Mozart con grazia > 三重奏曲 >
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5つのディヴェルティメント K3.439b (Anh.229)

〔編成〕 3 basset hr / 2 cl, fg (ジムロック版)
〔作曲〕 1783年(第6版)または 1783〜88年(新全集)、 ウィーン

自筆譜が早い時期に失われ、いつ何のために書かれたのか、詳しいことはわからない。 楽器編成についても、全曲の構成についても、さらには曲のタイトルさえも確実なことは不明である。 この曲の存在については、モーツァルトの死後、1800年5月31日、コンスタンツェがアンドレに失われた「バセットホルン三重奏」の筆写譜を持っていることを伝えていたことが発端である。 そして、3年後の1803年にブライトコップ&ヘルテルからパート譜が出され、それが現存する最初の資料になるが、ただしそれは下記の第2番の一部(第1曲アレグロなし、第5曲は真偽不詳の異稿)で、不完全なものだった。
全曲の出版は1813年、ジムロック(ボン)から「6つのセレナード」とされる。 そのときの楽器編成は「クラリネット2、ファゴット1」で、それに「ホルン2」が追加。 ただし、ホルンのパートは稚拙であるといわれる。
[事典]によれば、「5つのディヴェルティメント」の構成は次の通りである。 かっこ( )内の数字はジムロック版の通し番号。 また、第6番はモーツァルトのオペラから編曲されたものであり、6曲セットの作品構成にするため別人が追加したと思われている。

第1番
  1. (1) Allegro 3/4 ソナタ形式
  2. (2) Menuetto : Allegretto 3/4 トリオは変ホ長調
  3. (3) Adagio 4/4 二部形式
  4. (4) Menuetto 3/4 トリオは変ホ長調
  5. (5) Rondo : Allegro 2/4 ロンド形式
第2番
  1. (6) Allegro 2/4 二部形式
  2. (7) Menuetto 3/4 トリオは変ホ長調
  3. (8) Larghetto 3/4 二部形式
  4. (9) Menuetto 3/4
  5. (10) Rondo : Allegro 2/4 ロンド形式 主題はピアノ協奏曲 K.467 第1楽章副主題と同じ
第3番
  1. (11) Allegro 2/2 ソナタ形式 展開部の後、旧全集では主題再現、新全集ではそれが省略され第2主題再現へ直結
  2. (12) Menuetto 3/4
  3. (13) Adagio 4/4 二部形式とコーダ
  4. (14) Menuetto 3/4 トリオは変ロ短調
  5. (15) Rondo : Allegro assai 2/4 ロンド形式
第4番
  1. (16) Allegro 4/4 ソナタ形式 展開部の後、旧全集では主題再現、新全集ではそれが省略され第2主題再現へ直結
  2. (17) Larghetto 変ホ長調 2/2 二部形式とコーダ
  3. (18) Menuetto 3/4 トリオは変ホ長調
  4. (19) Adagio 4/4 16小節 二部形式
  5. (20) Rondo : Allegretto 変ホ長調 2/4 ロンド形式
第5番
  1. (21) Adagio 4/4 二部形式
  2. (22) Menuetto 3/4
  3. (23) Adagio 2/2 二部形式 16小節
  4. (24) Romance : Andante 2/2 二部形式
  5. (25) Polonaise 変ロ長調 3/4 二部形式
    ※ 収遺集のため調性が異なる。旧全集では(24)と(25)が逆。
第6番 (モーツァルトのオペラからの編曲集)
  1. Rondo : Larghetto - Allegro
  2. Andante
  3. Allegro
  4. Andante - Allegretto
  5. Andante

ケッヘル初版の番号は「K.Anh.229」だった。 その後、1877〜83年の「旧全集」の編纂において、レヴィツキは後世に加えられたと思われる部分を排除して「2つのクラリネットとファゴットのための5つのディヴェルティメント 変ロ長調」とし、1783〜85年の作とした。

アインシュタインは真作とし、第3版(1937年)で「K.439b」 という番号を与えて1783年に位置づけた。 自作目録では1784年2月9日付けの「ピアノ協奏曲第14番変ホ長調」(K.449)から記載されているので、その前の番号としたのだった。

その後1962年にイギリスのフィーウェルは、旧全集の「クラリネット2、ファゴット1、変ロ長調」とするこれら5つの三重奏曲の正しい形は「3本のバセット・ホルン、ヘ長調」だという説を発表し、それが新全集(1991年)に採用された。 フロトホイスは次のように言っている。

自分の夫が書いたいくつかのバセット・ホルン三重奏曲が存在するとコンスタンツェが信じたのはまったく正しかったということ、そしてそれらがジムロック版の曲にほかならないということをさし示す証拠がある。 1つは、最低声部をファゴットよりもバセット・ホルンで演奏したほうがよく響くという点である。 もう1つの証拠は、声部の相互間の関係である。 すなわち、2本のクラリネットとファゴット用の稿では、上2声とバスの間の音域が、しばしばあまりにも離れすぎているということである。 (バセット・ホルン用に復元された稿は、楽譜がヘ長調で書かれているが、復元前と同じ5度下の変ロ長調で響く。)
[全作品事典] p.312
また成立時期については、フロトホイスにより 1783〜88年とされた。 さらに、モーツァルトが5楽章の構成を意図した根拠がないので、上記( )内の番号づけによる 25曲の小品集と見ている。

