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ピアノのための小品

「新全集」はグラス・ハーモニカと自動オルガンのための曲も含めて1つの区分を構成しているが、ここではピアノ(クラヴィーア)だけの小品を紹介する。 ただし、だからと言って以下の曲をピアノ以外の楽器で演奏しないとは限らないことは言うまでもない。 また、ここでは他の楽器との重奏曲もリストに含めてもいる。 要するに「ピアノのための・・・」という小品を集めて、探しやすくしているだけのことであり、音楽の素人には有りがちなこととお許し願いたい。

K6.1a ピアノのためのアンダンテ 1761
K6.1b ピアノのためのアレグロ 1761
K6.1c ピアノのためのアレグロ 1761
K6.1d ピアノのためのメヌエット 1761
K.1 (K6.1e, K6.1f) ピアノのためのメヌエット ト長調・ハ長調 1761/1764?
K.2 ピアノのためのメヌエット ヘ長調 1762
K.3 ピアノのためのアレグロ 変ロ長調 1762
K.4 ピアノのためのメヌエット ヘ長調 1762
K.5 ピアノのためのメヌエット ヘ長調 1762
K6.5a ピアノのためのアレグロ ハ長調 1763 / 64
K6.5b ピアノのためのアンダンテ 変ロ長調 (断片) 1763?
K6.15a〜15ss (Anh.109b) ロンドン小曲集 1764
K6.33B ピアノ小品 1766
K6.41e ピアノのためのフーガ (紛失) 1767
K6.72a ヴェロナ風のアレグロ ト長調 1769-70
K6.315g ピアノのための8つのメヌエットとトリオ 1773
K.401 (K6.375e) ピアノ連弾または独奏のためのフーガ ト短調(断片) 1773?
K6.375g (Anh.41) ピアノのためのフーガ ト長調 (断片) 1776-77?
K.deest 前奏曲 1776-77?
K.395 (K6.284a, 300g) ピアノのための前奏曲 ハ長調 1777
K6.284f ピアノのためのロンド (紛失) 1777
K.400 (K6.372a) ピアノ・ソナタの第1楽章  変ロ長調 (未完) 1781?
K6.374g (Anh.46) ピアノとチェロのためのアンダンティーノ 変ロ長調(断片) 1782?
K.153 (K6.375f) ピアノのためのフーガ  変ホ長調(断片) 1782
K6.375h ピアノのためのフーガ ヘ長調(断片) 1782?
K.382 ピアノ独奏曲 ロンド 1782
K.394 (K6.383a) ピアノのための幻想曲とフーガ ハ長調 1782
K6.383b (Anh.33/40) ピアノのためのフーガ ヘ長調 (断片) 1782
K6.383d (Anh.39) ピアノのためのフーガ ハ短調 (断片) 1783?
K.deest (Anh.205 / Anh.C27.04) ロマンス 変ロ長調 1785? 〃
K6.385h (Anh.34) ピアノのためのアダージォ ニ短調 (断片) 1785?
K.399 (K6.385i) ピアノ組曲 序奏とフーガ 1782?
K.154 (K6.385k) ピアノのためのフーガ ト短調 (未完) 1782?
K.386 ピアノと管弦楽のためのロンド イ長調 1782
K6.453a ピアノのための12の小葬送行進曲 ハ短調 1784
K.485 ピアノのためのロンド 1786
K.533 ピアノ・ソナタ 第18番 ヘ長調 1788
K.540 ピアノのためのアダージョ ロ短調 1788
K.574 ピアノのための小ジーグ「アイネ・クライネ・ジーグ」 1789
K6.576a (Anh.34) ピアノのためのメヌエット ニ長調 (断片) 1789?
K.355 (K6.576b) ピアノのためのメヌエット ニ長調 (未完) 1789?
K.236 (K6.588b) ピアノのためのアンダンティーノ 変ホ長調 1790?

 

ピアノのためのアレグロ ハ長調 K6.5a

  • Allegro ハ長調 4/4 ソナタ形式
〔作曲〕 1763年夏か64年 ザルツブルク

姉ナンネルの楽譜帳には最初期の小品(K6.1a~1f、K6.5a、K.6)が書き込まれてあったが、ナンネルがのちに切り取って贈り物にした。 そのうちこの一曲だけが残ったという。 44小節にわたりモーツァルトの手で書かれている。 草稿には標題も速度記号もないが、アレグロと解釈されている。 ケッヘル番号は第2版で K2.9a とされていた。 なお、ピアノソナタ K.545 との類似性があるとも言われる。

〔演奏〕
CD [PHILIPS PHCP-3594] t=3'10
スミス Erik Smith (hc)
1976年、ロンドン

〔動画〕


 

ピアノのためのアンダンテ 変ロ長調 K6.5b 断片

〔作曲〕 1763年6〜10月? ザルツブルク

K6.15vとの類似性から新全集では1764年頃の作としている。 ケッヘル第2版は K2.9b 。

〔演奏〕
CD [キング K32Y 297] t=2'44
クロムランク (p)

〔動画〕


 

ピアノのためのフーガ K6.41e

〔作曲〕 1767年 ザルツブルク

父レオポルトが1768年に息子の作品をまとめ、「この12歳の少年が7歳の時から作曲し、かつ原物を示すことのできる全作品の目録」として作製した初期のモーツァルト作品目録に「クラヴィーアのためのフーガ」と記載されているが、消失。 ウィーンへ旅立つ11月頃に作曲したものか。
 
