ディックファイナンス 調停後連帯保証契約を要請!

 サラ金は、無担保・無保証が売り物である。貸すときは、『内緒』で貸しながら、返済が遅れ気味になると、家族に返済を求めたり、厳しく取り立てをするため問題が起こった。そのため、貸金業規制法では、「返済義務のない第三者に対する支払請求」を禁止する旨の当たり前のことを定めた。
 ところで、最近、約定返済が遅れた後、家族に請求すると、貸金業規制法に違反することになることから、「追加保証人」をとるという方法で不良債権の優良化を図っている貸金業者がが目立つ。それは、日掛けの専売特許かと思ったが、そうではない。相当著名な大手にもその傾向が顕著である。最近の事例を報告する。

 ディックファイナンスは、簡易裁判所の調停で下記のような合意をした。(平成12年6月14日)

  1. 被告は、原告に対し、本件借受金残債務として50万円(残元金46万5515円、未払利息8034円、確定遅延損害金2万6451円)及び残元金に対する平成12年6月15日から支払済まで年18%の割合による金員の支払義務があることを認める。

  2. 被告は、原告に対し、前項の金員を次のとおり分割して原告方に持参又は送金して支払う。
    平成12年7月15日限り 1万3000円
    平成12年8月から支払済まで毎月1日限り1万3000円ずつ(最終回は1万3000円以内の残額全部)

 ところで、ディックファイナンスは、このような調整が成立した直後に、借主(被告)のところに、「連帯保証債務弁済契約書」を送ってきた。
 その内容は、次のようになっている。


問題点
1、裁判所での調停の機会に、ディックファイナンスは、保証人をいれるよう借主と合意したというが、これでは、裁判所で行なわれる債務確定調停は、不良債権を優良債権化するための機会となっていることになる。勿論、この事例では、調停の席上、保証人を入れさせたのではない。かつて、釧路簡易裁判所において、債権者が、保証人を入れなければ調停に同意しないと主張した事例で、旧債権には連帯保証人がついていないにもかかわらず、新たに親族を理解と協力を得て、頑張って返済するよう努力したいと話しています。関係人としていれ、それを保証人として調停を成立させるという事例が散見された。
 私は、釧路簡易裁判所の裁判官、釧路簡易裁判所の課長(書記官)、釧路地方裁判所の次席に面談し、一般的な見解として、調停の席上、債務者に連帯保証人を入れるような取り扱いをすべきではないと申入れをした。その際の見解は、驚くべきものであった。
 債権者が、どうしても保証人を入れなければ調停に応じないと主張し、債務者がそれに同意した場合には、保証人をいれて調停を成立させることがある。それは、ここの調停委員会の結論だから、たとえ、裁判官でも、とやかくいうことはできないというのだ。
 しかし、多重債務のため支払不能となって行なわれる債務確定調停において、新たに保証人をいれるということになると、多重債務の被害をさらに拡大することになること明らかであるし、貸金業規制法で、支払義務のない第三者に請求することを禁止している趣旨を没却するものである。その後、裁判所の取り扱いがどうなったかはわからないが、今回のディックファイナンスの事例では、調停で、保証人を入れることを認めなくなったことから、調停外で保証人を入れさせるということになったのかと推測される。
 私は、ディックファイナンスの本社に抗議の電話をしたところ、ディックファイナンスの担当者は、問題があるとの指摘に対して、なんら正当性を主張しなかった。

2、ディックファイナンスは、調停の席では、経過利息・経過遅延損害金の支払、将来利息の支払を調書にしているが、調停成立後、連帯保証人をいれる場合には、将来金利は免除する措置をとっている。
 これは、保証人を入れることを条件に行なっているのか、一般的に行なっているのかはわからない。
 これは、簡易裁判所における調停の席上では、将来金利を付けるよう主張しながら、その直後に将来金利を免除する任意和解をするということになる。裁判所が債権者のこのような実態を正確に把握し、将来金利を付さない取扱とするよう望む。

3、ディックファイナンスの「連帯保証債務弁済契約書」は、印刷されたものであり、これは、計画的に行なっているものと推測される。
 このようなやり方は、多重債務の悲劇を拡散するものであり、絶対に許すことはできないと考える。

4、ディックファイナンスは、ダイエー傘下から、アメリカの会社に経営主体が変ったという。アイクも、アメリカのフォード傘下である。
 アイクも、無担保・無保証で融資しながら、まとめローンで事実上親族に債務を肩代わりさせるという営業方針をとっている。ディックファイナンスも、無担保無保証で融資しながら、約定返済ができなくなった人に対して、系統的に保証人を入れさせるという営業方針をとっているものと推測される。
 このような営業方針は、根本的に改めさせねばならないとかんがえる。