生活保護費から高校生のアルバイト料を全額収入として控除!釧路市役所に抗議!



 私は子供3人(高校生・中学生・小学生)を抱えて離婚訴訟中の女性の相談にのっている。弁護士会の法律相談で担当した。婚姻費用として15万円しか払ってくれない状況で、生活ができないことか明らかなため、生活保護の申請をしてもらい、認められた。

 高校にかかる費用は、保護費として出ないという。

 高校生は、修学旅行のためにアルバイトをしたようだ。

 高校生がアルバイトで約4万円の収入を得たのでどうしたらよいかと相談をうけた。私は、高校生がアルバイトで得たお金であることを説明して収入として申告しなければだめだと助言した。

 その女性は、全額、釧路市役所の担当者に申告した。

 最初の月は、殆ど引かれず、差額の保護費(約6万円)が出された。

 ところが、その翌月、その翌月と、高校生のアルバイト収入の全額が保護費から差し引かれてしまった。

 私は驚いて、抗議してあげると言ったが、「意地悪されると困る」といって、私が抗議することについて同意しなかった。

 しかし、私は、このままにはしておけないと思って、保護を受けている人の名前は言わずに、一般的なこととして抗議した。

 すると、市役所から、高校生の定期代がいくらかかるかなどの書類を提出しないなどの説明書が来た。

 市役所からの説明に対して、私は相談者に聞いたところ、そのような説明は受けていないという。

 仮に、市役所が言うとおりだとしても、高校生が働いて得た収入であることが明白であるにもかかわらず、なんらか書類(高校生が働いたものであることを明らかにする書類と思われる)がなければ、全額を保護費から差し引くというのは、あまりにも残酷である。

 そのため、私は、市長宛に次のような公開質問書を出した。生活保護の関係では、ケースワーカーという公務員がおり、種々の支援をしているはずであるのに、どうしてこんなことが起こるのだろうか。


公開質問書の内容

私は、釧路市で弁護士をしております。

私の相談者に「T.M」氏がおります。

 T氏は3人の子供を養育しており、現在、離婚訴訟中ということで、婚姻費用の分担の不足分について生活保護を受給しております。

ところで、長男の高校生が、アルバイトをして得た収入について、その殆ど全額が収入として控除されたということから、当職が、保護課に抗議の電話をいれました。すると、担当者と思われる方から書面がきました(平成16年9月16日付け)。

 その書面について、ご質問いたします。

  1. 収入の申告をしていない旨のご主張について

     T氏が収入の申告をしているからこそ、高校生の長男がアルバイトで得た収入が、市役所にわかり、保護費から差し引かれたものと考えます。

  2. 定期を持参するよう指導しているが、現在も提出されていないとのことについて

     長男は、自転車で通学しており、定期は使用していないことをT氏は、担当者に伝えていると話しています。T氏が伝えたことについて、どのような処理がされているのでしょうか。

  3. 生活保護の関係では、ケースワーカーという人がおり、種々の相談にのっていると聞いています。

     T氏は、このような書類を出せばよいなどの説明は一切受けていないと話しています。少なくとも、T氏は、長男がアルバイトで得た収入を保護課に申告した際、このことは、話したと言っています。さらに、T氏が、、保護課に申告したからこそ「保護費」からアルバイトで得た収入をすべて(最初の月は全額ではないとのことです)控除されたものであると考えます。T氏から、その都度、当職に対してどのような対応をされたか電話で報告がありました。申告についても、相談があり、当職は、全額報告するように、高校生のアルバイト収入が、全額、保護費から引かれることはないと助言しました。にもかかわらず、全額差し引かれたと、悲痛な電話連絡がありました。その際、当職が、市役所に抗議してあげると言ったところ、「仕返しがこわい」ので、「やらないでほしい」と言いました。しかし、このままでは、放置できないと考えて、T氏の名前を言わずに、抗議の電話をいれました。

     尚、T氏が、高校生を頭に3人の子供を養育していることがわかっている担当者は、高校生がアルバイトをしていることを確認することは極めて容易であると考えます(T氏の承諾を得て、勤務先に問合せなどすれば簡単です)。

 このように、一挙手一投足でできることもせず、T氏にすべての責任があるとする回答に対して、当職は嫌悪感を感じます。

 納得の行く説明をできるだけ詳しく行ってください。

 現在、私が所属している全国クレジット・サラ金問題対策委員会は、「行政の多重債務者対策を充実させる全国会議」を設立しておりますが、その中で、最も重要な問題となっているのが、生活保護の施策であります。

 T氏は、この間、夫から理不尽な攻撃を受け、本当に筆舌に尽くしがたい状況にあっても、高利金融などに手を出さず頑張っています。

 今回のこのような対応については、即ち、明らかに、高校生がおり、高校生がアルバイトで得た収入であることがわかっている状況においても、必要な書類の提出がないという理由だけで、全額を保護費から差し引いたということについて、全国的にも同様の扱いがあるとも懸念されることから、問題として提起し、このようなことのないよう関係自治体に抗議する予定であります。

 尚、長男は、家庭の状況で、修学旅行にも行けないおそれがあります。長男が得たアルバイト収入があれば、修学旅行の費用の約半額が賄われることとなりました。

 今後は、同様のことがないよう、配慮ある行政がなされるよう要望いたします。

 尚、このことは、T・M氏には関係がありません。私が、釧路市役所の対応があまりにもひどいものであるとのことで、抗議するものです。

 このことにより、T.M氏に対して差別的取扱いをされることのないよう、念のため、申し添えます。

 本件については、書面で回答をいただきたいと考えます。


平成16年9月13日