指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準について

平成11年7月29日

厚生省老人保健福祉局企画課長

その2

3. 運営に関する基準

      (1)内容及び手続きの説明及び同意

原文

対訳
 基準第4条は、基本理念としての高齢者自身によるサービス選択を具体化したものである。利用者は指定居宅サービスのみならず、指定居宅介護支援事業者についても自由に選択できることが基本であり、指定居宅介護支援事業者は、利用申し込みがあった場合には、あらかじめ、当該利用申込者又はその家族に対し、当該指定居宅介護支援事業所の運営規程の概要、介護支援専門員の勤務の体制、秘密の保持、事故発生時の対応、苦情処理の体制等の利用申込者がサービスを選択するために必要な重要事項を説明書やパンフレット等の文書を交付して説明を行い、当該指定居宅介護支援事業所から居宅介護支援を受けることにつき同意を得なければならないこととしたものである。なお、当該同意については、利用者及び指定居宅介護支援事業者双方の保護の立場から書面によって確認することが望ましいものである。
 なお、この場合、指定居宅介護支援は、利用者の意思及び人格を尊重し、常に利用者の立場に立って行うものであり、居宅サービス計画は利用者の希望を基礎として作成されるものであること、このため、指定居宅介護支援について利用者の主体的な参加が重要であることにつき十分説明を行い、理解を得なければならない。

利用者によるケアマネ機関の選択は自由です。ケアマネは利用者に対して申し込み時点でよく説明を行い同意を得なければなりません。

この同意は文書が望ましい。

      (2)提供拒否の禁止

原文

対訳
 基準第5条は、居宅介護支援の公共性にかんがみ、原則として、指定居宅介護支援の利用申し込みに対しては、これに応じなければならないことを規定したものであり、正当な理由なくサービスの提供を拒否することを禁止するものである。
 なお、ここでいう正当な理由とは、1)当該事業所の現員からは利用申込に応じきれない場合、2)利用申込者の居住地が当該事業所の通常の事業の実施地域外である場合、3)利用申込者が他の指定居宅介護支援事業者にも併せて指定居宅介護支援の依頼を行っていることが明らかな場合等である。

ケアマネの利用申し込みに対しては、以下の正当な理由がなければ拒否してはいけません。

1)キャパシティーを超えた

2)利用者の住所が範囲外

3)利用者が二股かけていることがわかった

      (3)要介護認定等の申請に係る援助

原文

対訳
1) 基準第8条第1項は、法第27条第1項及び第32条第1項に基づき、被保険者が居宅介護支援事業者に要介護認定等の申請に関する手続きを代わって行わせることができること等を踏まえ、被保険者から要介護認定等の申請の代行を依頼された場合等においては、居宅介護支援事業者は必要な協力を行わなければならないものとしたものである。
2) 基準第2項は、要介護認定等の申請がなされていれば、要介護認定等の効力が申請時に遡ることにより、指定居宅介護支援の利用に係る費用が保険給付の対象となり得ることを踏まえ、指定居宅介護支援事業者は、利用申込者が要介護認定等を受けていないことを確認した場合には、要介護認定等の申請が既に行われているか否かを確認し、申請が行われていない場合は、当該利用申込者の意向を踏まえて速やかに当該申請が行われるよう必要な援助を行わなければならないこととしたものである。
3) 基準第3項は、要介護認定等の有効期間が付されているものであることを踏まえ、指定居宅介護支援事業者は、要介護認定等の有効期間を確認した上、要介護認定等の更新の申請が、遅くとも当該利用者が受けている要介護認定等の有効期間が終了する1月前にはなされるよう、必要な援助を行わなければならないこととしたものである。

1)要介護認定の申請代行を依頼されたときは協力しなければなりません。

2)利用申込者がまだ要介護認定を受けていないときには速やかに申請できるよう援助しなければなりません。

3)要介護認定の有効期間を確認して、期限の1ヶ月前には更新申請できるよう援助しなければなりません。

      (4)身分を証する書類の携行

原文

対訳
 基準第9条は、利用者が安心して指定居宅介護支援の提供を受けられるよう、指定居宅介護支援事業者が、当該指定居宅介護支援事業所の介護支援専門員に身分を証する証書や名刺等を携行させ、初回訪問時及び利用者又はその家族から求められたときは、これを提示すべき旨を指導するべきこととしたものである。当該証書等には、当該指定居宅介護支援事業所の名称、当該介護支援専門員の氏名を記載した上、写真を貼付したものとすることが望ましい。なお、当該介護支援専門員は、当該証書等に併せて都道府県知事又は都道府県知事が指定した団体が発行する携帯用介護支援専門員実務研修修了証明書を携行するものとする。 ケアマネはケアマネ機関の名称、本人の氏名および顔写真を貼った身分証明書を提示しなければなりません。またケアマネ研修終了証明書(携帯用)も携帯しなければなりません。

