住宅金融公庫では、保証人にかわるものとして公庫住宅融資保証協会を確実な連帯保証人として認めております。
「身近に適当な保証人が見当たらない」・「なかなか保証人を引き受けてもらえない」・「保証人を頼みにくい」というような方は、当協会をご利用下さい。
 尚、当協会は、住宅金融公庫・年金福祉事業団(住宅金融公庫と併せて融資を受ける場合に限る)以外の住宅ローンの保証を行なわないのでご了承下さい。」


保証会社の保証の役割とは?
 保証会社の保証の持つ意味は、まさに、公庫住宅融資保証協会がそのご案内に記載しているとおりである。保証料を支払うことで、「保証人が不要となる」ものなのである。ところが、現在の日本で横行している各種契約、特に、消費者に金銭を融資したり、個品割賦購入あっせん契約における保証委託は、保証会社と保証委託契約をしながら、なお且つ、個人保証をとるのが多い。保証会社は、個人保証人との間で、保証割合が「ゼロ」であるとの特約を締結するのである。
 しかし、「保証料」をもらって業として保証をするものと、なんの対価もなく、個人的な情実で、保証の持つ意味もよく理解せず、保証人となる者と、いずれが、より、保証人としての責任が大きいかは、明らかではないだろうか。
 特に、住宅ローンのように、20年、25年というような長期にわたる保証を個人が行なうことは極めて問題があることは明らかである。住宅金融公庫融資について、銀行等の金融機関が、「自分のほうが金利が安いので住宅ローンの組み換えをしたほうがよい」と勧めて、大量の住宅金融公庫から市中銀行への借り換えがなされたが、銀行は、このような借り換えに際して、個人保証をとる場合が少なくない。せっかく、個人保証なしで借りていた住宅金融公庫からの融資を個人保証をつけて契約し直すことは、保証人にとっては、非常な迷惑である。銀行のこのような無責任な借り換えによって保証被害に巻き込まれた保証人を救済する方法として、前記公庫住宅融資保証協会の約定は極めて効果あると思う。
 住宅ローン以外の消費者ローン、金融機関だけではなく、個品割賦購入あっせん契約を含めて、保証委託契約が締結される場合が多い。そして、保証委託契約に際して、個人保証もとられるケースが多い。
 保証会社の存在意義、保証会社の存立目的からして、個人保証をつけることは極めて問題であると主張し、このような理不尽なことを根絶する必要があると思いますが、いかがでしょうか。