身体放棄覚書って何?
韓国における多重債務被害の状況

 2005年7月9日、札幌で、全国クレジット・サラ金問題対策協議会の幹事会が開かれた。

 そこで、韓国の「民主労働党」の経済民主化運動本部の政策室長と本部長が参加され、韓国におけるサラ金被害の状況が報告された。

 民主労働党は、結党5年の若々しい政党であるが、すでに、国会議員10名を要し、最近の世論調査では18パーセントの支持率があり、それでいくと60名の国会議員を要することも夢ではないという元気のいい政党であるという。

 韓国では、韓国経済破綻でIMFが乗り出した時、金大中大統領の時、規制緩和で金利規制が外されたという。金大統領は、クレジットカードの普及を大胆に進めたことと貸金業者が非常な高利で金を貸し、大変な多重債務被害が発生したという。

 韓国は儒教の影響で一族の恥となるようなことをさせないということで、一族が代払いをするなどのことからさらなる被害が発生したという。

 このようなことから、金利規制が行われるようになったが、その金利は60パーセントだという。

 多重債務者の現状は、次のようだという。

個人延滞者の状況

2004年に、信用不良者として登録されたもの361万人。そのたの延滞者(ヤミ金利用者・住宅担保貸付延滞者)を合わせて約500万名程


高利市場の現状

利息制限法廃止(98年1月)前、ヤミ金市場の平均貸付残高規模は、8兆3900億ウォンと推定される。
しかし、利息制限法廃止及び「貸金業登録及び金融利用者保護に関する法律」が制定・施行されている現在、一般人の平均利用規模は900万ウォン(登録業者:700万ウォン、無登録業者1470万ウォン)で過去800万ウォン水準から小幅ながら増加しているにすぎないが、一般人を対象とするヤミ金金融規模は8〜10倍にも激増し、30〜40兆ウォン水準で、ヤミ金金融利用者数は、約330〜400万名と推定される。
利息制限法が存在していた95〜96年までは、ヤミ金金融業者は、3000社あまりと推定される。
しかし、利息制限法が廃止されて貸金業法が施行されている現在は、4万5000社余り(2004年12月基準で登録業者1万1540社、無登録業者25000社余り)と急増・乱立している。
利息制限法の廃止前は、ヤミ金市場の平均貸付金利は年24〜36%(月2〜3%)水準であった。
しかし、利息制限法が廃止され貸金業法が施行されてから後は、ヤミ金金融業者の平均貸付金利は年223%(2004年末基準)で利息制限法の廃止前年24〜36%に比較して庶民の高金利負担は、最低450%以上、最高1000%近くにまで高金利負担が激増した。
また、金融監督院が言うところの,いわゆる「健全な業者」(?)の金利も年66%(月5・5%)を前後する超高金利を維持している。


 このような中で不当な債権取立て等が行われいるという。

 不当な債権取立てと関連して暴言、暴行(甚だしくは、子どもが見ている前で性的暴行まで)監禁、拉致、殺害、臓器売買の強要、身体放棄覚書、人身売買、土中に埋めるなど、地獄より醜悪な光景がみられるという。

 「身体放棄覚書」がどのようなものかの質問に対しては、女性が書かされることが多いとのことであるが、売春などをさせるためのものだという。

 そのような覚書は無効ではないかとの質問に対しては、「無効だが、それを書かされた人が知らない」ので、まかり通っているという。



韓国の被害者救済運動について

 弁護士等の法律家は殆ど関与していない。

 民主労働党が、破産に関する勉強会などをしているという。

 日本においては、第一次サラ金地獄といわれる昭和53年の初め、木村達也弁護士等大阪の弁護士や被害者が中心となり、全国サラ金問題対策協議会が結成され、被害者の実情を社会に向かって発信し、被害者救済運動をしてきた。韓国の実情の報告を受け、全国クレジットサラ金問題対策協議会が果たした役割は大きいと思った。

 今後、韓国における被害者救済の運動が行われるよう全国クレジットサラ金問題対策協議会が協力するとの意思の表明があった。