      (5)利用料等の受領

原文

対訳
1) 基準第10条第1項は、利用者間の公平及び利用者の保護の観点から、保険給付がいわゆる償還払いとなる場合と、保険給付が利用者に代わり指定居宅介護支援事業者に支払われる場合(以下「代理受領がなされる場合」という。)の間で、一方の経費が他方へ転嫁等されることがないよう、償還払いの場合の指定居宅介護支援の利用料の額と、居宅介護サービス計画費又は居宅支援サービス計画費の額(要するに、代理受領がなされる場合の指定居宅介護支援に係る費用の額)との間に、不合理な差額を設けてはならないこととするとともに、これによって、償還払いの場合であっても原則として利用者負担が生じないこととする趣旨である。
2) 基準第2項は、指定居宅介護支援の提供に関して、利用者の選定により通常の事業の実施地域以外の地域の居宅において指定居宅介護支援を行う場合の交通費の支払いを利用者から受けることができることとし、保険給付の対象となっているサービスと明確に区分されないあいまいな名目による費用の徴収は認めないこととしたものである。
3) 基準第3項は、指定居宅介護支援事業者は、前項の交通費の支払いを受けるに当たっては、あらかじめ、利用者又はその家族に対してその額等に関して説明を行い、利用者の同意を得なければならないこととしたものである。

1)償還払いと代理受領(普通の支払い)の間に差額をもうけてはいけません。

2)ケアマネの縄張り外からの依頼には交通費をとってもよいですが、それ以外の費用を取ってはいけません。

3)2)の交通費についてはあらかじめ利用者の同意を得なければいけません。

      (6)保険給付の請求のための証明書の交付


原文

対訳
 基準第11条は、居宅介護支援に係る保険給付がいわゆる償還払いとなる場合に、利用者が保険給付の請求を容易に行えるよう、指定居宅介護支援事業者は、利用料の額その他利用者が保険給付を請求する上で必要と認められる事項を記載した指定居宅介護支援提供証明書を利用者に対して交付するべきこととしたものである 償還払いの際には居宅介護支援提供証明書を交付しなければなりません。

      (7)指定居宅介護支援の基本取扱方針及び具体的取扱方針

 基準第13条は、居宅介護支援が我が国にはじめて導入されるものであることから、その確立を図るため、利用者の課題分析、サービス担当者会議の開催、居宅サービス計画の作成、居宅サービス計画の実施状況の把握などの居宅介護支援を構成する一連の業務のあり方及び当該業務を行う介護支援専門員の責務を明らかにしたものである。

原文

対訳
1) 介護支援専門員による居宅サービス計画の作成(基準第13条第1号)
 指定居宅介護支援事業所の管理者は、居宅サービス計画の作成に関する業務の主要な過程を介護支援専門員に担当させることとしたものである
左のとおり
2) 利用者自身によるサービスの選択(第2号)
 介護支援専門員は、利用者自身がサービスを選択することを基本に、これを支援するものである。このため、介護支援専門員は、当該利用者が居住する地域の指定居宅サービス事業者等に関するサービスの内容、利用料等の情報を適正に利用者またはその家族に対して提供することにより、利用者にサービスの選択を求めるべきものであり、特定の指定居宅サービス事業者に不当に偏した情報を提供するようなことや、利用者の選択を求めることなく同一の事業主体のサービスのみによる居宅サービス計画原案を最初から提示するようなことがあってはならないものである。
ケアマネは特定のサービス事業者に偏ったケアプランを組むよう利用者を誘導してはいけません。
3) 課題分析の実施(第3号)
 居宅サービス計画は、個々の利用者の特性に応じて作成されることが重要である。このため介護支援専門員は、居宅サービス計画の作成に先立ち利用者の課題分析を行うこととなる。
 課題分析とは、利用者の有する日常生活上の能力や利用者が既に提供を受けている指定居宅サービスや介護者の状況等の利用者を取り巻く環境等の評価を通じて利用者が生活の質を維持・向上させていく上で生じている問題点を明らかにし、利用者が自立した日常生活を営むことができるように支援する上で解決すべき課題を把握することであり、利用者の生活全般についてその状態を十分把握することが重要である。
 なお、当該課題分析は、介護支援専門員の個人的な考え方や手法のみによって行われてはならず、その者の課題を客観的に抽出するための手法として合理的なものと認められる適切な方法を用いなければならないものであるが、この課題分析の方式については、別途通知するところによるものである。

