ヘ短調、４分の２拍子。 シュミット（Klamer Eberhard Karl Schmidt, 1746-1824）の詩。 これにはエッシェンブルク（Johann Joachim Eschenburg）の原詞があり、 それを使って前年にジングシュピール『劇場支配人』（K.486）の第７幕のランゲのアリアを書いている。 全18節の原詩で、最初の15節は有節旋律の繰り返し、感情の高まる第16・17節は旋律を変えて通作的に、 そして最後の第18節ではまた最初の旋律の再現とコーダという三部構成。 アインシュタインは『夕べの想い』（K.523）と「感情と表現の深さを持ち、繊細で抒情的な真情吐露」の点で共通すると高く評価している。

形式は全く異なっているにせよ、類似の深さと美しさを持っている。 これは有節的に構成されているが、第５節からは旋律法、伴奏、表現がますます自由に、豊かになってゆく。 そして当時流行のテクストの涙に充満した感傷性は完全に超克されるのである。

［アインシュタイン］ p.515

■詞（一部）

Die Engel Gottes weinen, Wo Liebende sich trennen, Wie werd' ich leben können, O Mädchen, ohne dich? Ein Fremdling allen Freuden, Leb' ich fort an dem Leiden. Und du? Vielleicht auf ewig Vergißt Luisa mich.

恋する者が離ればなれでいるなら、 天使達だって泣くだろうに、 僕はどうやって生きられよう、 おお、少女よ、お前なしで？ すべての喜びにそっぽをむけて 僕は苦悩の中に生きるばかり。 そしてお前は？ たぶんぼくなんか 永遠に忘れちまうんだろうよ、ルイーザは。 西野茂雄訳 CD[EMI Angel CC30-9018]

■演奏

CD [EMI TOCE-7589] t=5'34 シュワルツコップ Elisabeth Schwarzkopf (S), ギーゼキング Walter Gieseking (p) 1955年４月、ロンドン

CD [EMI 7-63702-2] t=5'34 ※上と同じ

CD [ARCHIV POCA-2066] t=5'11 クレプス Helmut Krebs (T), ノイマイア Fritz Neumeyer (hf) 1956年４月、フライブルク

CD [UCCG 4118] t=5'13 リタ・シュトライヒ (S), エリック・ヴェルバ (p) 1956年５月、ベルリン

CD [EMI Angel CC30-9018] t=4'22 アメリンク Elly Ameling (S), デムス Joerg Demus (p) 1969年12月、ベルリン

CD [DENON 28CO-1864] t=3'04 シュライアー Peter Schreier (T), デムス Joerg Demus (p) 1975年９月、ドレスデン

CD [PHILIPS 422 524-2] t=4'29 アメリンク Elly Ameling (S), ボールドウィン Dalton Baldwin (p) 1977年８月、オランダ

CD [PHILIPS 422 524-2] t=4'29 ※上と同じ

CD [COCO-78062] t=4'58 白井光子 (Ms), ヘル Hartmut Hoell (p) 1985年、86年、ハイデルベルク

CD [WPCC-4666] t=5'03 ボニー Barbara Bonney (S), パーソンズ Geoffrey Parsons (p) 1990年８月、ベルリン

CD[BVCO-37429] t=6'29 ジャーノット (Br), シュマルツ (p) 2005年12月、ヴェルトゼー（ドイツ）

■参考文献

• ［アインシュタイン］
  アルフレート・アインシュタイン 「モーツァルト、その人間と作品」 浅井真男訳、白水社 1997 （復刊）

■動画

[http://www.youtube.com/watch?v=JHBpNc3T7HY] t=5'11 Barbara Bonney (S), Geoffrey Penwill Parsons (p) 演奏年不明

[http://www.youtube.com/watch?v=aOHgneKBS5Y] t=7'51 Alessio Nicolavcich Gioitti (voce), Roberta Baviera (p) 2005

 

2011/08/21