Mozart con grazia > ピアノ変奏曲 >
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グラーフのオランダ歌曲による8つのピアノ変奏曲 ト長調 K.24 (Anh.208)

  • Allegretto ト長調
〔作曲〕 1766年3月7日以前 ハーグ(デン・ハーク)かアムステルダム
1766年3月





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モーツァルト一家4人は1763年6月、西方への大旅行に出たが、その旅もそろそろ終りになる頃、オランダのハーグ(デン・ハーク)に滞在している。 しかしもともとそれは予定になかった所だった。 レオポルトの計画では、ロンドンから大陸に戻ったあとはイタリアに向かい、ミラノとヴェネツィアをまわってザルツブルクに帰郷するつもりだった。 ところがロンドン駐在のオランダ大使ヴァルデーレン伯爵(Jan Walraad Graf Walderen, 1725-1807)の度重なる懇願により、デン・ハークのオランニエ公ヴィレム5世(Prinz von Oranien, Willem V. 1748-1807)に拝謁することになった。 一家は1765年8月1日、イギリスをたって大陸に渡り自家用馬車に乗ってオランダに向かった。 そこで夏を過ごし、9月末にパリへ戻ってから徐々に郷里を目指すつもりがまた大幅に計画が狂ってしまう。 途中、リールで父とともに喉頭炎を病み、そこにひと月も滞在。 デン・ハークに到着したのは9月末になってしまった。 さらに災難は重なり、まず姉ナンネルが重症のチブスにかかり、一命をとりとめようやく回復したときに今度は弟ヴォルフガングがチフスにかかり重症。 年末から年始にかけてようやく回復。 親子でかわるがわる病気にかかり、旅行が延ばされることになったのである。

動けるようになった一家は1766年1月下旬にいったんデン・ハークを離れ、アムステルダムで演奏会を何度か開いたのち、3月はじめに再びデン・ハークに戻った。 1751年に父ヴィレム4世の地位を継ぎ、1766年3月8日に18歳に達したオランニエ公ヴィレム5世の叙任の式典に参列するためだったと思われる。

このときデン・ハーク宮廷楽長グラーフ(Christian Ernst Graaf, 1723-1804)が作った歌曲を主題に、モーツァルトはこの変奏曲を書いたという。 モーツァルトは、大陸に戻った前年9月に楽長グラーフと知り合ったのだろう。 短調の変奏はない。 アムステルダムのJ.J.フンメルから出版された。 父レオポルトによる初期のモーツァルト作品目録にも記載されている。

余談であるが、モーツァルト一家がオランダを離れたのは4月から5月にかけてのことで、5月10日にパリ到着。 そこでまた2ケ月滞在し、それから帰路につくが、各地で音楽会を開くなどしてザルツブルクに着いたのは11月末のことだった。 この3年半にも及ぶ西方への大旅行で少年モーツァルトが得た音楽上の収穫と名声には計り知れないほど大きなものがあると同時に、父レオポルトにとっても途方もない収益があった。

帰路においても往路と同じように多くのコンサートを一家が行っているが、一家は時の経過とともに有名になり、おそらく一家が手にする謝金の額も増大したと思われる。
要するに、どちらの計算法をとってみても、1766年の終りに至るまでのレオポルト・モーツァルトの得た利益は、12500から16500グルデンあたりということになろうが、それは彼の年俸250グルデンから見れば50年ぶん以上に匹敵し、かつ、年間に500から1000グルデンの収入があれば快適な暮しができた土地にあっては、かなりの財産といえる。
[ソロモン] p.108
ただしこの大旅行を実行するにはかなりの資金を必要とし、家主のハーゲナウアーをはじめとする後援者たちへの返済分を割り引かなければならない。 しかし「差し引いてもなお、その額は巨大なものであったろう」とソロモンは言っている。

〔演奏〕
CD [EMI TOCE-11557] t=5'22
ギーゼキング Wlater Gieseking (p)
1953年8月、ロンドン、No.3 Studio, Abbey Road
CD [PHILIPS PHCP-3673] t=5'50
ヘブラー Ingrid Haebler (p)
1975年11〜12月、アムステルダム、コンセルトヘボウ
CD [SYMPHONIA SY-91703] t=6'13
アルヴィーニ Laura Alvini (hc)
1990年8月、Teatro "A. Ponchielli" di Cremona
※デュルケン(1747)モデルのチェンバロ(1983)で演奏
CD [EMI TOCE-7514-16] t=6'25
バレンボイム Dniel Barenboim (p)
1991年3月、Bavaria Musik Studio
CD [NAXOS 8.550611] t=6'23
ニコロージ Francesco Nicolosi (p)
1991年12月、 the Moyzes Hall of the Slovak Philharmonic in Bratislava

〔参考文献〕

〔動画〕一例

 

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2012/07/01
Mozart con grazia