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アリア

Arias

1778年2月28日、マンハイムのモーツァルトからザルツブルクの父への手紙

きのう、ラーフのところへ行き、ぼくが最近彼のために書き上げたアリアを一曲届けました。 ぼくはこの曲が彼に合っているのか、それとも気に入らないのか、率直に言ってほしい、彼の望むようにアリアを換えてもいいし、また別の曲を作ってもいい、と彼に言いました。
「とんでもない」と彼は言いました。 「実に美しいから、このアリアはこのままにしておくべきです。 ただ、少し短くしてもらえませんか、いまはもう声を持続することがむつかしいので。」
「よろこんで、あなたのお望み通りにしましょう。 ぼくはわざわざ長目に作ったんです。 縮めるのはいつだってできますが、つけ加えるのは容易じゃありませんからね」とぼくは答えました。
ほかの部分を歌ったあと、彼は眼鏡をはずし、大きな目をむいてぼくを見つめ、こう言いました。 「みごと、みごと! こりゃすばらしい第二部だ。」
そして彼は三回それを歌いました。 ぼくが立ち去るとき、彼はとても丁重に礼を言いました。
そこでぼくのほうから、彼がよろこんで歌えるようにアリアを直しましょうと請け合いました。 なぜって、ぼくは、よく仕上がった服のように、アリアが歌い手にぴったりと合うのが好きですからね。
[書簡全集 III] pp.562-563
~ ~ ~ ~ ~ ~

K.21 (K6.19c) アリア「行け、怒りにかられて」
Aria for tenor "Va, dal furor portata."
〔作曲〕 1765年 ロンドン
テキストはメタスタージョ。 テノール歌手チプランディにのために?

K.23 アリア「誠実に身を守れ」
Aria for soprano "Conservati fedele"
〔作曲〕 1765年10月、66年1月加筆 ハーグ
1765年ハーグで作られ、翌66年1月にナッソーヴァイルブルク侯妃のために書き直された。

K.36 (K3.33i) レチタティーヴォ「いまや義務のとき」 アリア「(ジギスムントの功績は)これこのように」
Recitative and aria (licenza) for tenor "Or che il dover" and "Tali e cotanti sono"
〔作曲〕 1766年12月21日 ザルツブルク
作詞者不明。 大司教ジークムント・フォン・シュラッテンバッハの叙階式記念のためのリチェンツァ。

K.70 (K6.61c) レチタティーヴォ「ベレニーチェに」 アリア「昇る太陽」
Recitative and aria (licenza) for soprano "A Berenice" and "Sol nascente"
〔作曲〕 1769年か67年 ザルツブルク
ザルツブルク大司教フォン・シュラッテンバッハのためのリチェンツァ(表敬用アリア)。

K.71 アリア「ああ、もはや慄えまじ」(断片)
Aria for tenor "Ah, più tremar non voglio." (fragment)
〔作曲〕 1769年終か70年初 ザルツブルクかイタリア
メタスタージョ詞『デモフォンテ』第1幕から。 作曲の目的は不明。 詳細→[事典](p.158)
〔動画〕
♦ [https://www.youtube.com/watch?v=nQ1whB1cgp4 ] t=1'32
 Unknown tenor, Radio-Sinfonieorchester Wien, Bertrand de Billy

K.deest アリア「いとしい人よ、もし私の苦しみが」
Aria for soprano "Cara, se le mie pene"
〔作曲〕 1769年? ザルツブルク
作詞者や作曲の目的は不明。 1960年代にプラートにより発見。

K.Anh.2 (K6.73A) アリア「不幸なのはあなたではありません」(紛失)
Aria "Misero tu non sei" from Pietro Metastasio's "Demetrio"
1770年1月
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〔作曲〕 1770年1月26日 ミラノ
メタスタージオのオペラ『デメートリオ Demetrio』から。 この曲は残っていない。 旅先のミラノからザルツブルクにいる姉へ宛てた次の手紙の中にあるのみである。

