Mozart con grazia > ホルンのための曲 >
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ホルン協奏曲 第4番 変ホ長調 K.495

  1. Allegro moderato 変ホ長調 4/4 ソナタ形式
  2. ロマンス Andante 変ロ長調 3/4
  3. Rondo : Allegro vivace 変ホ長調 6/8 ロンド形式
〔編成〕 hr solo, 2 ob, 2 hr, 2 vn, 2 va, bs
〔作曲〕 1786年6月26日 ウィーン

1786年6月



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自作目録には「ライトゲープのためのヴァルトホルン協奏曲」と名付けている。 ヴァルトホルン Waldhorn とは「森のホルン」という意味であるが、単に動物の角 Horn と区別するための用語で、何か特別なホルンを言うものではないようである。 ロイトゲープは(モーツァルトは「ライトゲープ」と言っていたが)当時54歳で、モーツァルトがウィーンに出てくる4年前の1777年にウィーンに移り住み、チーズ商を営むかたわらホルン奏者としても活動していたようである。 もともとザルツブルク宮廷楽団のホルン奏者であり、旧知の仲として親しく付き合っていたことが残されている手紙からわかる。 モーツァルトはホルンのためのコンチェルトの作曲を求められていたが、この曲は彼のために書いた2作目の協奏曲(1作目は同じ変ホ長調 K.417)にあたる。 アインシュタインは

ホルンのためのコンチェルトは、重要な例外が一つあるが、全く好意によってできた作品である。 モーツァルトはこれらの曲のほとんどすべてを、ザルツブルクのホルン奏者イグナーツ・ライトゲープのために書いた。 この人物はいつもモーツァルトの上機嫌な冗談の的になっていたようである。
[アインシュタイン] pp.386-387
と述べている。 「全く好意によって」ということから、これらの作曲で得た収入はなかったであろう。 アインシュタインはさらにこの曲について次のように述べている。
1783年のコンチェルト(K.417)の複本のようであるが、モーツァルトにあって三年おくれて成立する、ということがつねに招致するように、より高い段階のものである。 これに先だつ年のカンタータ『フリーメイスン会員の喜び』(K.471)と、この曲の第一主題との関係は異様である。 今度はカデンツァの機会があり、中間楽章はロマンツェである。
同書 p.388
前作(K.417)の複本というのは、作品としての構成が似ているだけでなく、この曲でも自筆譜が青、赤、緑、黒のインクで書かれていることである。 より高い段階に達した作品に仕上がっていることからすると、むしろ4色のインクで書き分けられていることの方が前作との大きな共通点であり、それをもって複本(コピー)のようだと評したのであろう。 なぜこのような色とりどりに書いたのかについて、従来はモーツァルト一流の悪ふざけ(ロイトゲープをからかうためのもの)と解釈されてきた。 それは前作(K.417)の自筆譜に「ロバ、牡牛、馬鹿のロイトゲープを憐れむ」と記してあることや、ニ長調の協奏曲(K.412 / 514)で独奏ホルンが演奏する部分には「静かに、ロバ君、勇気を出せ、早く、つづけろ、元気を出せ、頑張れ、畜生、ああ、なんという調子っぱずれだ…」と楽譜に書いてあること、さらに「パート譜を部屋にばらまき、ロイトゲープに拾わせて順序よく並べさせた」という伝記(ヤーン)があることなどから、自然に理解できるものである。 それに対して新全集ではギークリングが、4色で書き分けられたのは単なる悪ふざけではなく、色の使い分けによって作曲者は強弱や表情の細かいニュアンスを伝えようとしたのではないかと言う説を示している。 完全な自筆譜がなく、第1楽章には3種類の異稿があり、また部分的に失われた所があること、また1802年に出版されたものもカットされた所があるなど、謎が多い。 1999年には、野口秀夫がギークリングの説は説明不十分であるとして、論文「伸縮自在なホルン協奏曲 変ホ長調」の中で、
ほぼ楽句単位で色が付けられていることから、楽句単位で演奏を省略してもよいというモーツァルトの意図が示されているのではないかと思っている。
と推測し、実際に自説に沿った演奏の適用を試している。 非常に興味深いことである。

〔演奏〕
CD [EMI TOCE-3042] t=16'11
ブレイン Dennis Brain (hr), カラヤン指揮 Herbert von Karajan (cond), フィルハーモニア管弦楽団 The Philharmonia Orchestra
1953年11月
CD [RVC R30E-1025-8] t=16'29
ヴェスコーヴォ Pierre Del Vescovo (hr), パイヤール指揮 Jean-François Paillard (cond), パイヤール室内管弦楽団 Orchestre de Chambre Jean-François Paillard
演奏年不明
CD [TKCC-30621] t=15'09
ダム Peter Damm (hr), ブロムシュテット指揮 Herbert Blomstedt (cond), シュターツカペレ・ドレスデン Staatskapelle Dresden
1974年3月、ドレスデン・ルカ教会
CD [POCL-5139] t=16'17
タックウェル Barry Tuckwell (hr)指揮, イギリス室内管弦楽団 English Chamber Orchestra
1983年6・7月、ロンドン
CD [PHCP-10597] t=16'37
バウマン Herman Baumann (hr), ズカーマン指揮 Pinchas Zukerman (cond), セントポール室内管弦楽団 St. Paul Chamber Orchestra
1984年10月、ミネソタ
CD [ミュージック東京 NSC166] t=15'50
ハルステッド Anthony Halstead (natural hr), グッドマン指揮 Roy Goodman (cond), ハノーヴァー・バンド The Hanover Band
1987年
CD [PHILIPS 422 509-2] t=15'56
ダム Peter Damm (hr), マリナー指揮 Sir Neville Marriner (cond), アカデミー室内管弦楽団 Academy of St Martin in the Fields
1988年1月
CD [BMG ARTE NOVA BVCC-6012] t=16'01
サンダース Will Sanders (hr), ギーレン指揮 Michael Gielen (cond), 南西ドイツ放送交響楽団 SWF Symphony Orchestra
1990年5月
CD [OLYMPIA OCD 470] t=16'00
Herman Jeurissen (hr), グッドマン指揮 Roy Goodman (cond), オランダ室内管弦楽団 Netherlands Chamber Orchestra
1996年11月、アムステルダム
CD [Grammofon BIS-CD-1008] t=15'27
Christian Lindberg (hornbone), カントロフ指揮 Jean-Jacques Kantorow (cond), タピオラ・シンフォニエッタ Tapiola Sinfonietta
1998年
※カデンツァは Lindberg
CD [BICL 62193] III. t=3'24
近藤研二、松井朝敬(ウクレレ)
2006年、編曲

〔動画〕

〔参考文献〕


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2015/03/29
Mozart con grazia