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アウエルンハンマー・ソナタ集とその周辺

ザルツブルクから飛び出し、ウィーンで自立したモーツァルトは、ザルツブルクで心配する父に対して「息子が気晴らしと歓談の間を泳ぎ回っているとでも思っているなら、それは間違いだ。 財布を空にしないための気苦労でいっぱいだ」と書き送り、自分が無分別な行動をしているのではないことを強調した手紙(1781年5月19日)の中で、 「現在は必要ぎりぎりしか持っていないが、いま6曲のソナタの予約が進んでいるので、それで金が入る」と伝えている。

ピエロン嬢のために作った K.296 と、後の5曲のソナタ K.376〜380 がまとめられてウィーンのアルタリア社から「作品2」として1781年11月に出版され、 アウエルンハンマー嬢(オーストリアの実業家アウエルンハンマー氏の令嬢ヨゼファ)に献呈されたので、これらは「アウエルンハンマー・ソナタ」と呼ばれている。 捧げられた作品集の標題は「ヴァイオリン伴奏つきのクラヴィアまたはピアノフォルテのための6つのソナタ Six sonates pour le clavecin ou pianoforte avec l'accompagnement d'un violon dediés a Mademoiselle Josephe d'Aurnhamer par Wolfg. Amadé Mozart」。

1783年4月4日、ハンブルクの「Magazin der Musik」紙の記事

これらのソナタはこの種の曲の中ではユニークなものだ。新しい楽想に満ち、作曲者の偉大な音楽的天分の跡を見せている。曲想は輝かしく、この楽器に適したものだ。 さらにヴァイオリンの伴奏は巧みにピアノのパートに配されており、2つの楽器は切れ目なく弾き続けている。 したがってこのソナタのヴァイオリニストはピアニストぐらいの完成した技術が要求される。

● 第1番 ヘ長調 K.374d (376)

● 第2番 ハ長調 K.296

● 第3番 ヘ長調 K.377 (374e)

● 第4番 変ロ長調 K.378 (317d)

● 第5番 ト長調 K.379 (373a)

  1. Adagio ト長調 ソナタ形式(再現部 Allegro ト短調)
  2. Andantino cantabile 主題と6変奏
[ 81年4月7日? ウィーン ] 第1楽章は雄大なアダージョで始まり展開する。このドラマチックな構成は「イドメネオ」の影響か。

● 第6番 変ホ長調 K.380 (374f)

  1. Allegro 変ホ長調
  2. Andante con moto ト短調
  3. ロンド Allegro 変ホ長調
[ 81年4月7日? ウィーン ] 4月8日夜の音楽会でブルネッティと共演するために急きょ作った。 セットの最後を飾るにふさわしい作り。

● ピアノとヴァイオリンのための12の変奏曲 ト長調 K.359 (374a)

12 variations for piano and violin on "La Bergere Celimene" by Antoine Albanese

[ 81年7月 ウィーン ] ウィーンでの最初のピアノの弟子となったド・ルムベック伯爵夫人のために、ピアノとヴァイオリンのための2つの変奏曲K.359とK.360を作った。

● ピアノとヴァイオリンのための6つの変奏曲 ト短調 K.360 (374b)

6 variations for piano and violin on "Au bord d'une fontaine" by Antoine Albanese

[ 81年7月 ウィーン ] ド・ルムベック伯爵夫人のために。アルバネーズの歌集から「泉のほとりで」を主題に。

● ピアノとヴァイオリンのためのソナタのアレグロ K.372


 

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2007/06/10
Mozart con grazia