債務者が破産をしたことは知らなかった!



 A子は、昭和59年6月15日に武富士から金10万円を借りていた。

 A子は、平成7年、再婚した。

 A子の前夫との間の息子も、武富士から金を借りていた。

 A子は、武富士からそのことを知らされ、息子の分も支払ってほしいと言われたことから、支払った。

 A子が支払ったのは、次のようになっている。

   10年11月 6日  10,000円
   10年12月 4日  10,000円
   11年 1月 3日  10,000円
   11年 2月12日  10,000円
   11年 3月11日  10,000円

 A子は、平成11年9月8日 夫に相談することもできず、裁判所に出向いて破産の申立てをした。

 A子の破産宣告・同時廃止決定は、平成11年10月30日、免責決定は、12月28日となっている。

 破産債権者の中には、武富士も入っていた。

 A子は、破産後、また、武富士から息子の借金を支払うように言われて次のように支払った。

 平成13年1月5日・2月2日・7月2日・8月2日・9月3日・10月3日、各1万円である。

 このことについて、武富士に質問した。

 武富士から回答がきた。(回答には、「当社」と書かれているが、武富士と記載した)

質問 前述のような事実関係について
回答 A子は、再婚する前から武富士からお金を借りていた。
A子の息子も、武富士から金を借りていた。
A子は、何回か、息子の分を支払ったと思われる。
A子は、平成11年10月13日に破産宣告を受けた様ですが、武富士は、A子が息子の債務について立替払をしてくれたとは認識していませんでした。武富士が、A子に対して、息子の債務を支払うよう連絡をした事については、そのような事実はありません。

質問 武富士は、どのような方法で、何時、息子の債務のことをA子に「開示」しましたか。
回答 何時、息子の債務のことを「開示」したのかは現時点では判りません。

質問 武富士は、A子から、息子の債務の支払を、何時、幾らの金額の支払を受けましたか。
回答 確実には判明しませんが、何回か、A子が息子の債務につき立替払をされたと推測されます。

質問 武富士は、A子から息子のさいむ返済を受けるについて、A子との間でどのような交渉をしましたか。
回答 息子に連絡をとろうとしたところ、A子が電話に出られ、自ら立替払をするとの申し出をされました。

質問 武富士がA子が、自己破産をした後にも、息子の債務の返済をうけられたのは、いかなる理由からですか。
回答 息子に連絡をした際、立替払を申し出されたA子が、自己破産をされていたことは、武富士は、知りませんでした。

 今回の質問事項について当社(武富士)で調査のうえ上記内容でしたので回答致します。(上状勧解


疑問と感想

 この回答によると、息子が、母親に『内緒』で武富士からお金を借りていたことは間違いないらしい。

 そうすると、武富士が「開示」したことは間違いないということなのだろうか。

 武富士から金を借りている債務者の親族が、やはり、武富士からお金を借りている場合、その親族がどのような状況かは、調べるのが当然であると思うが、いかがなものであろうか。

 武富士が、作成している「交渉履歴」をみれば、何時、武富士が母親であるA子に連絡をし、A子が支払ったかはわかるのではなかろうか。

 武富士から、送られてきたA子の「取引履歴」は、昭和59年6月15日からの開始であった。

 A子が破産した時点では、すでに過払いになっていたことは間違いないだろうか。

 再婚したA子は、なんとしても夫には借金のことを知られたくなかった。

 再婚したA子は、主婦で働いていなかった。どうしようもない息子の借金の払も、夫の働きの中からするしかなかったのだ。