武富士サービス残業元社員ら証言「震える社員」「重いノルマ」
東京新聞報道「こちら特報部」平成15年7月31日



 武富士の労働基準法違反容疑による書類送検に関して、大阪労働局が記者会見をしたことに関連し、東京新聞が前述のような見出しで、武富士社員の声を報道している。

 同報道には、次のような記載がある。

 武富士元社員が全国で相次いで訴訟を起こした。

 これまでに東京・大阪・仙台・福岡の各地裁で計34名が提訴。

 訴状などで同社の厳しい勤務について訴えている。

東京の原告の一人の支店時代の勤務状況「朝7時に出勤し、夜9時すぎまで働くのが通常でした。連日、4、5時間の時間外勤務。一方で時間外手当は、月一律25時間分の支給だけで殆どサービス残業でした」。

別の原告の一人は支店の業務の流れを説明。

「7時に出勤すると、近くの駅頭などでティッシュ配付。支店に戻り、8時過ぎからは、債務者に電話で返済を求める『朝請求』を始めます。9時半に開店。請求のほかに、すでに借りている人に追加融資をお願いする『PR』などを、金融帳のガイドラインで客への電話が認められている夜9時前まで続けます。」

東京の原告の一人の話

「業務内容が本社から細かく指示され、逐一チェックされる。時間管理の自由はまったくなかった」

「支店に設置されたパソコンの『伝達画面』で、本社や支社からの指示が伝えられる。支店は2時間ごとに、電話で貸出がどの程度伸びたか、請求してどれだけ返済されたか『答弁』しなければならない」

「電話での営業結果や、支店の貸出、返済額の状況が、本社や支社にリアルタイムで分かる仕組みになっています。本社や支社がチェックして、伝達画面などで、時々刻々、指示が出される」

「『営業目標』という名のノルマは、重くのしかかります。達成できないと、上司からは、『檄』と呼ばれる厳しい叱責が飛んできた」

大阪の原告の話

「最近では、罵声と檄を合わせて『バキ』と呼ばれています。電話で怒鳴られる場合は『バキテル』と言われます」

東京の原告の話

「都内の支店長時代、数字が達成できず、営業時間中に二時間ごとに本社に呼び出された。数人に『なんで数字を達成できない』と怒鳴られながら詰め寄られた。その後、武井保雄会長の念頭の辞を30分、怒鳴り声で唱えさせられた。頭は真っ白になり、貧血で倒れそうになった。」

大阪の原告の話

「上司に、肩と腰を押され、開けっ放しになっている非常口のドアまで押された。非常口は5階で、外を見たときは、死の危険を感じた」

「ノルマが達成できなければ、支店長から一般社員に降格され、給与も半減する。檄や降格で恐怖心を植えつけられ、どんなことをしてもノルマを達成しなければならないという状況に追い込まれる」

と原告は口をそろえる。


 武富士は、総額35億円の残業代を支払ったと報道されているが、それは、現実の残業代ではないとの次のような報道もある。

赤旗(平成15年7月29日付)
御木威氏の話(武富士を労働基準法違反で大阪労働局に告訴した人)

未払い賃金が過去2年間にさかのぼって支払われたことは、是正の第一歩としてよかったと思います。ただ、労働時間を個別に調べずに男性も女性も、一律の額で支店長には支払われていないという問題があります。武富士がやっていることは犯罪ですから、根本的な解決には経営陣の責任が問われると思います。



感想

 武富士の抜本的な労働時間管理の是正で、現在働いている人の時間外労働がどのようになっているのだろうか。

 現職の店長という方からは、店長は、「申告出社」ということで、厳しい残業を行わなければならない状況に置かれているとの悲痛なメールが寄せられている。一般社員は、規定内の残業に収まっているということなのだろうか。

 東京でも、時間外労働に関して、労働基準局への告訴がなされていると聞いている。

 サービス残業の問題は、武富士以外の大手企業でも大きな問題となっているが、武富士だけが、「書類送検」という厳しい措置を受けたのは、なぜなのだろうか。

 東証一部上場企業で書類送検されたのは、武富士のみと聞いているが、それ以外にもあるのだろうか。

 今、日本は、深刻な失業時代だ、仕事を分け合うという理念で、多くの人に仕事を分け与えようという試みもあると聞く。日本を代表する大手企業が、サービス残業をなくし、多くの人に仕事を分け与えるようにすれば、日本の深刻な失業問題にも一筋の光がみえてくると思うのは、私だけだろうか。