ドコモは盗難された女性名義のカードを男性が使用しても保障をしない!
カードはとても危険です!

2013年01月07日

◆ Aさんは、銀行のキャッシュカードを盗まれた!

 Aさんは、娘と二人暮らしである。月収は、12万円前後で、つましく生活していた。少しでも無駄遣いをしないように、勤務先から振り込まれた給料は、少しずつ引き出して使用していた。
3月13日、キャッシュカードで預金を下ろそうとして、キャッシュカードがないことに気づいた。
 びっくりして銀行に問い合わせたら預金が全部引き出されていると言われた。

◆ イオンカードも利用されていた。

 Aさんは、銀行のキャッシュカードと一緒にイオンのカードも入れていた。
 イオンのカードも無くなっていた。
 Aさんは、すぐに、イオンに連絡した。イオンのカードも利用されていると言われた。

◆ Aさん、警察に盗難届けを出す。カードを不正利用したのは、50〜60歳代の男性!

 Aさんは、びっくりして警察にカードの盗難届けを出した。
 警察は、すぐに、銀行の防犯カメラを調べてくれた。
 また、イオンカードが不正利用された店の店員に、どのような人物が使用したか調査してくれた。
 その結果、50〜60歳代の男性が不正利用したことがわかった。

◆ ドコモのカードも不正利用されていた!

 3月末、ドコモからドコモのDCMXカードの利用明細が送られてきた。
 利用明細では、「461,400円」の利用がされているということがわかった。
Aさんは、ドコモのカードは、1年以上使用していなかったので、イオンのカードと一緒にバックに入れていることを忘れていたのだ。
Aさんは、驚いて、ドコモのカードについても、警察に盗難届けを出した。

◆ Aさん名義のイオンクレジットカードとドコモのDCMXカードが不正利用された金額は、次のようになっていることがわかった。

イオンクレジットカード
 平成24年3月11日    78,360円
 平成24年3月12日   659,520円
    合計        737,880円
DCMXカード
 平成24年3月11日    61,400円
 平成24年3月12日   698,600円
    合計        698,600円

◆ 弁護士に相談・カード代金は、暗証番号による使用なので、支払わなければならないですよ!

 Aさんは、イオンのカードとドコモのカードで総額、140万円以上も不正利用されていた。それを払わなければならないことになるのかと思った。そして、自分の給料は、月12〜3万円で、とても、支払うことなんかできないと不安になり、弁護士に相談をした。
 最初の弁護士は、「それは、暗証番号による取引なので、払わなければならないですよ」と言った。
 Aさんは、なんで、盗まれたカードが使われたのに、払わなければならないと言われるのかと失望した。
 別の弁護士さんならどういうだろうか。
 Aさんは、別の弁護士に、相談をした。
 その弁護士もやはり、同じように言った。
 Aさんは、あきらめた。
 どうすればいいか、親・兄弟に相談するしかないと思った。
 Aさんは、破産はしたくなかった。これまで、つましく生活してきたのに破産なんかどうしても、したくなかった。

◆ 銀行は、引き出された金額全額を保障!

 Aさんは、銀行から、盗難キャッシュカードによる引出し額全額の保障をするという連絡を受けた。
 Aさんは、銀行に行って手続きをした。
 Aさんは、銀行の担当者に、銀行のキャッシュカードと一緒に入れていたクレジットカードが盗まれ、総額で140万円以上も使われたこと、弁護士に相談したが、払うしかないと言われたことを話した。
 銀行の担当者は、別の弁護士にも相談したほうがよいと助言してくれた。

◆ 預金者保護法

 平成18年2月10日、「偽造カード等及び盗難カード等を用いて行われる不正な機械式預貯金払戻し等からの預貯金者の保護等に関する法律」(偽造・盗難カード預貯金者保護法)が施行された。その内容は、普段からキャッシュカードや暗証番号の管理をしっかり行っていれば、万が一キャッシュカードを偽造されたり盗難されて預金等を引き出されても、その損害は金融機関が負担し預金者が負担を負うことはないというものである。
 全国銀行協会は、平成20年2月19日、銀行の通帳を盗難されたりインターネットバンキングを不正に利用されたりして預金等が引き出されることによって生じる損害についても金融機関が負担し、預金者が負担を負うことはないという取り決めうした。
 この預金者保護法により、Aさんの引き出された預金については、全額、保障されることになったのだ。

◆ カード名義人ご本人以外は、たとえ家族の方でも利用できない!

