未成年者を母親の連帯保証人に?
ここまできた、サラ金の無法!

近畿財務局(5)第00430 株式会社三栄は、サンエイファイナンスの名称で、貸金業者を営んでいる。札幌にも店舗がある。

 帯広在住のT子は、平成13年4月3日、サンエイファイナンスから金10万円を借りたが、それ以外にも債務があったことから、約定返済日に支払いができなかった。

 すると、サンエイファイナンスの担当者二人が、8月29日午後8時ころ、T子方を訪れた。そして、一括返済するよう請求したが、一括返済するようなお金はないと断っていた。

 T子は、サンエイファイナンスの社員から「息子さん、金持ってないんですか?」と聞かれたため、T子は、居間にいた長男に「お金、持っていないの」と訪ねたとのことです。

 長男は、「自分に金を用意するように」ということかと聞いたところ、サンエイファイナンスは「そのようなことは言っていない。」と言ったという。

 その日、午後9時ころ、サンエイファイナンスの社員は、「釧路に用事があるから、その帰りに寄るから家にいるように。明日迄に10万円用意しておいてくれ」と言った。T子は「無理です」と言ったところ、サンエイファイナンス担当者は、「10万円そろえておくように」と言って帰って行った。

 翌日、サンエイファイナンス担当者は午後8時30分ころ、T子宅にきた。T子が、「お金がない」と断ったところ、サンエイファイナンス担当者は、「親じゃ話にならん。息子さん呼んでくれ」と言って息子を呼び、「全額払うまで今日は戻らない」と言った。

 長男は、アルバイトの金が入る予定があるので、それまで待ってほしいと言ったが、サンエイファイナンス担当者は、「それまでは待てない。全額払うまで帰らない」と言って、「長男が保証人になれば帰る」と言われため、長男が保証人になる書面に署名・押印したら帰って行った。帰った時間は、夜9時30分をこえていた。

サンエイファイナンスの回答

 T子の長男は、平成13年8月末当時、未成年であった。そのため、私は非常に驚いて、サンエイファイナンスに質問書を送った。

 その回答の概要は、次のようであった。

 平成13年8月29日午後8時30分ころ、T子宅に行き、T子に全額支払うよう請求したが、T子は「全額支払うのは無理だが、マッサージに来るお客さんが大金を持っているから貸してもらえるだろう」と非常に楽観的であったため、別に金策するよう話したところ、長男が出てきて、「俺に金策しろってどういう事か」と訪ねたため、サンエイファイナンスは、「その様な事実はない」と言って、先の事情を説明したところ、長男が理解し、長男から「自分も仕事をやめたばかりで、金が無いが、15日過ぎにアルバイトの金が入るので待ってやってもらえないか」言ったが、サンエイファイナンスは、「一時的な協力では残金の回収に不安がある」「最後まで責任を持てなければ第三者が間に入っても無理である」と伝えた。T子が、マッサージの客が来ると言っていたため、午後9時迄待ったが、来なかったため、T子に2日間の猶予を与えるとともに、長男からの申し出に対し、継続的にやってもらえるのであれば、ありがたく受けるが、自身(長男のこと)が無職である事、保証人になれば、本人に代わり支払いをしてければならさないことを伝え、こちらが保証人を強要するも のではない事を伝えてよく検討するよう説明した。

 31日に午後8時過ぎ、T子方を訪れたが、T子は、1万円しか用意できず、やむなく、長男がT子の債務を承諾し、支払いの約束をし退去した。時間は、午後8時30分前であった。

 長男は、別の部屋に高校に通う弟がおり、弟が心配するといけないと思って、やむなく母親の連帯保証人となったという。

サンエイファイナンスの回答の欺瞞!

 家族の誰かが、債務者であるとしても、家族が進んで、その連帯保証人となることは稀である。そもそも、サラ金からの借金は、家族に『内緒』でやられることが多い。

 本件では、長男が、未成年であることは、サンエイファイナンスも熟知している。

 サンエイファイナンスからの回答でも、「俺に金策しろっていう事か?」と聞いたとの内容がある。サンエイファイナンスが、何も言わないのに、居間にいた長男が、このような発言をするであろうか。

 語るに落ちたとはこのことではないか。

 そもそも契約の当初に連帯保証人なしに融資した債権について、主債務者が約定返済ができなくなってから連帯保証人をとるということは、不法行為以外のなにものでもない。

 保証人被害の防止について徹底的な取組が必要になっている。

 親が借金をしてその支払いが子供の生活にも影響するということは、よく知られた事実であるが、連帯保証人にまでさせるということは、極めて問題があることは明らかである。

 サンエイファイナンスに対して業務停止、損害賠償、保証否認の訴訟を提起するほかない。