驚くべきサービサーの横暴!
支払義務のない弁護士費用までも支払え!

2010年10月16日

 Sさんは、住宅金融専門会社からお金を借りて、マンションを建てた。
一生懸命支払ったが、途中で支払ができなくなってしまった。
その後も、懸命に支払ったが、支払ができなかった。
競売の申立てをされた。
競売の申立てをしたのは、「港債権回収」というサービサーだ。

港債権回収が、競売の申立てをした不動産の競売の価格は、裁判所から次のようになっていると知らされた。

売却基準価額   2,820,000円
買受可能価額   2,256,000円

港債権回収が、Aさんに支払えといっている金額は、競売の申立て書の記載によれば、次のようになっていた。

・ 残元金  1,886,637円
・ 延滞金  1,860,435円
・ 損害金      1,370円
・ 損害金  1,886,637円に対する平成20年1月1日から支払済みまで年14%の割合による遅延損害金

 Aさんは、なんとか、先祖から残された財産なので、守りたいと考えていたが、マンションは古くなって入居する人も少なく、建物が古くなって修繕費用もかかることから、このような大金を準備することはできなかった。 それでも、Aさんの娘が、両親の頼みを聞いて、なんとか、競売で売却されないようにしたいということから、どれだけのお金を準備すれば競売の取下げをしてくれるのか、交渉した。
 港債権回収の担当者は、平成22年10月15日までの遅延損害金を付けて、一括で、444万1,969円を送れば、競売を取下げてくれると言った。
Aさんの娘は、懸命に親戚等に頼んで、なんとか、10月14日、そのお金を準備した。

弁護士費用を含めて、総額で5,099,265円を支払え!
1円でも欠ければ取下げはしない!

 平成22年10月14日午後6時ころ、港債権回収は、次のようにFAXが入った。

ご返済金額    ※ 2010年10月15日完済の場合
債務者ご本人様名義にてご入金をお願いします。
元本残高    1,886,637円
 遅延損害金残高(基準日:H22.10.15)  2,555,332円
 競売手続費用(取下・弁護士費用含む)   657,296円
 合計(こちらの金額をご入金ください→) 5,099,265円

 競売手続き委託先として、東京の弁護士事務所が記載されていた。
Aさんの娘は、驚いた。これから、66万円も準備することはできない。 なんとか、競売手続き費用だけは、後回しにしてもらえないかと頼んだが、1円でもかけたらダメだと担当者は言った。 そもそも、担当者は、そんな大金は準備できないと思っていたようだ。

法的に請求できない弁護士費用まで請求するのは違法ではないか!

 Aさんは、思い余って弁護士に相談をした。 弁護士は、競売手続費用明細書というのを見て驚いた。
 細かい費用の合計が、357,296円となっていた。その殆どは、現実に、競売手続き費用だが、競売手続き費用として、競売手続きの中では支払われないものも含まれていた。

 最後のところに、「※別途、弁護士報酬300,000円が加算されます」と書かれていた。

 競売手続費用の中には、港債権回収が不動産競売を依頼した弁護士に支払った費用まで含まれていたのだ。 不動産競売事件を依頼した弁護士費用は、債務者が支払わねばならないものではない。 港債権回収は、Aさんが、なんとしても、不動産競売を取り下げてもらいたいと思っていたことから、その弱みにつけ込んで、請求することができない弁護士費用まで、支払わせようとしたのだ。

 このようなことが許されるのか。

 サービサーが、いわゆる不良債権を、現実の価格より相当低額で買い取っていることは広く知られた事実だ。 勿論、債務者ができるかぎり債務を支払うよう努力するべきことは当然である。
Aさんの相談にのった弁護士は、長年債務整理の相談にのっているが、年14%の遅延損害金を全く減額してくれないというような事例を知らない。 まして、弁護士費用までも支払わせようとする債権者を知らない。
あくどいと言われた高利商工ローンでも、弁護士費用まで支払わせようとした事例はないと思う。
このような弱みにつけ込むようなことをするサービサーの横暴を、法務省は野放しにしているのだろうか?

港債権回収は、このFAXの中に、「競売手続委託先 担当の○○様へご連絡頂ければスムーズです。」と記載している。
港債権回収の競売手続きを依頼されている弁護士は、港債権回収が、請求することができない弁護士費用まで請求していることを知っていたのであろうか。