「包括的指示に基づき債務者に有利に充当?」
「私が支払ったお金はどこへ行ってしまったの?」
「武富士流 お客さま第一主義!」

 北海道道東のA子さんは、昭和59年12月、武富士から25万円を借りた。借入額は、その後50万円までになった。

 A子さんの夫のB男さん、長男のC男さんも、自営業の関係で武富士からお金を借りた。

 A子さんは、平成16年3月、どうしても支払ができないということで、まってほしいと頼んだが、まてないと言われた。そのため、裁判所に相談にいき、由利弁護士に相談をした。

 A子さんは、懸命に支払っていたが、元金は殆ど減っていなかった。

 由利弁護士は、A子さんの代理人として、武富士から取引履歴を取り寄せた。

 A子さんは、武富士に銀行送金した控えを多数もっていた。

 武富士から送られてきた取引履歴の記録と、A子さんがもっていた銀行送金の控えとを照らし合わせて、由利弁護士は、非常に驚いた。

 なんと、A子さんがもっている銀行の送金の控えと、武富士の取引履歴とは全く合わないのだ。

 A子さんが武富士に送金しているのに、全く入金扱いになっていないものが、50件以上もあり、A子さんが武富士に送金した金額より少ない金額しか入金になっていないのが、70回以上もあるのだ。

 由利弁護士は、A子さんの代理人として、武富士に対して訴訟を提起した。

 そこで、武富士は次のようにいった。

「振り分けをしたのは、原告(A子さん)の包括的指示に基づき債務者に有利に充当したものであり、原告から個別の指示があったのではない」

 武富士が、A子さんの包括的指示に基づいて充当した内容として次のように主張している。

日時送金額A子さんB男・C男さん行方不明の二男
H5.06.172,000円     2,000円
H5.07.1410,000円   8,000円2,000円
H5.07.2910,000円     10,000円
H5.09.0310,000円   2,000円8,000円
H5.10.1420,000円   13,000円7,000円
H5.11.0410,000円 2,000円  8,000円
H5.11.225,000円   5,000円 
H5.11.2610,000円   10,000円 
H5.12.083,000円     3,000円
H5.12.163,000円     3,000円
(以下 略)


行方不明の二男については、A子さんが長く支払義務がないのに支払わされていたが、自分の分も支払えない状況となり、支払えないと武富士の担当者に話したという。

A子さんは、自分の名前の他に、行方不明の二男の名前でも銀行送金している。

A子さんは、なんでこんなことが行えるのかと非常に立腹している。

このように、A子さんが、自分の借金のために支払っていると思って懸命に銀行送金しているのに、全く支払義務がない二男の分に、最も、多く入金処理するのが、武富士の「債務者に有利」に振り分けるとういことの意味なのだろうか。次回の裁判までには、すべてを明かにするという。

A子さんは、懸命に支払っているが、武富士の約定の残元金は50万円からわずかしか減っていない。行方不明で全く支払っていない二男の分は、40万円の借入が、20数万円まで減っている。

誰でも、きちんと入金処理されていると思って、信じて、お金を支払っている。

武富士は、顧客を信頼をどのように思っているのだろうか。これが、「お客様第一主義」の実態なのだろうか。