時効債権による暗躍を始めた貸金業者!
昭和58年の貸金債権を支払え?

2011年 8月 1日

1 債権譲渡通知って何!
 Aさん(79歳)は、平成23年5月下旬、次のような書面を受け取った。 書面の表題は、「債権譲渡及び債権譲受通知」というもので、日付は、平成23年5月16日付となっていた。
その書類には、次のようなことが書いてあった。

譲渡人    株式会社K
譲受人    株式会社S
譲渡契約日  平成23年4月1日付
契約日    昭和58年3月2日
契約額      95,000円
最終取引日  昭和58年3月2日
残元金      75,000円
遅延損害金   218,856円
現在合計残高  293,856円

2 借用証書が同封されていた。
 昭和58年3月2日付で、30万円が融資額となっている。 しかし、Aさんは、30万円も借りた記憶がない。借りたのは、10万円位だったと思っている。 債権譲渡通知にも、契約日の取引額が95,000円となっているから、Aさんが、借りたのは、95,000円だったのだ。
 利息は、「1000円につき、1日2円」となっているから、一年で、730円だから、73%ということになる。 Aさんは、しばらく払ったが、払えなくなったと記憶している。


3 「今後予想される展開」という書類も同封されていた。

ご連絡頂いた方に関して
当社が責任を持って相談および和解いたします。
今後も、連絡すら頂け無い場合に予想される展開

・貴殿の身辺調査を開始いたします。
 この段階で、ご連絡を頂いた場合には、今後の相談をし和解を致しますが、
 当然始めにご連絡を頂いた方とは、減額等に違いが出ます。
 
・調査完了後、貴殿の訪問準備に入ります。
 当然ながら、日数・費用等を算定した上で伺う為、減額に応じかねます。
 直接回収員が玄関先で全額請求致します。
 ※この段階で解決が出来ない、又は望んでいないと判断された場合には、
  以下の通り着々と準備に入ります。
 
・同業他社へ売却の準備に入ります。
 一番高値を付ける筆頭業者への売却先を選定致します。
 高値筆頭売却先は、当然距離的な問題をクリアしている為貴殿にとって支払環境の悪化・値引交渉の難航等が容易に推測されます。
 当然当社は札幌の金融業者である為毎日伺う事は出来ませんのでその問題をクリアしていて、尚且つ一番高値を付けた同業他社への入札を行います。
 
・売却決定
 日にち等が決まり次第、債権譲渡契約を結ぶ為、締結後に当社と和解を希望されても出来ません。

4 「身辺調査開始予告」(平成23年7月6日付)!
 「いよいよ、貴殿の身辺調査を開始致します。」という書類がきた。それには、次のように書かれていた。

今後の展開は既にご説明済みですので粛々と調査致します。
身辺調査が完了致しましたら、訪問回収となります。
下記調査開始期限までに担当者へ相談ください。

5 「少しでも払うように」!
 Aさんは、電話で、「少しでも払うように」と言われた。 Aさんは、小銭を貯めている貯金箱に8,000円位しかなかったので、そのことを話したところ、まず、1万円を払って誠意を示すようにと言われた。
Aさんは年金もなく、夫の10万円に満たない年金で二人で生活している。 Aさんが、そのことを話すと、年金が支給される月に、2万円ずつ支払うようにと言われた。 それで、Aさんは、ともかく、知人から2,000円を借りて、1万円を支払った。


6 「ご案内」「債務支払いに関する合意書」の送付
 平成23年7月12日付の「ご案内」という書類と、「債務支払いに関する合意書」が送付されてきた。 ところが、その合意書には、「平成23年8月から、偶数月15日限り3万円を支払う」という内容となっていた。


7 弁護士に相談
 Aさんは、これでは、生活ができなくなると考え、知人に相談をし、釧路の弁護士に相談することにした。


株式会社Kと株式会社Sとの間の債権譲渡の問題?


  1. Aさんは、Eに、73%の割合による約定利息を支払っていた。
    Aさんが、2年以上支払っていたとすれば、完全に過払いとなり、Aさんが、支払わねばならない借金はなく、逆に、返してもらえる金があるということになる。
    Eは、貸金業規制法違反で、釧路支店の業務停止1ケ月の処分を受けたことがある。その後、Eは、釧路支店を閉鎖した。Aさんは、そのころ、どこに支払うかわからなくなり、支払わなかったのではないかと思われる。
  2. サービサーは、利息制限法の制限金利による元本充当計算を行った残金しか債権譲渡を受けることができない。Kが債権譲渡をした段階で、Sに債権譲渡をしたということは、取立だけが目的であるから、サービサー法違反の疑いがある。
  3. 仮に、万が一、残債務があるとしても、商事時効の5年を超えていることは明らかである。
  4. このような脅しのような形で、本来支払わなくてもよい支払をさせられるということは、許されることではない。