武富士残業代訴訟始まる!
「上申書」武富士の現状に対する内部告発!



 2月24日、東京地方裁判所で武富士の元社員10名の残業代の訴訟が始まった。その訴訟で元社員の方が法廷で述べた「上申書」は、次のようなものである。

 私たち10名は、武富士に対して残業代を請求する訴訟を提起しました。これは、武富士の現状に対する内部告発です。

 私たちは、武井保雄会長をはじめとした幹部の皆さんの指示に忠実に従い、睡眠時間も生活時間も削って武富士の業務に励んできました。

 支店長在職のときは、朝7時に出勤し、支店の鍵をあけ、朝のティッシュ配付の手配、本社からの伝達画面の指示の確認をして、台帳記録にアクセスし、朝7時50分までに終了を指示されていた銀行振込の貸付を入力しました。

 8時10分からの朝請求は、55分の全社のワンボイント」では達成店はどこで、未達成はどこだと名指しで指摘されます。

 9時からは営業PRが始まります。「枠が5万円上がったのでいかがですか」などと言って借りてもらうのです。9時30分には窓口オープンです。新規のお客さんには20分間で貸出業務を終えるように指示されていました。

 支店長とは名ばかりで、支店の職員は、5名から9名程度しかいません。手が空いているものが、どんな仕事もしました。その間には、2時間毎の時報で貸出がどの程度伸びたか、請求してどれだけ支払ってもらったかの数字のチェックが入ります。

 営業目標という名のノルマが重く支店長にのしかかります。営業時間中でも2時間毎に本社に呼び出されて、数名で詰め寄られ、会長の年頭の辞を怒鳴り声で30分の唱和をさせられた者もいます。

 数字が達成できないと灰皿を投げつけられた者もいます。ノルマが達成できなければ、一挙に給与が下がり支店長から一般社員に降格させられます。

 武富士は、私たちに恐怖心を植えつけて、どんなことをしても、ノルマ達成をしなければいけない、絶対、営業統括本部長には逆らえない、という状況に追い込みます。

 ですから、必死になって本人にも本人以外の第三者にも支払のお願いをするのです。お願いだけではありません。玄関先で30分も1時間も土下座して入金していただくこともあるのです。

 夜は必死になって夜請求をします。夜請求は8時50分までと決められいてるので、支店全員で電話かけをします。そのあとも、PR業務のための台帳セットをして、最後に支店長が鍵をしめて帰ります。

 私自身は、平成9年4月から検査室に勤務していました。検査室というのは、支店の業務が適正に行われているかどうかをチェックする部署です。殆どが出張です。

 本社に戻るのは、月末月初の5日間位と、土曜日位でした。武富士は、新幹線で行く場合でものぞみを使わせません。ひかりの始発のしかも自由席しか認められていませんでした。

 検査の勤務は、朝7時30分ころ着店の報告を本社に入れ、夜9時過ぎには退店の時刻を本社に報告して一日が終わります。検査の内容は、持ち物検査から始まり、現金監査、台帳の抽出をして検査を行い、指摘事項をまとめて営業時間終了後に講評をするというものです。

検査では、台帳に不備があるか、必要な書類が揃っているか、必要な調査をしているかなどを点検しますが、決められた検査を行っていても、保険証などを偽造していれば、それは、検査マニュアルに従って検査してもわかりません。原始書類を偽造された場合は、マニュアル通りに検査していても、発見できないと思います。

 昨年6月3日、伊東元支店長〇〇〇〇〇の5億円の架空貸付けが発覚しました。

 このときは、たまたま、架空台帳が机の上に放置されていたため発覚したのです。ところが、わたしたちは、以前の検査で架空貸付を見抜けなかったという理由で、全員降格、実質的には解雇されたのです。自殺しろと言われた者もいました。

 私たちが、武富士の指示に従って、年中全国を飛び回りながら検査をして、不適切事項を明らかにしてきました。伊東支店では、巧妙な手口で横領されていたため通常の検査で摘発できなかったのです。それでも、武富士は、すべて、われわれに責任があるかのように言い、退職を強要したのです。

 そもそも、現在の武富士には法令を遵守しようという気風がありません。

 規則違反を行ってでも業績を上げた人が昇進・昇格しています。今回の伊東支店の事件でも検査室は処分を行いましたが、架空融資でノルマが達成できたとして営業統括本部長は常務取締役から専務取締役になりました。営業統括本部は処分は一切ありません。

 特に、営業統括本部長の武井健晃は、会長の息子ということで、暴君のごとく振る舞い、日々恫喝行為を繰り返されてきました。お客さんの支払が滞ったといってお客さんの借入れ債務について社員に債務保証をさせているという事実もあります。

 私たちはその犠牲になっている多くの武富士社員の現状をよりよくしようと考え、今回裁判することに決めました。

 なお、武富士は、2月20日、大阪で残業代未払訴訟について和解したとの声明文を発表しています。これも、内部告発による大きな成果と考えます。しかし、1月9日に、大阪労働局が東京労働局の協力を得て強制捜査した件では、まだ結論がでていません。私たちも残業代未払の件で東京労働局に告発しています。

 武富士の法令違反の賃金未払・恐怖の人事政策について、民主主義の世の中で許されるものなのか、是非、裁判所のご判断を仰ぎたいと思います。

 よろしくお願いします。