北洋銀行よ、お前もか?
返済義務のない人に請求、遺族年金が受け取れなくするぞ!

 Aさんの内縁の夫が死亡したのは、平成6年8月31日である。

 Aさんは、16年以上、事実上夫婦として生活していたことから、内縁の妻と認められて、遺族年金を受給することができるようになった。

 Aさんの内縁の夫であるBさんは、生前、年金担保で年金福祉事業団からお金を借りていた。取り扱い窓口は、北洋銀行である(北海道拓殖銀行から移ったのかどうかはわからない)。

 Aさんのところに、北洋銀行の行員が尋ねてきたのは、平成12年7月ころのことである。行員は、保証人でもなんでもない、Aさんに、Bさんが借りていた金を支払うようにと請求した。Aさんは、保証人になっていないのにどうして支払わなければならないのかと、尋ねたところ、行員は、「死んだBさんが、お金を借りるときに、AさんとAさんの息子からもらうようにと言っていた」と言った。Aさんは、よく事情がわからなかったことから、息子に相談すると言ったところ、行員は、「又、来ます」と言って帰った。

 それから、約1ケ月経過した8月20日、今度は、行員が二人できた。

 Aさんは、行員に、Bさんが借りたお金については、息子が保証人になっており、息子は、債務整理を弁護士に委任している。自分は保証人にはなっていないので払えない。と話した。

 しかし、北洋銀行の行員は、Aさんに、Bさんの借りたお金を払うようにと迫った。

 Aさんは、自分は、保証人にもなっていないのにどうして払わなければならないのか、と聞いた。すると、驚くべきことに、北洋銀行の行員は、「もし、支払わないと、戸籍上相続人でないAさんが、受け取っている年金を受け取れなくすることができる」などと言った。

 Aさんは、驚いて、幾ら位払えばいいかと答えたところ、「一万円ずつ払うように」と言った。

 Aさんは、とても、1万円は払えないので、五〇〇〇円ずつ払うということを約束した。北洋銀行の行員は、最初は、五〇〇〇円ずつでよいが、なるべく早く一万円ずつ払えるようにしてほしいと言って帰った。

 私は、この話を聞いて、驚き、北洋銀行の行員に事実関係を確認した。

 行員は、私に対して、「保証人である息子さんに払ってもらうように言っただけだ」と主張した。しかし、私は、Aさんと行員との会話を聞いており、その話の内容から、行員が、しつこく、「戸籍上相続人でないAさんが、どうして遺族年金を受けられるようになったのか」などと疑問を呈する発言をしていた。Aさんは、「国が遺族年金がもらえるように認めてくれた」と答えても、なお、行員は、戸籍上相続人でないAさんが、年金を受け取ることに不満なようだった。

 北洋銀行から、次のような内容の事実を認め謝罪するお詫び状が届いたのは、八月三一日であった。


 当方としては、A様のご子息に関し確認することが目的であったにもかかわらず、親子という近親関係につい甘え、A様に債務弁済のお話を申し上げる結果となってしまいました。

 当然のことながら、A様は直接の債務者でも連帯保証人でもない方であり、このようなお話を申し上げるのは本来あってはならないことであり、深くお詫び申し上げる次第です。

 あらためて部下指導を徹底し、今後はかかることが無いように徹底して参る所存でございます。
(後略)


 裁判所も、大手金融機関も、警察官も、すべてが、支払義務のない人に、支払を請求したり、支払わせたりすることに、なんの疑問も持たない、というのが、「この国」(日本)の実情なのだろうか。

 親子である、夫婦である、親族である、ということで、当然に、支払義務があるというのが、この国の支配層、権力者の意識なのだろうか。

 この国で、力をもった人のこのような理不尽な行為をやめさせてくれるのは、誰なのだろうか。