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アリア「わが愛しき妻クラリーチェ」 K.256

〔編成〕 3 T, 2 ob, 2 hr, 2 vn, va, vc, bs
〔作曲〕 1776年9月 ザルツブルク
1776年9月






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ザルツブルクで上演されたかもしれないオペラ、ペトロセリーニ(Giuseppe Petrosellini)の台本にピッチーニ(Niccolo Piccinni, 1728-1800)が曲をつけたブッファ「うかつな男あるいは幸運な賭博師 L'Astratto ovvero Il giocatore fortunato」の第2幕第20場への挿入曲で、モーツァルトがテノール歌手パルミーニ(Antonio Palmini)のために作曲した。 ただし曲の詞は原作のものでなく、作詞者は不明。 同じ場面に別のアリア(K.210)も前年に作曲している。

向こう見ずなカピターノ(隊長)ファッチェンダが医者に変装し、テスタ・セッカ博士と名乗って、裕福な地主ドン・ティモテオの注意を引き付けようとしゃべりまくる。 隊長が学識にものを言わせてドン・ティモテオの娘クラリーチェを妻にしようとしゃべりまくるので、ドン・ティモテオがそれを何とかとめようと二言三言つぶやくが、その勢いをとめることができない。 アインシュタインは次のように解説している。

1776年の秋のアリア、むしろ劇唱『クラリーチェ、わがいとしい妻』によって、モーツァルトはオペラ・ブッファにのみならず、即席茶番狂言にも歩みよっている。 それはピッチーニの『うかつ者、またの名、運のいい賭博者』のための挿入曲、もしくは補充曲である。 そのシテュエーションはおよそ次のようなものである。 カピターノ・ファッチェンダ(南ドイツ方言の《おせっかい屋》に当る)は未来の妻クラリーチェが持つにちがいない美点を、途方もない能弁で述べたてるが、一方のクラリーチェの父親、ドン・ティモテオはこの言葉の奔流をせきとめようと、無益な試みをあれこれとする。 そこに現れるのは即興喜劇のおきまりの二人物であるが、モーツァルトは彼らにさらに深い性格づけを与えようとはせずに、単なるクレッシェンドで満足する。 このクレッシェンドは、ロッシーニの『セヴィリャの理髪師』におけるバジリオの『中傷のアリア』と同じほどに、『フィガロの結婚』におけるドン・バルトロのアリアを思わせる。 滑稽な効果は圧倒的である。
[アインシュタイン] pp.489-490

なお、ペトロセリーニは、モーツァルトが1774年9月から75年1月にかけて作曲したオペラ・ブッファ『偽の女庭師』(K.196)の作詞者である(新全集)。 さらに、ペトロセリーニは『セヴィリャの理髪師』の台本も書いていて、それに当時有名なオペラ作家パイジェッロ(Giovanni Paisiello, 1740-1816)が曲をつけて、1782年に初演されている。 余談になるが、モーツァルトの父レオポルトはそのパイジェッロの「セヴィリャの理髪師」を1787年2月(死の直前)にミュンヘンで聴いている。

〔歌詞〕
   (Capitano) (隊長)
   Clarice cara
mia sposa dev'essere
per la magnetica
virtu simpatica,
voglio convincermi
colla grammatica,
colla retorica,
logica e fisica,
la matematica
non puo fallar.
  愛しのクラーリチェは
わが妻にならねばならぬ、
魅力的で愛嬌ある
美徳の故に。
文法と修辞学と
論理学と物理学と
数学の力を借りて、
その実現を確かなものにしよう。
そうすれば失敗するはずがない。
   (Don Timoteo) (ドン・ティモテオ)
   Piano per carita...  お願いですからお静かに・・・
      鈴木英夫訳 CD[VJCC-2309]

〔演奏〕
CD [VJCC-2309] t=1'44
プレガーディエン Christoph Pregardien (T), クイケン指揮 Sigiswald Kuijken (cond), ラ・プティット・バンド La Petite Bande
1988年3月、オランダ、ハールレム
CD [Brilliant Classics 93408/3] t=1'46
Marcel Reijans (T), European Chamber Orchestra, Wilhelm Keitel (cond)
2002年6月、ドイツ、バイロイト劇場

〔動画〕

〔参考文献〕


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2015/08/02
Mozart con grazia