由利弁護士の部屋

　消費者金融大手「武富士」の元渉外部長が、「武井保雄会長から依頼されて暴力団との関係を修復したのに、約束どおり報酬が支払われない」として、同社に報酬金の支払いを求めた訴訟で、東京高裁は４日、元部長を敗訴とした東京地裁判決を取消し、同社に要求どおり４億円を支払うよう命じた。

　根本裁判長は、「元部長の証言は詳細で十分信用できる」と認定した。

　判決によると、武井会長は株式の店頭公開を控えた９６年６月、元部長に「暴力団との関係修復と右翼団体の妨害行為の件をきちんと処理してくれ。店頭公開したら５億円を約束する」と依頼した。元部長は、組長兼右翼団体トップと会い、問題を解決した。会長から「身を隠せ」と指示され、鳥取市に隠れていた。同８月、武富士は元部長を退職扱いにする一方、９７年、元部長に１億円を渡したが、残金は払わなかった。

　武富士は、「報酬の約束はなかった」と主張したが、判決は残金全額の支払いを命じた。１審・東京地裁判決は元部長の請求を退けていた。（小林）

武富士の話　十分な審理を尽くされないまま、１審判決を覆した不当かつ一方的なもので到底容認できない。上告の手続きを進めている。

　元部長は、９６年６月、会長との間で、紛争を処理した場合は、５億円の報酬を受け取るとの約束を交わし暴力団活動を中止させることに成功した。

　ところが、同社からは１億円しか支払われなかった。