恐喝未遂事件で逮捕されている
元武富士社員の「意見陳述」要旨



 武富士を脅かして1億円を支払わせようとしたとして逮捕されている元武富士社員の勾留について、6月9日午後4時30分、東京地方裁判所で、「勾留理由開示」という手続が行われた。

 その手続で、元社員が、述べた「意見陳述」の要旨は次のようなものだ。


1.恐喝未遂被疑事件には、一切かかわりありません。

2.(株)武富士在職中に従事した違法な業務
 平成6年12月から平成13年6月までの間、本社の渉外部あるいは法務部に在職している時に、(株)武富士の武井保雄会長から、暴力団、右翼、総会屋、警察、ブラックジャーナリストらに対する対応を命じられ、合法、非合法を問わずトラブル案件の処理に従事してきました。
 武富士が店頭公開をめざし始めた頃、社内外のトラブル案件を処理するために渉外部を設置し、私がその課長に命じられたころからです。武井会長からは、社員の犯歴調査、また、ジャーナリストや武富士の役員、退社した社員等に対し電話盗聴うして、その動向を監視し対応せよとの指示を受けておりました。特に、平成12年(2000年)から13年(2001年)にかけては、武井会長の直接の指示で、私自身いわゆる違法な電話盗聴による情報収集に関わって参りました。武富士において、武井会長の指示は、絶対服従すべき至上命令であり、逆らうわけにはいきません。
(中略)

3.(前略)
 この度の恐喝未遂事件に利用された武富士関係の資料は、私がこれらの違法ないし不当な業務に従事していた際に記録していた物、あるいは武井会長から破棄を命じられたものの、将来の身の危険から自分及び家族を守るために保存していた物の一部であります。
(後略)

4.武井保雄会長の直接指示による電話盗聴と盗聴テープの存在
(ここには、武井会長との間で符牒を作って業務を行っていたなどの状況が克明に記載されている。)


 尚、この元社員は、恐喝未遂被疑事件については、処分保留で釈放されると同時に、業務上横領の容疑で再逮捕されたという。横領の対象物は、「武富士の顧客名簿などの内部資料」であるという。これらの書類を持ち出したという容疑だという。
(朝日新聞・平成15年6月10日付)