国は「責任をもって貸金業規制法に違反する実態を直視せよ!」五味政府委員は、「第三者」が「真の意味の第三者か、保証人かわからない?」と答弁



武富士「特別和解条件について」

武富士は、平成13年10月16日付で、営業統括本部から、「特別連絡」で、「特別和解条件について」との指示を出したという。

 その内容は、次のようになっているという。

対象台帳今期期末にて1年超未収台帳
対象部署支社管理室及び本社管理室弁護士班
基本額 〈分割和解〉
 本人→残元金の1%以上かつ5,000円以上
 第三者→残元金にかかわらず2000円以上
〈一括和解〉
 本人、第三者に拘わらず→残元金の80%以上
その他弁護士班は弁護士辞任台帳に限る
実施日即日実施

 武富士に関する質問で、この書面を示して、佐々木憲昭衆議院議員が、次のような質問をしたという。

 配付した資料を見ていただきますが、この文書は、営業統括本部から特別連絡として各支店に出されたものであります。金利がとれないものに対して和解条件を示したものですね。ここでも、「第三者」と書いてあるわけですね。「第三者」として、 「残元金に拘わらず2千円以上」とか、「本人、第三者に拘わらず、残元金の80%以上」、こう書いてありまして、これは、第三者からの取り立てというものを会社ぐるみで組織的にやっているという証拠なんですね。これは、貸金業規制法とガイドラインに明白に違反している文書であります。これは、直ちに、調査し是正すべきだと思いますが、いかがでしょう。



五味政府委員の答え

「私は、この文書を見たのは、実は初めてでございますので、確たることが申し上げられませんが、この「第三者」というのが、真の意味での第三者なのか、あるいは、保証人とかそうした種類の方なのか、ちょっとわかりかねます。いずれにしても、これは、ちょっとどちらのどういう文書なのか、これだけではわかりませんので、これは、何であるかということを調べてみます。


武富士は、「無担保」「無保証」で、融資をすることを業務としている貸金業者であることは、広く知られた事実である。

武富士の創業者であり、会長である武井保雄氏は、「当社(武富士)は、担保も保証も取っていないのですからお願いしかできないのです。それが、駄目だったら担当を変える。事故が起きそうだと思ったら、法的手段に訴える。これしかないのです」と述べている(武富士機関紙「竹の子」193号)。

武富士は、毎年、関東財務局に、「業務報告書」を提出しているはずであるが、その中では、無担保・無保証での貸付が幾ら、保証付が幾らということを報告しているはずである。(武富士会長の話からすれば、すべてが無担保無保証ということになるはずである。)

 武富士は、私が住む釧路市に、私の記憶では、昭和53年に支店を作った。

 私は、昭和53年から、釧路弁護士会のサラ金対策委員として、多重債務者の債務整理の相談にのっているが、武富士からの借入れで、「保証人」がついていたという記憶がない。

 武富士のコマーシャルは、「誰にも知られず簡単に」である。

 五味政府委員は、武富士が、どのような業務を行っているのか、興味もなく、知ろうともしないで、武富士等の貸金業者の監督業務についているということなのだろうか。

 「保証人」と「第三者」とは、日本語としても、明らかに異なっている。

 保証人は、法律上、本人と同じ責任がある。

 保証人に、請求することは、なんの問題もないはずである。

 政府委員というからには、貸金業者の業務実態について熟知しているはずであると思うのは、期待のし過ぎというものだろうか。