 Aさんから、相談を受けた弁護士は、盗まれた女性名義のカードを男性が使用しているということから、支払う義務はないと思われるので、イオンとドコモと交渉しましょうと言ってくれた。
 Aさんが相談をした弁護士は、ドコモの「ご利用明細書」を見て、「ほら、ここにこんなことが書いてあるでしょう。」と言って、Aさんに、読んで聞かせた。

カードを安心してご利用頂けるよう以下のことにご協力ください。
★カード名義人ご本人以外は、たとえご家族の方であっても、カードをご利用頂くことはできません。また、カードの裏にはサインが必要です。サインをしたカード名義人ご本人の方のみがご利用になれます。
★カードご利用時等、暗証番号が必要となる場合がございます。暗証番号は、他人に・ドコモカード記載の利用の内、知られないよう十分にご注意ください。

 弁護士は、Aさんに、「カード名義人以外は、家族の方でもカード利用できない」と書いてあるでしょう。 警察の調べでは、男性が使用したということなのだから、きちんと、担当者が、本人確認をしていれば、カードは、使えなかったはずよ。 だから、盗難保険適用があると思うよ、と言った。

◆ イオンは、全額、保険適用があるとする処理をしてくれた。

 イオンは、Aさんの弁護士からの連絡を受け、全額、保険の適用があるとして保障すると連絡をしてきた。

◆ ドコモは、暗唱番号による取引には、保障しない!

 ドコモは、署名によるショッピングについては、保険の適用があると連絡してきた。
ドコモは、暗証番号によるショッピングについては、保険による保障を認めないとして請求をしてきている。
 Aさんの弁護士が、ドコモに、加盟店に対して、ショッピングカードを利用するときは、本人確認をするようにと指導していないのか質問したら、ドコモは、すべて、ドコモの加盟店ではないと回答してきた。
ドコモは、自社では、加盟店を持たず、他社と提携して、カード事業を展開しているということのようだ。
 加盟店管理は、非常に重要である。
 ドコモが提携しているのは、三井住友カードであるという。

◆ 同じ店で、同じカーナビを、購入しても、イオンは、保障し、ドコモは保障しない?

 盗難したと思われる男性は、不正利用の最初の日には、おっかないので、おそるおそる不正利用したのだろうか。 最初の日3月11日には、値段の安いものばかりを購入している。
 しかし、3月12日になると、正々堂々、値段が高く換金性の高いカーナビを次々と購入している。
 カーナビは、殆どが「O社」の店だ。 O社西岡店では、12時55分に、ドコモのカードで、18万円のカーナビを、イオンカードで、13時に58,720円のカーナビを購入している。
 O社西岡店の店員は、女性名義のカードで男性が、同じカーナビを2台も購入するのは、「どうしてなのか?」とは思わなかったのだろうか。
 イオンは、盗難の保障を認めたが、ドコモは盗難の保障を認めないという。

◆ カードが安全に使用できるために!

