Mozart con grazia > ピアノ四重奏曲 >
17
age
61
5
62
6
63
7
64
8
65
9
66
10
67
11
68
12
69
13
70
14
71
15
72
16
73
17
74
18
75
19
76
20
77
21
78
22
79
23
80
24
81
25
82
26
83
27
84
28
85
29
86
30

87
31
88
32
89
33
90
34
91
35
92

ピアノ四重奏曲 第2番 変ホ長調 K.493

  1. Allegro 変ホ長調 4/4 ソナタ形式
  2. Larghetto 変イ長調 3/8 ソナタ形式
  3. Allegretto 変ホ長調 2/2 ロンド形式
〔編成〕 p, vn, va, vc
〔作曲〕 1786年6月3日 ウィーン
1786年6月



1234
567891011
12131415161718
19202122232425
2627282930

ピアノと弦楽三重奏のための四重奏曲という極めて珍しいジャンルで、モーツァルトが残した2作目。 1作目ト短調(K.478)は前年1785年の7月(自筆譜では10月)に書き、ホフマイスター社から出版していたが、2作目のこの曲は何らかの事情により、アルタリア社から1787年7月に「作品13」として出版した。 そして惜しいことに、第3曲は作曲されなかった。

完成したばかりのオペラ『フィガロの結婚』(K.492)初演が5月1日、3日に再演、8日に再々演と日を追うごとに人気が上がってきた時期に、この曲が書かれた。 前年からモーツァルトはザルツブルクの父へ手紙をほとんど書かなくなっているので、第1作ト短調(K.478)同様、この曲の目的ははっきりわからない。 また、ホフマイスターに関係する逸話(その根拠は疑わしい)があるため、どうしてもそれを下敷きにして2つの作品を比較しがちである。

ホフマイスターとのいざこざを思いおこして、技巧的にはおそらく少しやさしく作ってはいるが、案出の独創性と新鮮さ、仕上げの巧緻などの点で、決して前作に劣らない傑作である。
[アインシュタイン] p.362
しかしモーツァルトにそのような意識があったかだろうか? まったく性格の異なる複数の曲を生み出すことはモーツァルトにとって当然のことであり、もしかしたら1785年の弦楽四重奏曲集『ハイドン・セット』と同じような連作をピアノ四重奏曲という形で構想していたとしたらどうだろうか? モーツァルトは「次は少しやさしい曲にしよう」とは思わなかっただろう。 弦楽四重奏曲の場合は、売れる売れないは別にして、ハイドンという大家に献呈しようとする大きな動機が原動力となって難しい作品集を完成させることができたが、ピアノ四重奏曲には当面そのような純粋に芸術上の目標がなく、モーツァルトは現実的に考えて、やはり需要が多いピアノ三重奏曲の方へ戻ってしまったのだろう。

アインシュタインは第3楽章のロンドを「天国的な旋律」と評し、次のように続けている。

これはヴァイオリンによって奏しはじめられ、ピアノによっていくらか装飾されて繰り返される、世にも単純で神的なものである。 コンチェルト風なものはすべての楽章において、ちょうど室内楽と調和する程度に、例えばロンドでは、カデンツァの代理をしているピアノのトリルによって、ほのめかされている。 ピアノ・ソナタならば、これをずっと押しすすめるわけである。 このような完璧な傑作を聴く場合、われわれはただ、最高の趣味は最高の『科学』と一致する、というハイドンの言葉を想起するばかりである。

第3楽章にはスケッチ K.493a (Anh.53)が残っているという。

〔演奏〕
CD [UCCD-9140] t=23'19
カーゾン Sir Clifford Curzon (p), アマデウス弦楽四重奏団員 Norbert Brainin (vn), Peter Schidlof (va), Martin Lovett (vc)
1954年9月、ロンドン
CD [AMON RA CD-SAR31] t=33'34
バーネット Richard Burnett (fp, Rosenberger, Vienna c. 1798), ザロモン弦楽四重奏団員 Simon Standage (vn, Mariani, Brescia c. 1650), Trevor Jones (va, Ross 1980 after Stradivari), Jennifer Ward Clarke (vc, Amati, Bologna c. 1730)
1987年4月、イギリス・フィンチコックス
※古楽器使用
CD [EMI CDC 7540082] t=34'17
コラール Jean-Philippe Collard (p), ミュイール四重奏団員 Bayla Keyes (vn), Steven Ansell (va), Michael Reynolds (vc)
1989年11月、パリ
CD [ARCANA A7] t=32'51
パドゥラ・スコダ Paul Badura-Skoda (fp, Schantz, Vienna c. 1790), ケルテス Istvan Kertesz (vn, 18世紀), リゲティ Peter Ligeti (va, Albanus, Bolzano, 1651), ペルトリーニ Reszo Pertorini (vc, 17世紀)
1993年1月、ウィーン
※古楽器使用

〔動画〕

〔参考文献〕


Home K.1- K.100- K.200- K.300- K.400- K.500- K.600- App.K Catalog

2013/07/21
Mozart con grazia