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ディヴェルティメント 第8番 ヘ長調 K.213

  1. Allegro spirituoso ヘ長調 4/4 ソナタ形式
  2. Andante ハ長調 2/4 変則的な三部形式
  3. Menuetto ヘ長調 (トリオは変ロ長調)
  4. Molto allegro ヘ長調 2/4 コントルダンス風のロンド形式
〔編成〕 2 ob, 2 hr, 2 fg
〔作曲〕 1775年7月 ザルツブルク
1775年7月





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この年から1777年までの間に同じ楽器編成(3つの管楽器による六重奏)のディヴェルティメントを6曲(または5曲)書いた。 どれも10分少々の演奏時間。 ザルツブルク大司教のための食卓音楽らしい。 大司教は食後にモーツァルトのフィナール・ムジークの演奏を楽しんでいたらしく、これらのディヴェルティメントもそのような機会のために、工夫を凝らして作った。

1(第8番) ヘ長調K.2134楽章1775年7月
2(第9番) 変ロ長調K.2404楽章1776年1月
3(第12番) 変ホ長調K.252 (240a)4楽章1776年1月から8月
4(第13番) ヘ長調K.2533楽章1776年8月
5(第14番) 変ロ長調K.2704楽章1777年1月
6(第16番) 変ホ長調K.289 (271g)4楽章1777年初夏?

最後の「変ホ長調 K.289 (271g)」を除き、自筆譜が一つにまとめて綴られていることから、1775年7月から1777年1月の間に同じ動機による連作として作曲者自身が意識していたらしい。 そして、最後の「変ホ長調 K.289」は自筆譜が残っていないなどの理由で疑問視されている。

アインシュタインは「それらは純粋の庭園音楽であり、あらゆる意味で無邪気な作品」と評し、また「ザルツブルク用には2本のオーボエ、ホルン、ファゴットで十分なのである」と言い、次のように説明している。

できるかぎり単純なソナタ風の楽曲で、メヌエットには他の舞曲、ロンド形式のコントルダンス、ポロネーズも加えられている。 牧歌的なものとファンファーレのようなホルンの響きとが入りまじっており、三度または六度の、おおかたは対をなす声部進行にもかかわらず、全体の響きと個々の楽器の音に対するきわめて繊細な感情が支配している。 気むずかしい案出もなく緊張もない、形式の遊びである。 リート風でありながら、しかも通俗ではない。
[アインシュタイン] p.281
しかし与えられた状況の中で常に最高のものを作ろうとするのがモーツァルトの特徴であり、ザルツブルクの食卓音楽はこの程度でいいと考えたはずはない。 2本のオーボエ、ホルン、ファゴット、それぞれの奏者の力量に合わせて、様々な形式や手法を操りながら限られた時間内に収まるように書いたのだろう。 そもそも食卓音楽に緊張感を伴う深刻な曲想は不向きであり、そのような制約の下でモーツァルト以外の誰がこれらの作品と同程度のものを作り得るだろうか。
2年前と比べて「モーツァルトはこの編成を扱う完全な名人になった」とエリック・スミスは言い、この連作の最初の曲「ヘ長調 K.213」について次のように解説している。
第1楽章は、きわめて精妙に変化を加えた再現部を伴う、小型のソナタ形式で書かれている。 変則的な3部形式のアンダンテは、古い時代のバレエの清澄さと優美さをそなえている。 メヌエットは非常にハイドン風な気質をもっており、トリオはスウィングするレントラー舞曲である。
[全作品事典] p.304
また、この「ヘ長調 K.213」には晩年の三大交響曲を予見するところがあり、たとえば第2楽章第2部のテーマは後のト短調交響曲(K.550)第4楽章の第2主題に酷似しているとの指摘がある。 さらに、翌年のディヴェルティメント第9番には、ジュピター交響曲(K.551)にも現れる旋律が見られるという。 たいへん興味深いことである。

〔演奏〕
CD [MVCW-19018] t=9'28
ウィーン・フィル木管グループ Vienna Philharmonic Wind Group
1951年、ウィーン、コンツェルトハウス
CD [SONY classical SB2K 60115] t=9'09
ダンツィ五重奏団 Danzi Quitet
1973年7月、ウィーン
CD [ORFEO OCD-2016] t=11'08
ベルリン・フィル管楽アンサンブル Blaeser der Berliner Philharmoniker
1983年1月、ベルリン、イエス・キリスト教会

〔動画〕

〔参考文献〕

 

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2012/09/02
Mozart con grazia