1770年1月26日、ミラノ
ちょうどこの手紙を書き始める前に、ぼくは「デメートリオ」のアーリアを1つ書き終ったところです。
マントヴァでのオペラは、よかった。 「デメートリオ」が上演されたのです。 プリーマ・ドンナは歌はうまいが、声が低い。 演技を見ずに歌だけを聴いていると、歌っていないのかと思うくらいです。 口を開くことができず、ただめそめそ泣いているみたいで、そんなのを聴いても、さっぱり目新しくは思われません。 セコンダ・ドンナはまるで擲弾兵みたいに堂々としていて、声もよく、初めて演ずるにしては、歌もほんとにわるくはありません。 プリモ・ウオーモの音楽家は、歌はきれいだが、声にむらがある。 カセッリという人です。 セコンド・ウオーモはもう年寄りで、ぼくの好みではありません。 テノールはオッティーニという人で、歌はまずくないが、イタリアのテノールがみなそうであるように、重っくるしい。 そしてぼくらにとっては、とてもいい友だちです。
[手紙(上)] pp.8-9

K.143 (K6.73a) レチタティーヴォ「故に問題は」 アリア「天上を求めて」
Recitative and aria for soprano "Ergo interest" and "Quaere superna"
〔作曲〕 1770年2月 ミラノ、または1773年末

K.78 (K6.73b) アリア「願わくは、いとしい人よ」
Aria for soprano "Per pietà, bell'idol mio."
〔作曲〕 1770年2月か3月 ミラノ
メタスタージオ詞『アルタセルセ』から。

K.88 (K6.73c) アリア「あまたの苦難に会いて」
Aria for soprano "Fra cento affanni"
〔作曲〕 1770年2月か3月 ミラノ
メタスタージオ詞『アルタセルセ』から。

K6.73D アリア「この父の抱擁ゆえに」
メタスタージョ詞によるアリア「この父の抱擁ゆえに Per quel paterno amplesso」 K.79(K.73d)の初稿。 断片3小節。

K.79 (K6.73d) レチタティーヴォ「おお、大胆なアルバーチェよ」 アリア「この父の抱擁ゆえに」
Scena (Recitative and aria) for soprano "Oh, temerario Arbace!" and "Per quel paterno amplesso"
〔作曲〕 1770年2月か3月 ミラノ
メタスタージオ詞『アルタセルセ』から。

K.77 (K6.73e) レチタティーヴォ「哀れなる私」 アリア「哀れ幼な子よ」
Recitative and aria for soprano "Misero me" and "Misero pargoletto"
〔作曲〕 1770年3月初 ミラノ
メタスタージオ詞『デモフォンテ』から。

K.82 (K6.73o) アリア「もし勇気と希望が」
Aria for soprano "Se ardire, e speranza."
〔作曲〕 1770年4月25日 ローマ
メタスタージォ詞『デモフォンテ』から。 死刑に処せられる恋人のために天に祈るティマンテの歌。

K.83 (K6.73p) アリア「もしわが悩みのすべてを」
Aria for soprano "Se tutti i mali miei"
〔作曲〕 1770年4月か5月初 ローマ
メタスタージォ詞『デモフォンテ』から。

K3.74b アリア「私は小心な恋人の愛など気にかけない」
Aria for soprano "Non curo l'affettlo"
〔作曲〕 1771年1月か2月 ミラノかパヴィア
メタスタージォ詞『デモフォンテ』から。

K.209 アリア「運命は恋する者に」
Aria for tenor "Si mostra la sorte"
〔作曲〕 1775年5月19日 ザルツブルク
ザルツブルクで上演されたオペラ・ブッファ(ペトロセリーニ詞、ピッチーニ曲による『幸運な賭博師』か?)に挿入するために。