ケアマネはケアプランを立てるに先立ってケアアセスメントを行わなければなりません。

ケアアセスメントの方式については別途通知します。

4) 課題分析における留意点(第4号)
 介護支援専門員は、解決すべき課題の把握に当たっては、必ず利用者の居宅を訪問し、利用者及びその家族に面接して行わなければならない。この場合において、利用者やその家族との間の信頼関係、協働関係の構築が重要であり、介護支援専門員は、面接の趣旨を利用者及びその家族に対して十分に説明し、理解を得なければならない。なお、このため、介護支援専門員は面接技法等の研鑽に努めることが重要である。
ケアマネは必ず家庭訪問しなければなりません。
5) 居宅サービス計画原案の作成(第5号)
 介護支援専門員は、居宅サービス計画が利用者の生活の質に直接影響する重要なものであることを十分に認識し、居宅サービス計画原案を作成しなければならない。したがって、居宅サービス計画原案は、利用者及びその家族の希望並びに利用者について把握された解決すべき課題をまず明らかにした上で、当該地域における指定居宅サービス等が提供される体制を勘案し、実現可能なものとする必要がある。
 なお、当該居宅サービス計画原案には、提供される居宅サービスについて、その長期的な目標及びそれを達成するための短期的な目標並びにそれらの達成時期等を明確に盛り込み、当該達成時期には居宅サービス計画及び各指定居宅サービス等の評価を行い得るようにすることが重要である。

ケアマネはケアプランの原案を立てなければなりません。

ケアプラン原案には長期目標とそれを達成するための短期目標、さらに達成時期を盛り込んでモニタリングができるようにしておかねばなりません。

6) サービス担当者会議等による専門的意見の聴取(第6号)
 介護支援専門員は、効果的かつ実現可能な質の高い居宅サービス計画とするため、各サービスが共通の目標の達成のため、具体的なサービスの内容として何ができるかなどについて居宅サービス計画原案に位置づけた指定居宅サービス等の担当者からなるサービス担当者会議の開催又は当該担当者への照会等により、専門的な見地からの意見を求め調整を図ることが重要である。なお、介護支援専門員は、利用者の状態を分析し、複数職種間で直接に意見調整を行う必要の有無について十分見極める必要があるものである。
ケアマネはケアプラン原案に位置付けたサービス担当者会議(あるいは担当者への照会)を開催し、調整を図らなければなりません
7) 居宅サービス計画の説明及び同意(第7号)
 居宅サービス計画に位置付ける指定居宅サービス等の選択は、利用者自身が行うことが基本であり、また、当該計画は利用者の希望を尊重して作成されなければならない。利用者に選択を求めることは介護保険制度の基本理念である。このため、当該計画原案の作成に当たって、これに位置付けるサービスについて、また、サービスの内容についても利用者の希望を尊重することととともに、作成された居宅サービス計画の原案についても、最終的には、その内容について説明を行った上で文書によって利用者の同意を得ることを義務づけることにより、利用者によるサービスの選択やサービス内容等への利用者の意向の反映の機会を保障しようとするものである。

ケアプランは利用者の希望を尊重しなければなりません。

ケアプランは最終的には利用者の文書による同意が必要です。

8) 居宅サービス計画の実施状況等の把握及び評価等(第8号)
 指定居宅介護支援においては、利用者の有する解決すべき課題に即した適切なサービスを組み合わせて利用者に提供し続けることが重要である。このために介護支援専門員は、利用者の解決すべき課題の変化に留意することが重要であり、居宅サービス計画の作成後においても、利用者及びその家族、指定居宅サービス事業者等との連絡を継続的に行うことにより、居宅サービス計画の実施状況や利用者についての解決すべき課題の把握を行い、必要に応じて居宅サービス計画の変更、指定居宅サービス事業者等との連絡調整その他の便宜の提供を行うものとする。
 なお、利用者の解決すべき課題の変化は、利用者に直接サービスを提供する指定居宅サービス事業者等により把握されることも多いことから、介護支援専門員は、当該指定居宅サービス事業者等のサービス担当者と緊密な連携を図り、利用者の解決すべき課題の変化が認められる場合には、円滑に連絡が行われる体制の整備に努めなければならない。

