武富士「全国支店長会議」!
「やるかやらないかの差が支店間格差を生む」



 武富士は、平成14年5月17日、18日の二日間、「平成14年全国支店長会議」を行ったという。「竹の子」という機関紙に、その詳細が掲載されている。


武富士は、営業部門において、

1、平成13年9月から東京支社では、6ケ月連続全支店営業目標を達成したという。これは、武富士の歴史始まって以来の快挙だという。

2、大阪支社(102店舗)、4ケ月連続全支店営業目標を達成したという。


管理請求は、「真心と情」

 「お客様に当社がお貸ししたお金を請求するのですから、威風堂々と請求すればよいではないですか。私でも借りたお金は絶対にお返しします。返すからまた、貸して貰えるのです。これは、憲法同様、社会の大原則なのです。昔から、債務の多い人は、7件借りている内、2件しか返済せず、5件は返済しないものなのです。この5件がどういうところかというと、請求がいい加減なところなのです。逆に返済して貰える2件というのは、1週間に2回の手紙等、決められた請求をきちんとやっているところなのです。」

 管理では、威風堂々と請求する。請求して駄目だったら担当が代ればよいのです。管理請求はお願いしかありません。当社は、担保も保証もとっていないのですから、お願いしかできないのです。それで駄目だったら担当を代える。事故が置きそうだと思ったら法的手段に訴える。これしかないのです。また、「約束を守っていただけないと、情報センターに登録され、あとから借りることができなくなります。お客様に対してそういう登録をしたくないのでお支払いただけませんか」というのです。これは、弁護士に相談しましたが、違法ではありません。ただし、いかもに脅迫めいて言っては駄目ですよ。」

異義あり
 武富士が、借りた本人に対して、このような考え方で請求をすることには、問題はない。

 しかし、貸金業規制法21条違反で、行政処分の請求をしているのは、行方不明になった武富士の顧客の親族に対して、「今回だけなんとかお願いします」と言って支払わせたり、生活保護を受けている母親に対して、子供の借金を支払えと請求して、支払わせたり、自分も多重債務状態にある母親(夫は死亡)に対して、息子の借金まで支払わせたというものである。武富士は、正々堂々と、新聞にも、「お願い」は貸金業規制法のガイドラインに違反しない」との談話を載せている。

 「支払ってください」と言えば、貸金業規制法に違反し、「お願いします」と言えば、貸金業規制法には違反しないとでもいうのだろうか。



武富士の融資の対象者

「当社は、正常なお客様にご融資するのです。正常な肉体、正常な精神を持った人にご融資するのです。それが病気になったり、また失業したりしたという時には、一旦債務を凍結し、また正常に戻った時にご入金頂けばよいのです。」

平成7年1月17日の阪神淡路大震災の際「4月20日迄請求不要」の指示をしたという。最も被害の大きかった地域には、武富士のお客様が、23,161名で93億円の債権があった。会長は、「73億円位の債権が回収不能となるだろうが、半世紀に一度の大災害だから仕方がない」と言ったが、結果は、6億円が回収不能になっただけだったという。

武富士の顧客から、「本当にありがたい」という声を多数もらったという。それは、「お客様が大変なときには、請求しなかったからです。大変な時期が過ぎる迄待ったからなのです。」と会長は述べている。

雲仙普賢岳のときにも、同様の措置をとったという。

 さらに、会長は、200万円、300万円を融資することはできない。なぜなら、仮に金利を15%としても、300万円の融資で返済が1ケ月遅れると延滞金利を含めて91,000円を支払わなければならなくなる。これほどの金額を回収することは、私(会長)にもできません。私は、自分にできない事を皆さんに押しつける事は決して致しません。これが結論です。

会長は、最後に「絶対に規則だけは守って下さい。規則を守らないと、自分だけではなく、親兄弟にまで迷惑を掛けることにもなりかねません。」と言っている。

異義あり
武富士は、生活保護受給者にも、100万円を融資している。年収が、300万円を割る人にも100万円融資している。確かに、武富士は、武富士だけでは、200万円も300万円も貸さない。しかし、武富士から借りている人は、5社も7社も、10社も借りているのだ。借りている貸金業者やクレジット会社全部に対して支払うお金は、まさに、会長が述べている毎月9万円を超える人が大勢いる。会長が、「私でも回収することはできません」と言っているような多額の支払をせねばならない人が大勢いるのである。

 武富士は、業界の雄として、お融資総額が、収入との関係で、間違いなく支払える金額におさまるような融資の仕方を真剣に考えるべきではないだろうか。

 押しつけ融資だとか、過剰融資との非難を受けないようにするために。

 阪神淡路大震災や雲仙普賢岳災害の時に、支払えるようになるまで請求しなかったという措置をとられたとすれば、それは、非常によいことだと思うが、それと同じように、支払えない状況にある人に対して、社会が納得するような対処をすることはできないのだろうか。


本部長の挨拶の見出しは、「絶対に諦めない精神で不可能を可能にする」となっている。

営業でいえば、「配付」です。商売は、「飽きない(商い)」である。

今、一番問題になっているのは、「管理」です。管理には、「集中できる環境を作る」朝・晩のダイヤル、時間帯請求。これは、必須。そして、「執念鉢巻」を巻いて、「離席禁止」「私語禁止」「外線禁止」「喫煙禁止」「長電話禁止」人間は、感情の動物、「真心と情の管理」に徹して下さい。こじれそうになったら担当者を代える事。そして、請求はビジネスとして堂々とやって罪悪感を持たないことです。


規則を守って目標達成が我等の使命

 私(本部長)の信念は、絶対に諦めない事、生意気な様ですが、誰にも負けないと自負しています。我々の使命は、規則を守って、与えられた予算、目標の達成あるのみ。少しでも駄目かなと思ったら、その瞬間から全てが終わりです。

異義あり
仕事に疑問を持つなというのは、人間であることをやめろというに等しい。

従業員が、人間としての「誇り」と「やりがい」がある仕事だと考えて働くことができるようにすることこそが、東証一部上場企業としての武富士の使命ではないだろうか。

少なくとも、ノルマを達成せねばならないということから、「何億円にものぼる不正融資をしたとして、横領で裁判所の法廷に立たねばならない」社員がでるような営業というのは、どこかに問題あることは間違いがないと思う。

 きちんとしたマニュアルにのっとった営業が行われていたならば、「何億円」にものぼる不正融資が会社の監査にもひっかからずに行えるはずがないと思うが、いかがなものであろうか。

「規則を守れ」ということが強調されているが、規則を守って仕事をしていたならば、貸金業規制法に違反するというようなことを言われるはずがないと思うのは、私だけだろうか。「規則を守れ」と言っているのに、規則に違反したことがあったとしたならば、それは、社員が、会社の指示に反して違反を行ったということで、個人責任だけが問われるのだろうか。


会長は、「武富士の仕事について、皆さんは自分で悩んでいると思っているかもしれませんが、当社の仕事に悩み等ないのです。迷いなのです。やれば良いのですから。どうやったら良いのだろう、これは、正に迷いなのです。悩みほど深くはないのです。」と話している。

 武富士で働く人が、貸金業規制法に違反するのではないかと悩みながら仕事をせねばならないようなノルマ(営業目標)を課さないようにしてほしいと思うのは、私だけだろうか。