K6.209a アリア「冷たく痛む歯の」(断片)
Aria for bass "Un dente guasto e gelato" (fragment)
〔編成〕 B, hr, vn, hr, bs
〔作曲〕 1775年頃 ザルツブルク
断片 16小節。 ゴルドーニ詞によるドメニコ・フィスキエッティ作『マルマンティーレの市 Il mercato di Malmantile』への挿入アリアか? 虫歯が痛むと訴える歌。
〔動画〕
♦ [https://www.youtube.com/watch?v=NVW8lezSe0k ] t=0'43
 Webern Kammerchorのバス歌手, Radio-Sinfonieorchester Wien, Bertrand de Billy

K.210 アリア「尊み崇めて」
Aria for tenor "Con ossequio, con rispetto"
〔作曲〕 1775年5月 ザルツブルク
作詞者不明。 強い者に平身低頭しながら、内心は馬鹿にして茶化している。

K.217 アリア「あなたは今は忠実ね」
Aria for soprano "Voi avete un cor fedele"
〔作曲〕 1775年10月26日 ザルツブルク
ゴルドーニの台本によるガルッピ (1706-85) のオペラ・ブッファ「ドリーナの結婚」第1幕第4場でヒロインのドリーナが求婚者をあしらう歌。

K.255 レチタティーヴォ「幸福の蔭」 ロンド風アリア「私は汝を残し行く」
Recitative and aria (rondo) for alto "Ombra felice" and "Io ti lascio, e questo addio."
〔作曲〕 1776年9月 ザルツブルク
バイエルン宮廷のカストラート歌手フランチェスコ・フォルチーニのために。 唯一のアルトのための曲。

K.256 アリア「わが愛しき妻クラリーチェ」
Aria for tenor "Clarice cara mia sposa"
〔作曲〕 1776年9月 ザルツブルク
テノール歌手パルミーニに。 ザルツブルクで上演されたオペラ(ペトロセリーニ台本、ピッチーニ曲)への挿入曲。

K.272 レチタティーヴォ「ああ、私はそれを知っていた」 アリア「ああ、私の眼の前から去って」
Recitative and aria for soprano "Ah, lo previdi!" and "Ah, t'invola agl'occhi miei."
〔作曲〕 1777年8月 ザルツブルク
プラハからザルツブルクに訪問していたヨゼファ・ドゥシェク夫人に。 パイジェルロ(1740-1816)のオペラ『アンドロメダ』のためのチーニャ・サンティによる詞から。

K.294 レチタティーヴォ「アルカンドロよ、私はそれを告白する」 アリア「どこからこの愛情が来るのか」
Recitative and aria for soprano "Arcandro, lo confesso." and "Non so d'onde viene."
〔作曲〕 1778年2月24日 マンハイム
メタスタージォの名作『オリンピアーデ』から。 アロイジアのために。 演奏会用アリアで初めてクラリネットを使用。

K.295 レチタティーヴォ「わが唇に信なくば」 アリア「悲しむ心」
Recitative and aria for tenor "Se al labbro mio non credi" and "Il cor dolente"
〔作曲〕 1778年2月27日 マンハイム
前曲K.294をアロイジアに回してしまったので、その代わりにこの曲をアントン・ラーフのために作った。

K6.295a レチタティーヴォ「もはや、あなたの勝よ」 アリア「ああ、私を見棄てないで」
Recitative and aria for soprano "Basta, vincesti." and "Ah, non lasciarmi."
〔作曲〕 1778年2月27日 マンハイム
メタスタージォ詞『すてられたディドーネ』から。 ドロテーア・ヴェンドリング夫人のために。

K.316 (K6.300b) レチタティーヴォ「テッサリアの人々よ」 アリア「不滅の神々よ、私は求めず」
Recitative and aria for soprano "Popoli di Tessaglia." and "Io non chiedo, eterni Dei."
〔作曲〕 1778年7月 パリ 〜 1779年1月8日 ミュンヘン
カルツァビージがグルックのオペラ・セリア『アルチェステ Alceste』のために書いた詩。 アロイジアに。