 カードというような危険なものを発行している事業体は、カード所持人が、思わぬ被害を受けないようにする義務があることは明らかである。
 そのためには、カードを提示する者が、本当にカード名義人と同じであるかどうかを確認する義務があるというべきである。
 そのため、ドコモもご利用明細書に、次のように記載しているのだ。

★ カード名義人ご本人以外は、たとえご家族の方であっても、カードをご利用頂くことはできません。また、カードの裏にはサインが必要です。サインをしたカード名義人ご本人の方のみがご利用になれます。

 Aさんは、同じバックに銀行のキャッシュカード・イオンカード・ドコモカードをいれていた。銀行とイオンは、盗難カードによる不正利用であるとして、保障を認めたのに、ドコモは、署名によるものは不正利用と認めたが、暗唱番号による取引については、保障を認めないというのだ。不合理ではないか。
 Aさんは、自分の暗唱番号は、覚えていなかった。
 ただ、自動車の免許更新のときに、二つの暗唱番号が必要と言われて暗唱番号を登録した。自動車の運転免許証の交付のときに、免許証と一緒に暗唱番号を書いた紙をくれた。Aさんは、免許証と一緒に、その紙をいれていた。
 ドコモの暗唱番号も、運転免許の更新のときに作った二つの暗唱番号の一つと同じだったようだ。

◆ DCMX利用契約第31条 保障制度

1項
第28条第3項本文の規定にかかわらず、会員が紛失・盗難等により他人にDCMXモバイル又はDCMXカードを使用された場合であって、同条第1項又は第2項の当社及び警察への届出がなされたとき、又は前条に基づき当社が第三者によるDCMXサービスの不正利用(紛失・盗難等に起因する場合を除く)があったと判断したとき、本条第3項に定める各事由に該当する場合を除き、当社は、本会員が被るそのDCMX利用代金相当の損害を補填します。
2項
本会員が前項の補填を受けることができる期間(以下「保障期間」といいます)は、第4条の契約締結日から一年間とし、本会員が本会員としての地位を失わない限り、毎年自動的に更新されるものとします。
3項
以下の各号に定める事由に該当する場合には、当社は、本会員が被る損害について補填の責めを負いません。
(1) 損害が会員、その家族、同居人又は代理人など会員と同視すべき方の故意若しくは重大な過失又は法令違反に起因するとき
(2)(3)(4)(5)省略
(6)損害がDCMXサービスのうちモバイル暗唱番号又はカード暗唱番号の入力を伴う取引に係るものであるとき(但し、会員による暗唱番の管理について、会員に故意又は過失がないと当社が認めた場合を除く)
(7)(8)(9)省略

◆ Aさんのイオンカード・ドコモカードによる利用は、下記のようになっている。

(1)イオンカード
利用日 利用時間 利用店名 商品名 商品価格
24.3.11 18:47:18 イエローグローブ清水店 シャープ 電子レンジ 9,980
パナソニック クリーナー 19,800
バッテリー充電器 5,980
カーテレビチューナー 12,800
カーナビ 29,800
24.3.12 10:07 O社江別店 カーナビ 54,800
カーナビ 118,000
11:36 O社新札幌店 カーナビ 218,000
12:01 O社平岡店 カーナビ 210,000
13:00 O社西岡店 カーナビ 58,720
合計金額 737,880
(2)ドコモカード
利用日 利用時間 利用店名 商品名 商品価格
24.3.11 不明 イエローグローブ厚岸店 空気清浄機 14,800
炊飯器 16,800
ガスコンロ 29,800
24.3.12 10:31 ケーズデンキ江別本店 BDレコーダー 27,800
レグザ ブルーレイ 119,800
11:09:18 テックランド厚別店 ブルーレイ(2台) 99,600
12:19 イエローハット札幌里塚店 カーナビ 210,000
12:55 O社西岡店 カーナビ 180,000
合計金額 698,600

この利用をみると、最初の利用は、利用額が小さいことがわかる。
二日目は、大胆に、換金性の高い値段の高いカーナビなどが購入されていることがわかる。

◆ Aさんの代理人は、ドコモに対して、Aさんには支払義務がないと思うので請求訴訟を起こしてください。そうすれば、訴訟で支払義務はないということを主張するからと言った。

 ドコモは、Aさんに対して、請求訴訟は起こさない。支払義務がないというなら、そちらで、裁判を起こせと主張した。
Aさんは、仕方なく訴訟を起こすことにした。