復縁

 40歳代後半の夫婦が多重債務の相談に来た。

 よく聞いてみると、数年前に離婚し、最近復縁したという。

 夫の借金の殆どは、離婚してからのものだった。

 夫婦には、子どもが二人いる。一人は、もう社会人だが、一人はまだ高校生だ。夫に、なぜ借金をしたのか、と厳しく聞いていると、「離婚してからも、助けてくれていました」と妻が言った。

 離婚の原因は、あまり詳しく聞かなかったが、やはり、借金が原因のようだ。

 妻は、子ども達には、お金のことで心配かけたくなかった。そのため、子どもは、「うちにはお金がいくらでもある」と勘違いしたようだったという。

 離婚した後、子ども達が生活が大変だということに気がついてくれたという。

 復縁した夫婦は、とても仲がよかった。

 離婚中も、お互いに家計を助け合っていたからだと思われた。

「子どもに、借金したらあかんよ、と言うでしょう?」と聞くと、やはり、言うと言った。

「それだけは言ってはいけないよ」というと、「えっ」と驚いたような声を出した。

「今はね、借金しないで生きられない世の中じゃない?」

「えっ」

「車買うのに、ローン組まない人はどのくらいいると思う?」

「やっぱりローン組みますよね」

「家、買うのにローン組まない人がどの位いる?」

「そうですよね」

「どのような借金を、どういうふうにするか、それが問題なの!」

「そうですね」

「どうしてもお金が必要ということになって、友達に頼んだら、いいよ、貸してあげるよと言われた。そして、10万円貸してあげるから、月2500円利息払ってねと言われた。あなた、どうする?」

「借りますよね」

「2500円という利息、どう思う?」

「安いと思います」

「そこが問題なの?」

「えっ」

「さっき利息制限法の話したでしょう。10万円で月2500円という利息は、とてつもない高い利息なの!」

「そうなんだ」

「利息制限法を越えているの?」

こうような話が延々と続いた。

この妻は、最後に言った。

「家計簿つけてみてよくわかりました。これまで、どんなに無駄遣いしていたか。買い物にも無神経だったことが。今は、値段に気をつけて買い物しています」と。

2005年12月19日