1778年8月





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K.Anh.3 (K6.315b) シェーナ(紛失)
Scena for a castrato Giusto Ferdinando Tenducci
〔編成〕 p, ob, hr, fg, 2 cl, 2 hr
〔作曲〕 1778年8月末 サン・ジェルマン・アン・レー
カストラート歌手テンドウッチ(Giustino Ferdinando Tenducci, 1736頃~1790)のために。 1778年8月27日の父への手紙にある。

急がなくてはなりません。 テンドゥッチのため、日曜日までに劇唱(シェーナ)を一曲書くからです。 ピアノ・フォルテとオーボエとホルンとファゴットのためで、奏者はまったく公爵邸のひとたち、演奏の非常にうまいドイツ人たちです。
[書簡全集 IV] p.247
楽器編成については、この曲がロンドンで印刷されたことを紹介する歴史家バーニー(Charles Burney, 1726~1814)の記述による。 楽譜は行方不明。

K.Anh.11a (K6.365a) レチタティーヴォ「おお愛よ、なぜそんな恐ろしい冗談を言うのか」 アリア「おののけ、愚かな心よ、そして苦しめ!」
Recitative and aria "Warum, o Liebe, treibst du jenen grausamen Kurzweil." and "Zittre, töricht Herz und leide!"
〔作曲〕 1780年11月 ミュンヘン
紛失。 モーツァルトがミュンヘンに滞在中、1780年11月22日付けの父への手紙に「やっといま、ずっと前から約束していたシカネーダーさんのためのアリアができました」と書き、さらに11月24日の手紙で「ところでシカネーダー氏のためのアリアは、受け取ったでしょうね」と念を押している曲である。 ザルツブルクで興業中のシカネーダーのために作曲を約束していたもので、カルロ・ゴッツィ(Carlo Gozzi)原作、ヴェルテス(August Werthes)の『眠れない二夜、別名、騙されて幸せ』に挿入するドイツ語訳アリア。 シカネーダーはモーツァルト家の3人に観劇のフリーパスを提供するほど親しかった。 姉ナンネルは12月1日の上演を観たという。
野口秀夫氏による研究報告「最近発見されたモーツァルトのアリア K.365a (Anh.11a)の自筆譜資料」(1997)がネット上にあったが、現在は見ることができない。

K.368 レチタティーヴォ「されど、おお星々よ、彼汝らに何をなかせし」 アリア「岸辺近く願いぬ」
Recitative and aria for soprano "Ma che vi fece o stelle." and "Sperai vicino al lido."
〔作曲〕 1781年1月 ミュンヘン
メタスタージオの『デモフォオンテ』から。

K.369 レチタティーヴォ「不幸なこの私はどこにいるの?」 アリア「ああ、語っているのは私ではない」
Scena (Recitative and aria) for soprano "Misera, dove son?" and "Ah, non son'io che parlo."
〔作曲〕 1781年3月8日 ミュンヘン
メタスタージオの悲劇『エツィオ』から。 パウムガルテン伯未亡人のために。

K.374 レチタティーヴォ「この胸に、ああ、いとしい人よ来て」 アリア「天が私にあなたを返して下さるとき」
Recitative and aria for soprano "A questo seno deh vieni." and "Or che il cielo a me ti rende."
〔作曲〕 1781年4月 ウィーン
パイジェルロの『蒙古のシスマノ』から。 カストラートのチェッカレルリに。

K.119 (382h) アリア「すばらしい愛の気持ちは」
Aria for soprano "Der Liebe himmlisches Gefühl"
〔作曲〕 1782年? ウィーン
クラヴィア版のみ現存。

K.383 アリア「わが感謝を受けたまえ、やさしい保護者よ」
Aria for soprano "Nehmt meinen Dank, ihr holden Gönner!"
〔作曲〕 1782年4月10日 ウィーン
アロイジア・ランゲ夫人に。 作者詞不詳。