ケアマネは継続的なモニタリングを行ない、サービスの調整を図らなければなりません。

ケアマネはサービス提供機関と連携し、利用者の課題の変化に対応しなければなりません。またその体制の整備に努めなければなりません。

9) 介護保険施設への紹介その他の便宜の提供(第9号)
 介護支援専門員は、利用者がその居宅において日常生活を営むことが困難となったと認める場合又は利用者が介護保険施設への入院又は入所を希望する場合には、介護保険施設はそれぞれ医療機能等が異なることに鑑み、主治医の意見を参考にする、主治医に意見を求める等をして介護保険施設への紹介その他の便宜の提供を行うものとする。
ケアマネは利用者が在宅困難となった場合は介護保健施設その他へ紹介しなければなりません
10) 介護保険施設との連携(第10号)
 介護支援専門員は、介護保険施設等から退院又は退所しようとする要介護者等から居宅介護支援の依頼があった場合には、居宅における生活へ円滑に移行できるよう、あらかじめ、居宅での生活における介護上の留意点等の情報を介護保険施設等の従業者から聴取する等の連携を図るとともに、居宅での生活を前提とした課題分析を行った上で居宅サービス計画を作成する等の援助を行うことが重要である。
ケアマネは介護保健施設などから退所しようとする利用者から依頼があった場合は援助しなければなりません。
11) 主治の医師等の意見等(第11号・第12号)
 訪問看護、訪問リハビリテーション、通所リハビリテーション、居宅療 養管理指導及び短期入所療養介護については、主治の医師又は歯科医師 (以下「主治の医師等」という。)等がその必要性を認めたものに限られ るものであることから、介護支援専門員は、これらの医療サービスを居宅サービス計画に位置付ける場合にあっては主治の医師等の指示があることを確認しなければならない。
 このため、利用者がこれらの医療サービスを希望している場合その他必要な場合には、介護支援専門員は、あらかじめ、利用者の同意を得て主治の医師等の意見を求めなければならない。
 なお、医療サービス以外の指定居宅サービス等を居宅サービス計画に位置付ける場合にあって、当該指定居宅サービス等に係る主治の医師等の医学的観点からの留意事項が示されているときは、介護支援専門員は、当該留意点を尊重して居宅介護支援を行うものとする。

ケアマネはケアプランを立てるにあたり以下の点については主治医の指示があることを確認しなければなりません。

訪問看護・訪問リハビリ・通所リハビリ・居宅療養管理指導・短期入所療養介護

その他のサービスについても主治医の注意事項があるときは尊重しなければなりません。

12) 認定審査会意見等の居宅サービス計画への反映(第13号)
 指定居宅サービス事業者は、法第73条第2項の規定に基づき認定審査会意見が被保険者証に記されているときは、当該意見に従って、当該被保険者に当該指定居宅サービスを提供するように努めなければならないこと、法第37条第1項の規定により居宅サービスの種類が指定されたときには、当該指定されたサービス以外のサービスについては保険給付が行われないことから、介護支援専門員は、利用者が提示する被保険者証にこれらの記載がある場合には、利用者にその趣旨(法第37条第1項の指定に係る居宅サービス種類については、その変更の申請ができることを含む。)について説明し、理解を得た上で、その内容に沿って居宅サービス計画を作成しなければならない。

ケアマネは認定審査会の意見が被保険者証に記されているときには意見に従わなければなりません。

また居宅サービスの種類が指定されているときには利用者に説明した上で従わなければなりません。

13) 計画的な指定居宅サービス等の利用(第14号)
 利用者の自立した日常生活の支援を効果的に行うためには、利用者の状態に応じて、継続的かつ安定的に居宅サービスが提供されることが重要である。介護支援専門員は、居宅サービス計画の作成又は変更に当たり、継続的な支援という観点に立ち、計画的に指定居宅サービス等の提供が行われるようにすることが必要であり、支給限度額の枠があることのみをもって、特定の時期に偏って継続が困難な、また必要性に乏しい居宅サービスの利用を助長するようなことがことがあってはならない。
ケアマネは支給限度枠があるからといって、限度いっぱいまで、継続不可能なプランや不要なプランを立ててはいけません。
14) 総合的な居宅サービス計画の作成(第15号)
 居宅サービス計画は、利用者の日常生活全般を支援する観点に立って作成されることが重要である。このため、居宅サービス計画の作成または変更に当たっては、利用者及びその家族の希望や課題分析の結果に基づき、介護給付等対象サービス以外の、例えば、市町村保健婦等が居宅を訪問して行う指導・教育等の保健サービス、老人介護支援センターにおけるソーシャルワーク及び市町村が一般施策として行う配食サービス、寝具乾燥サービスや当該地域の住民による見守り、配食、会食などの自発的な活動によるサービス等、更には、こうしたサービスと併せて提供される精神科訪問看護等の医療サービス、はり師・きゅう師による施術、保健婦・看護婦・柔道整復師・あん摩マッサージ指圧師による機能訓練なども含めて居宅サービス計画に位置づけることにより総合的な計画となるよう努めなければならない。
ケアマネはケアプランを立てるにあたって、保険給付対象以外の利用できるサービスもあわせて考えておくようにしましょう。
15) 指定居宅介護支援の基本的留意点(第16号)
 指定居宅介護支援は、利用者及びその家族の主体的な参加及び自らの課題解決に向けての意欲の醸成と相まって行われることが重要である。このためには、指定居宅介護支援について利用者及びその家族の十分な理解が求められるものであり、介護支援専門員は、指定居宅介護支援を懇切丁寧に行うことを旨とし、サービスの提供方法等について理解しやすいように説明を行うことが肝要である。
左のとおり

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