武富士「親族に請求せず」合意の裏側!



 北海道新聞9月1日付では、武富士は、「法律上支払義務のない親族らから回収した貸金について、返還の申し出があった時には、速やかに応じる」ことで、道内の債務者側と合意していたことが、31日わかった」旨報じている。

 私は、現在、武富士に対する行政処分の申立てをしている弁護士の一人であるが、武富士と、被害者側とで合意した事実はない。

 この合意は、木村晋介弁護士と、武富士の代理人弁護士との間で、合意されたもののようである。

 武富士の悪質な「支払義務のない第三者に対する請求」について、関東財務局に対して「行政処分の申立てをした」のは、約100名に及ぶ弁護士であるが、その内容として指摘した被害者が、武富士と合意した事実はない。

 それどころか、武富士の「支払義務のない第三者に対する請求」事例については、新たな「行政処分の申立て」も行っている。


武富士の過酷なノルマ達成には、親族請求は必要不可欠?

 武富士の未収ノルマは、「0・1%」であるという。

 未収ノルマ0・1%ということは、仮に、貸付総額30億円程度の店舗で、300万円である。300万円に関して未収となるということは、貸付金額50万円で、6名の債務者ということになる。この程度の未収は、借主本人と連絡がとれないとか、借主が全く支払わないなどのケースで埋まってしまうという。従って、未収ノルマを達成するためには、借主ではない人、つまり、支払義務のない第三者から支払ってもらうほかないこととなるという。

 「ご本人のためにご協力願いたい」といえば、第三者請求にはならないと教えられたという武富士社員の告発もある。

 現在、行政処分の申立てをしている事例でも、行方不明の実弟のために、年に1回の決算期だけにしかできない特例、利息等を凍結するという処理をするためには、なんとか2000円でも、3000円でもお願いできないか、そうすると、ご本人がみつかったときには、一切利息がつかなくなる、などと述べている。

 確かに、「払ってください」とは言っていない。

「お願いします」「助けください」という言葉と、「2000円でも、3000円でも」という言葉をくっつければ、それだけのお金を払えということになるのではないか。

 しかも、その中で、去年の12月に支払ってもらった21,000円は、すべて、利息に入れさせてもらったなどとも言っている。

 このような業界最大手の武富士の、貸金業規制法違反事例について、単に、払ってもらった金を返せばいいということにはならないのではないか。

 日栄が、「腎臓売れ・目ん玉売れ」で、行政処分を受けた。日栄は、一旦は、書類に印鑑を押して連帯保証人となった人に対して、その支払を請求したものである。

 武富士は、貸すときは、「親族に『内緒』」で貸す。又、「あなたのプライバシーを守ります」とホームページにも書いているし、宣伝もしている。しかし、約定返済ができなくなると、すぐに、親族に金を借りていることをばらし、支払請求までするというのが、これまでの事例の大半である。

 現在、全国各地で、武富士の貸金業規制法違反事例についての行政処分の申立てをする動きがある。

 マスコミも、武富士から提供されたものを報道するなら、武富士に対する行政処分の申立ての内容も報道すべきではないだろうか。