K.440 (K6.383h) アリア「あなたに望むは、おおわが夫よ」(断片)
Aria for soprano "In te spero, o sposo amato" with bass. (fragment)
〔作曲〕 1782年春 ウィーン
メタスタージオ詞『デモフォンテ』第1幕第2場から。 モーツァルトの死後、コンスタンツェが出版社に送った手紙に曲名「愛しい花嫁のために」が書かれてあったことから、婚約時の1782年春頃コンスタンツェのために作曲されたと推測されている。 自筆譜はワシントン国会図書館蔵という。
〔歌詞〕  In te spero, oh sposo amato
fido a te la sorte mia
e per te, qualunque sia
sempre cara a me sarà.
Pur che a me nel morir mio
il piacer non sia negato
di vantar che tua son io,
il morir mi piacerà.
〔動画〕
♦ [https://www.youtube.com/watch?v=aaMaDC9rcco ] t=7'05
 Eva Lind (S), Dresdner Philharmonie, Jörg-Peter Weigle

K.389 (K6.384A) 二重唱「なんたる恐ろしき戦慄」(未完)
Duet for 2 tenors "Welch ängstliches Beben." (fragment)
〔作曲〕 1782年4月か5月 ウィーン
シュテファニー詞? 『後宮からの逃走』でベルモンテとペドリロの二重唱として書いたが、スケッチとピアノ伴奏のみの未完成。

K.416 レチターティーヴォ「わが憧れの希望よ」 ロンド「ああ、あなたはいかなる苦しみか知らない」
Recitative and Rondo for soprano "Mia speranza adorata." and "Ah, non sai qual pena."
〔作曲〕 1783年1月8〜11日 ウィーン
ガエターノ・セルトール詞。 アロイジア・ランゲ夫人に。

K.435 (K6.416b) アリア「千匹の竜の中をも我は行かん」(未完)
Aria for tenor "Müsst'ich auch durch tausend Drachen."
〔作曲〕 1783年 ウィーン
次の曲と同様、未完のオペラのためらしい。

K.433 (K6.416c) アリア「殿方はいつもつまみ食いをしたがる」(未完)
Aria for a bass voice "Männer suchen stets zu naschen."
〔作曲〕 1783年 ウィーン
ゴルドーニの『召使一人に主人が二人』をジングシュピールにする中で使われるはずだった?

K.178 (K6.417e) アリア「ああ、明したまえ、おお神よ」
Aria for soprano "Ah, spiegarti, o Dio." with piano
〔作曲〕 1783年6月 ウィーン
クラヴィア版のみ現存。

K.418 アリア「あなたに明かしたい、おお神よ」
Aria for soprano "Vorrei spiegarvi, oh Dio." and "Ah, conte, partite"
〔作曲〕 1783年6月20日 ウィーン
アンフォッシのオペラ『軽はずみな変り者』のクロリンダ役のアロイジアのために。

K.419 アリア「いいえ、あなたにはできません」
Aria for soprano "No, no, che non sei capace."
〔作曲〕 1783年6月 ウィーン
アンフォッシのオペラ『軽はずみな変り者』のために。

K.420 アリア「願わくは問いたもうな」
Aria for tenor "Per pietà, non ricercate."
〔作曲〕 1783年6月21日 ウィーン
アンフォッシ(1727-97)のオペラ『軽はずみな変り者』のために。 アダムベルガーのためのロンド風アリア。

K.432 (K6.421a) レチタティーヴォ「かくて汝は裏切りぬ」 アリア「激しく堪えがたき苛責」
Recitative and aria for bass "Cosi dunque tradisci." and "Aspri rimorsi atroci."
〔作曲〕 1783年 ウィーン
メタスタージオ詞『テミストクレ』から。

K.431 (K6.425b) レチターティーヴォ「あわれ、おお夢よ!」 アリア「息吹くそよ風」
Recitative and aria for tenor "Misero! o sogno!" and "Aura, che intorno spiri."
〔作曲〕 1783年12月? ウィーン
作詞者は不明。 オペラ・セリア「墓場の場面」での歌らしい。

