北洋銀行の杜撰な住宅ローンの取扱い

2010年10月 3日

 Aさんは、ノースパシィフィックから、「ご入金のお願い」なる書面を受け取った。
 それには、Aさんの亡くなった父親であるBさんが連帯保証人となっていた住宅ローンの残債務について、「相続割合分」を支払うようにということが書かれていた。
 Bさんは、平成15年6月になくなっていた。
 Bさんの妻であるCさんは、夫が亡くなったのち、ずっと、平成15年7月から、連帯保証人になっていたBさんの住宅ローンの支払をしていた。

Cさんの相続債務は、2分の1!

 Bさんの相続人は、妻のCさんと、前妻との間の子供二人、Cさんとの間の子供2人であった。
 Bさんの妻であるCさんは、住宅ローンの毎月の支払額である6万余円の全額を亡くなる平成22年3月まで支払っていた。
 相続分だけの支払だと、月3万円でよかったのだ。

 北洋銀行は、ノースパシィフィックに代位弁済を求めたらしい。
 ノースパシィフィックから、Bさんの子供であるAさんのところに、Bさんの相続人として、相続割合に従って支払えとの請求がきたのだった。

 ところで、相続債務が、金銭債務の場合には、相続割合に従って、分割債務となる。
 従って、Aさんは、父親のBさんが、亡くなったときには、次のような相続債務を負っていたこととなる。

 母親であるCさん   2分の1
 Aさんと3人の兄弟姉妹 2分の1×4分の1で、一人当たり8分の1
 (6万円の8分の1は、7,500 円)

 Aさんは、父親のBさんが、亡くなってから、一度も、北洋銀行から、相続人として支払うようにと請求されたことはなかった。
 銀行からの借金は、5年で商事時効が完成する。
 つまり、Aさんは、父親が亡くなってから7年以上も、全く、北洋銀行から父親が負担していた連帯保証人としての債務を支払うようにと請求されていないのだから、商事時効が完成していると主張できるのだ。

銀行は、相続債務について、どのような債権管理をしているのか?

 銀行は、間違っても、支払義務がない人に、支払をさせるようなことはしてはならないはずである。
 ところが、相続が発生しても、相続割合に従って、きちんとした処理をせず、特定の相続人に、全額を支払わせるというようなことを平気で行っているとしたら、問題ではなかろうか。