古くから様々な組合せによる演奏が行われ、楽章の構成や調性も違う。 弦楽三重奏曲とした版(K.Anh.229a)や、レーベルクによるピアノ曲版もある。

作曲の動機は、ジャカン家に集まった仲間(クラリネット奏者シュタドラー兄弟など)と演奏するためと推測されている。

〔演奏〕 <3つのバセットホルンの三重奏>
CD [EMI CMS 7 63810 2] No.1 t=15'03, No.2 t=16'14, No.3 t=19'17, No.4 t=11'18, No.5 t=11'45, No.6 t=13'29
トリオ・ディ・クラローネ Trio di Clarone : Sabine Meyer, Reiner Wehle, Wolfgang Meyer
1986年
※ザビーネ・マイヤー、ヴォルフガング・マイヤー、ライナー・ヴェーレの3人が1983年に木管アンサンブル「トリオ・ディ・クラローネ」を組むことになったのは、このディヴェルティメントをオリジナルの編成で、この曲にふさわしい小さな会場で演奏したいためだった。
CD [EMI CC33-3640] No.2, 4, 5
トリオ・ディ・クラローネ(ザビーネ・マイヤー、ヴォルフガング・マイヤー、ライナー・ヴェーレ)
※上と同じ
CD [PHCP-5306] No.2 t=17'05, No.4 t=13'48
シュタットラー・トリオ Stadler Trio : Eric Hoeprich, Carles Riera, Alf Hörberg
1988年6月
CD [GLOSSA GCD 920602] No.1 t=16'15, No.3 t=23'28, No.5 t=11'19
シュタットラー・トリオ Stadler Trio
1996年4月

〔演奏〕 <2つのクラリネットとファゴットの三重奏>
CD [MVCW-19014] No.1 t=15'27, No.2 t=12'02, No.3 t=12'03, No.4 t=12'53, No.5 t=8'24
ウラッハ Leopold Wlach (cl), バルトシェック Franz Bartosek (cl), エールベルガー Karl Öhlberger (fg)
1949 & 53年
CD [ポリドール POCG-2420〜1] No.1 t=16'00, No.2 t=18'22, No.3 t=23'51, No.4 t=15'24, No.5 t=12'15
プリンツ Alfred Prinz (cl), シュミードル Peter Schmidl (cl), ツェーマン Dietmar Zeman (fg)
1978-79年
CD [ORFEO C218-911A] No.2 t=19'12, No.4 t=15'03
ライスター Karl Leister (cl), ザイファルト Walter Seyfarth (cl), ガイスラー Peter Geisler (bs-hr)
1990年
CD [SUPRAPHON 11 2195-2 131] No.2 t=15'15
ノヴァク・トリオ Novak Trio : Gabriela Krckova (ob), Stepan Koutnik (cl), Vladimir Lejcko (fg)
1993年5月、プラハ

〔演奏〕 <ウィーン・ソナチネ集>

1805年ウィーンのアルタリアから「フォルテピアノのためのソナチネ集」として出版された。 その後いくつかの版が出ているが、下の CD の録音はアルタリア初版をもとに Alec Rowley がまとめた Peters版が用いられている。 名称「ウィーン・ソナチネ」の由来は、1931年にマインツで出版された Schott版「Die Wiener Sonatinen - Original piano edition」であるといわれる。 (Yvon Bec の解説から)

CD [PAVANE RECORDS ADW 7060-2] No.1 t=11'45, No.2 t=8'41, No.3 t=7'06, No.4 t=7'42, No.5 t=8'32, No.6 t=13'06
カツァリス Cyprien Katsaris (p)
1990年 (世界初録音)

〔演奏〕 <その他>
CD [EMI CDC 7 54102 2] No.2 t=17'29
ウィルソン Ransom Wilson (fl), バルエコ Manuel Barrueco (g)
1988年
※Frederic Hand編曲
CD [CBS SONY CSCR-8216] No.1 t=9'31, No.2-1 No.4-2 No.2-3 No.4-5. t=10'33, No.3-1 No.2-3 No.5-5. t=8'05
ランパル Jean-Pierre Rampal (fl), スターン Isaac Stern (vn), ロストロポーヴィチ Mstislav Rostropovich (vc)
1989年4月、パリ
※各曲の調性や楽章を変えて編曲し、共演したいという3人の奏者の望みが実現。変則的な3声部から魅力的なアンサンブルが生まれた。
CD [MDG 301-0496-2] No.1 t=20'29
コンソルティウム・クラシクム Consortium Classicum
1995年2月
※クラリネット2、ホルン2、ファゴット2の六重奏曲(コントラバス任意)

〔動画〕

ウィーン・ソナチネ集

〔参考文献〕

 

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2018/02/04
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