K.479 四重唱「せめて言っておくれ、どんな過ちをしたのか」
Quartet "Dite almeno, in che mancai." for soprano, tenor, 2 bass
〔作曲〕 1785年11月5日 ウィーン
ジョヴァンニ・ベルターティ詞。 ビアンキのオペラ『奪われた田舎娘』のために。

K.480 三重唱「いとしのマンディーナ」
Trio (Terzett) "Mandina amabile" for soprano, tenor, bass
〔作曲〕 1785年11月21日 ウィーン
ビアンキのオペラ『奪われた田舎娘』のために。 四重唱K.479の前に歌われる曲。

K.434 (K6.480b) 三重唱「アマゾンの大王国」(未完)
Trio (Terzett) for tenor and 2 bass voices "Del gran regno delle Amazoni" (fragment)
〔編成〕 T, 2 B, 2 ob, 2 fg, 2 hr, 2 vn, va, bs
〔作曲〕 1785年末? ウィーン
未完 106小節。 ペトゥロセリーニ詞、アコリンボーニ作の上記オペラがはやっていたので、モーツァルトも作曲しようとしたらしいが、『フィガロ』の方へ傾いて行った。 ただしそのオペラがウィーンで上演された記録はないという。 楽譜はスケッチのみで、オーケストレーションもなされていない。
〔動画〕
♦ [https://www.youtube.com/watch?v=M0Gz8JU6t0k ] t=4'25
 演奏者不明

K.489 二重唱「私には言えません」
Duet for soprano and tenor "Spiegarti non poss'lo."
〔作曲〕 1786年3月10日 ウィーン
ヴァレスコ詞。 『イドメネオ』第2幕第20曲の差替え。

K.490 劇唱「もういいの、私は全てを聞いた」 ロンド「恐れないで、愛する人よ」
Scena and rondo for tenor "Non più. Tutto ascoltai." and "Non temer, amato bene." with solo violin
〔作曲〕 1786年3月10日 ウィーン
ヴァレスコ詞。 『イドメネオ』第2幕第10曲の差替え。

K.505 レチタティーヴォ「どうしてあなたを忘れられようか」 ロンド「恐れないで、愛する人よ」
Scena and rondo for soprano "Ch'io miscordi di te." and "Non temer, amato bene." with violin ad lib.
〔作曲〕 1786年12月27日 ウィーン
テキストはヴァレスコ詞で、『イドメネオ』から。 ナンシー・ストレース嬢に送った恋文といわれる。

K.512 レチタティーヴォ「アルカンドロよ、私はそれを打ち明ける」 アリア「どこから来るのか私は知らない」
Recitative and Aria for bass "Alcandro, lo confesso." and "Non so d'onde viene."
〔作曲〕 1787年3月18日 ウィーン
メタスタージォ詞『オリンピアデ』から。 ルドウィヒ・フィッシャーに。

K.513 アリア「おお、娘よ、お前と別れる今」
Aria for bass "Mentre ti lascio, o figlia."
〔作曲〕 1787年3月23日 ウィーン
サンタニョリ・モルビルリの『ダリオの敗北』から。 フォン・ジャカンのために。

K.528 劇唱「わが美しき恋人よ、さようなら」 アリア「とどまって下さい、いとしい人よ」
Scena and aria for soprano "Bella mia fiamma, addio!" and "Resta, oh cara."
〔作曲〕 1787年11月3日 プラハ
サルコーネの『なだめられたチェレーレ』から。 ドゥーシェク夫人に。

K.532 三重唱「君が偽りのおかげで」(断片)
Trio (Terzett) for soprano, tenor and bass voice "Grazie agl'inganni tuoi."
〔編成〕 S, T, B, fl, 2 cl, 2 hr, 2 fg, bs
〔作曲〕 1787年 ウィーン
メタスタージォ『ニーチェからの解放』から。 スケッチ断片 26小節の自筆譜2ページが残るが、歌詞は付けられていないという。 曲名の訳は[事典]では「おまえの手管のおかげで」。
〔動画〕
♦ [https://www.youtube.com/watch?v=wuUwdlSI4tw ] t=1'40
 演奏者不明
♦ [https://www.youtube.com/watch?v=EIhoUlrqkek ] t=1'46
 Likia Kostruba (S), Nazar Tatsishin (T), Bolodimir Ribchuk (Br), Miroslav Dragan (fp)
♦ [https://www.youtube.com/watch?v=aEAVhDOVgWk ] t=2'29
 Donatella Cafferata (S), Federico Elicetche (T), Alejo Slucki (B), Demián Apicella (p), 2015
♦ [https://www.youtube.com/watch?v=YplY4bvWKc0 ] t=1"24
 ピアノ編曲版

