同時ルポ 武富士裁判42
「武井オーナーの写真を外せ」本誌スクープで武富士に激震



 週刊金曜日514号(2004年7月2日)は、武富士による一連の裁判取材に関して次のような記事を掲載している。

同時ルポ 武富士裁判42
「武井オーナーの写真を外せ」本誌スクープで武富士に激震

 6月29日、東京・西新宿の武富士本社内で武富士株主総会が開かれた。株主席の前三列を社員が固め、答弁のたびに「了解!」「ヨーシ!」と繰り返す独特な雰囲気の総会終盤、和解男性株主が質問に立った。「25日、週刊誌報道を受けて、武井(保雄)被告の写真の回収の命令が出たと聞く。彼の写真がなぜまだ掲げられていたのか」

報道とは、25日発売の本誌記事(三宅勝久氏執筆)をさす。

 武富士側は「一部支店で支店長判断でかかげられていたことがわかり、再度指示して撤去した」(白倉政良取締役)と答えるのが精一杯。42歳の元久存氏が新社長に就任するなど「開かれた会社」へのイメージチェンジに躍起の武富士だが、同社元支店長・藤井龍氏への盗聴に関与したとされる武井保雄前会長の二男健晃氏が専務に留任したことと合わせ、武井一族の呪縛が改めて印象づけられた。

 株主総会に先立つ25日には、『日本経済新聞』が創業者(武井前会長)一族が株式の33%を売却する方針を固めリップルウッドやシティグループなど外資系5社が株式取得交渉に入ったと報じた。

 武富士の財務内容は良好だ。筆頭株主を武井一族から外資にかえ経営陣も若返ることで信頼回復を図る戦略のもと、テレビCM再開も秒読み段階という。

 だが、報道訴訟、従業員の未払い残業代や損害賠償請求訴訟がら闇勢力との関係まで武富士が抱える係争リスクは高い。

 元久新体制で武富士は変われるか。その成否は、コンプライアンス(法令遵守)確立と多数の訴訟の解決、最終的には武井一族支配の払拭にかかっている。(ジャーナリスト北健一)