同時ルポ 武富士裁判57
「多感な子どもの心に深い傷」債務者の苦悩背に今さん証言



 週刊金曜日529号(2004年10月22日)は、「闇を暴く」名誉毀損事件に関して、次のような記事を掲載している。

同時ルポ 武富士裁判57
「多感な子どもの心に深い傷」債務者の苦悩背に今さん証言

 10月6日、8日の両日、『武富士の闇を暴く』の編著者と出版社を武富士が訴えた名誉毀損訴訟の証人尋問が東京地裁で行われた(8日の尋問は前号既報)。

 6日は、今瞭美弁護士の被告本人尋問と武富士社員3人の証人尋問が行われた。

 今弁護士は、被告代理人の小野寺友宏、山村邦夫弁護士の主尋問に答え、「最初は熱心な社員の行き過ぎで問題が起こるのかと思った。だが、多くの社員の声を聞き、過酷なノルマのために過剰融資と無理回収をせざるをえないことがわかった。」と話した。

 今さんは、さらに、武富士の厳しいとりたてなかで母がうつ病に、息子が多動性障害になったケースにふれ、「多重債務は、親の愛が必要な子どもに、取り返しのつかない傷を負わせる」と声を詰まらせながら訴えた。

原告武富士代理人弘中淳一郎、鈴木武志弁護士による反対尋問は、しばしばやぶ蛇に。

弘中「債務者本人から聞く以外に調査を尽くしたか」

今「武富士さんは取材に一切お答えにならない」

鈴木「武富士が裁判で全面的ち争っている件を(債務者側から)断定的に書いたのはなぜか」

今「武富士は債務者の母に『気持ちを鎮めるものを用意したい』と訴訟取り下げを迫った。鎮めるべき問題があったのでは」

藤山雅行裁判長が、最後に「付け加えることは」と促すと、今さんは、「社員も苦しんでいる。業務を改善し、社員がまともに働ける会社に変わってほしい」と熱い証言を締めくくった。

 武井保雄前会長の盗聴事件公判の判決を前に、金融庁は前会長による株式保有の実態調査を開始した。(以下次号・ジャーナリスト北健一)