K6.537d アリア「われは汝に従わん」
Aria for tenor "Ich folge dir, Verklarter Held." by C.Ph.E. Bach
〔作曲〕 1788年2月26日前 ウィーン
エマヌエル・バッハのオラトリオ『イエズスの復活と昇天 Auferstehung und Himmelfahrt Jesu』から。 2月26日と3月4日にエステルハージ伯爵邸とブルク劇場で、モーツァルトがこのオラトリオを指揮したとき、テノールのアダムベルガーのために、第11曲アリア「われ、汝に従わん、変容せし英雄よ」を編曲(トランペット用のパートをフルート、オーボエ、トランペット用に)したものという。
〔動画〕
♦ [https://www.youtube.com/watch?v=HZpYp7r4G74 ] t=6'38
 演奏者不明

K.538 アリア「ああ、情け深い星たちよ、もし天にいて」
Aria for soprano "Ah, se in ciel, benigne stelle."
〔作曲〕 1788年3月4日 ウィーン
メタスタージォ『中国の英雄』から。 アロイジアのために。

K.539 ドイツ軍歌「われはカイザーたらん」
German military song "Ich möchte wohl der Kaiser sein."
〔作曲〕 1788年3月5日 ウィーン
グライム詞。 俳優バウマンのために。

K6.540a  アリア「私の安らぎは彼女にかかって」
Aria of Don Ottavio "Dalla sua pace la mia dipende"
『ドン・ジョヴァンニ』の追加アリア。

K6.540b 二重唱「この小さな手に免じて」
Duet of Zerlina and Leporello "Per queste tue manine"
『ドン・ジョヴァンニ』の追加アリア。

K6.540c レチタティーヴォ「何というひどいことを」 アリア「あの恩知らずが私を裏切った」
Recitative and aria of Donna Elvira "In quali eccessi" and "Mi tradi quell'alma ingrata"
『ドン・ジョヴァンニ』の追加アリア。

K.541 アリエッタ「御手に口づけ」
Ariette for bass "Un bacio di mano Allegretto"
〔作曲〕 1788年5月 ウィーン
アンフォッシのオペラ『幸運な嫉妬』の挿入曲。

K.569 アリア「強いられることなく自らの心より」(断片)
Aria for soprano (?) "Ohne Zwang, aus eigenem Triebe."
〔編成〕 S?, 2 vn, va, bs, 2 ob, 2 fg, 2 hr
〔作曲〕 1789年1月? ウィーン
冒頭の4小節のみ、あとは不明。 自作目録に、ドイツ語アリア「強いられることなく自らの心より Ohne Zwang, aus eigenem Triebe」の記入と、編成「ヴァイオリン2、ヴィオラ、オーボエ2、ファゴット2、ホルン2、バス」が残るのみ。 アインシュタインによれば義姉のソプラノ歌手ヨゼファのために。

K.577 ロンド「君を愛する人の願いに」
Rondo for soprano "Al desio, dichi t'adora."
〔作曲〕 1789年7月 ウィーン
ダ・ポンテ詞? アドリアーナ・ガブリエリ(フェラレーゼ・デル・ベーネ夫人)に。

K.578 アリア「大いなる魂と高貴な心」
Aria for soprano "Alma grande e nobil core"
〔作曲〕 1789年8月 ウィーン
G.パロンバ詞。 チマローザの『二人の男爵』に加えて。 ルイーズ・ヴィルヌーヴ嬢に。

K.579 アリア「喜びに躍りて」
Aria for soprano "Un moto di gioia mi sento"
〔作曲〕 1789年8月 ウィーン
ダ・ポンテ詩? 『フィガロ』追加その2。 アドリアーナ・ガブリエリに。

K.580 アリア「はや、やさしき春はほほえむ」
Aria for soprano "Schon lacht der holde Frühling"
〔作曲〕 1789年9月17日 ウィーン
パイジェルロの『セヴィリアの理髪師』に加えて。 義姉のソプラノ歌手ヨゼファ・ホーファーに。

K.582 アリア「誰が知るでしょう、いとしい人の苦しみを」
Aria for soprano "Chi sa, chi sa, qual sia."
〔作曲〕 1789年10月 ウィーン
ダ・ポンテ詞。 イ・ソレール曲のオペラ『奇特な気むずかし屋』に加えて。

K.583 アリア「私は行きます、でもどこへ」
Aria for soprano "Vado, ma dove? Oh Dei!"
〔作曲〕 1789年10月 ウィーン
ダ・ポンテ詞。 ソレールのオペラ『根はお人よし』に加えて。

K.584 アリア「彼に目を向けたまえ」
Aria for bass "Rivolgete a lui lo squardo"
〔作曲〕 1789年12月 ウィーン
ダ・ポンテ詞。 『コシ・ファン・トゥッテ』第2幕第15曲グリエルモのアリアとして作ったが、長すぎるので書き換えた。 フランチェスコ・ベヌッチに。

K.625 (K6.592a) 喜劇的二重唱「いざ、いとしき乙女よ、共に行かん」
Comical duet for soprano and bass "Num, liebes Weibchen, ziehst mit mir."
〔作曲〕 1790年8月末 ウィーン
シカネーダーの台本『賢者の石』第2幕第4場のルバーノとルバーナのデュエット。

K.612 アリア「この美しい御手と瞳に」
Aria for bass "Per questa bella mano" with contrabass ad lib.
〔作曲〕 1791年3月8日 ウィーン
フランツ・ゲルルとピシュルベルガーに。

K.615 フィナーレ合唱「みんな幸福に生きよう」
Final chorus "Viviamo felici in dolce contento"
〔作曲〕 1791年4月20日 ウィーン
自作目録に4小節の主題が残るのみで、総譜はない。 サルティのオペラ『野暮な焼きもち Le gelosie villane』(初演は1776年ヴェネツィアで)が1791年ウィーンで愛好家たちによって演奏されたとき、そのための終幕合唱としてモーツァルトが作曲。

K.Anh.78 (K6.620b) 対位法習作(コラール)「ああ、天よりみそなわせる神よ」
Counterpoint study on "Ah Gott, vom Himmel sieh darein."
〔編成〕 2 vn, va, bs(おそらく)
〔作曲〕 1791年9月頃 ウィーン
『魔笛』第2幕第28場のための習作か。 ロ短調。 自筆譜は誰かによってプロイヤーの練習帳(K6.453b)に一緒につづられ、「対位法の練習」と書かれている。
〔動画〕
♦ [https://www.youtube.com/watch?v=8bpwleICo0E ] t=3'22
 演奏者不明
♦ [https://www.youtube.com/watch?v=LXpqTvFtG1k ] t=3'07
 Guido Cantelli Quartet, Teatro alla Scala, Milano, 1969
♦ [https://www.youtube.com/watch?v=lpFhN7AOn3M ] t=7'12
 Friedemann Winklhofer編曲

K.Anh.245 (K6.621a) アリア「お前に別れを告げる、いとしい人、さようなら」
Aria for bass "Io ti lascio, o cara, addio."
〔作曲〕 1788年 ウィーン
未亡人となったコンスタンツェはジャカンの作だと言ったが、自筆譜もあり真作として新全集に採録されている。

 


〔参考文献〕

 

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2017/12/03
Mozart con grazia