 

ピアノのためのフーガ  K.Anh.41 (K6.375g)

  • ト長調 断片 26小節と1拍
〔作曲〕 1776-77年? ザルツブルク

新全集では作曲技法上のいくつかの間違いを指摘しているが、モーツァルトの意図は不明。

〔演奏〕
CD [キング K32Y 297] t=0'51
クロムランク (p)

〔動画〕


 

前奏曲 K.deest

〔作曲〕 1776年〜77年? ザルツブルク

自筆の草稿から、1776年〜77年、ザルツブルクでの作と見られている。 ナンネルのための即興演奏またはある未完成の大作を書き直したものと思われる。 主題らしいものはなく、ヘ長調からホ短調へいくつかのパッセージをつないで転調する。

〔演奏〕
CD [U.S.A. Music and Arts CD-660] t=1'22
キプニス (fp)
1986, グレプナー製フォルテピアノ使用

〔動画〕


 

ピアノのためのロンド K6.284f

〔作曲〕 1777年11月28日か29日 マンハイム

マンハイム滞在中の1777年11月29日、モーツァルトがザルツブルクの父に宛てた手紙で選挙侯カール・テオドール侯令嬢のために1曲のロンドーを書いたことを伝えている。 そして12月3日の手紙には、モーツァルトが選挙侯の御前で演奏したことを知らせている。

1777年12月3日、マンハイムからザルツブルクの父へ
御養育係がお嬢様をちょうどクラヴィーアの前に腰かけさせ、ぼくがその傍らに坐って、レッスンをしていました。 と、そこへ、選挙侯が入って来られて、ぼくらに気づかれました。 ぼくらは立ち上がりましたが、侯はそのまま続けるように言われました。 彼女が弾き終えたとき、御養育係が口を切り、ぼくがとても美しいロンドーを書いたことを申し上げました。 ぼくが演奏すると、侯は非常によろこばれました。
[書簡全集 III] pp.312-313
それがこの曲であるが、ただし楽譜は残されていないので、その後この美しい曲は誰も耳にしていない。 消失したのか、それともピアノソナタの1つに取り入れられたのか。
 
 

ピアノとチェロのためのアンダンティーノ K.Anh.46 (K6.374g)

  • Andantino sostenuto e cantabile 変ロ長調
〔作曲〕 1782年?

断片 33小節。 ニッセン、ヤーン、ケッヘルが「ト短調」と記した断片らしい。 しかしそれに該当するものがないため、この変ロ長調がそれであろうと推測された。 第6版では1781年作としたが、タイソンは1782-83年作と推定。 ロビンズ・ランドンはピアノと管弦楽のためのロンド K.386 のチェロ演奏用と見ている。

〔演奏〕
CD [KKCC-4123-4] t=1'57
オランダ・ソロイスツ・アンサンブル
1992

〔動画〕


 

ピアノのためのフーガ K6.375h

  • ヘ長調 断片 13小節

〔作曲〕 1782年か83年? ウィーン

3声のフーガ。 第6版から K6.626b/14 と同一のものとした。 ハ短調ミサ曲 K.427 のための6曲のスケッチと断片として集められた曲集(K6.417B)の第6曲の自筆譜裏にこのフーガが書かれているという。
 
 

ピアノのためのフーガ K.Anh.33/40 (K6.383b)

  • Allegro ヘ長調 6/8 (断片 16小節)
〔作曲〕 1782年4月 ウィーン

3声フーガ。 新全集は1782年の春に書かれたとしているが、タイソンによる推定は1787-89年。
 
 

ピアノのためのフーガ K.Anh.39 (K6.383d)

  • ハ短調 6/8 断片 8小節
〔作曲〕 1785年以降 ウィーン

オルガンまたはピアノ変奏曲の主題として残る断片 K.Anh.38 (K6.383c) に添えて書かれてあった。 4声フーガの一部か。 新全集は1785年以降(80年代後半)としているが、タイソン推定は1783年。
 
 

ロマンス 変ロ長調 K.Anh.205 (K.deest)

〔作曲〕 1785年春? ウィーン

1802年にモーツァルトがめったに使わない変イ長調の曲として出版されたが、長い間、偽作(K.Anh.C27.04)とされていた。 その後モーツァルト研究家プラートにより五重奏曲 K.452a を書き換えたもので、この時期には作られていたと判ったという。 1972年カール・マルゲールは、様式的に不調和な多くの部分を削除し、変ロ長調に移調したピアノのための曲とした。

〔演奏〕
CD [U.S.A. Music and Arts CD-660] t=3'35
キプニス (fp)
マルゲール版にさらにキプニスが訂正を加えて演奏

〔動画〕


 

ピアノのためのアダージォ K.Anh.34 (K6.385h)

  • ニ短調 4/4 断片 4小節
〔作曲〕 1785年か86年以降 ウィーン

オルガンのためのものかもしれない。 タイソンは1786~91年と推定。

〔演奏〕
CD [キング K32Y 297] t=0'23
クロムランク (p)

〔動画〕


 

ピアノのためのメヌエット K.Anh.34 (K6.576a)

  • ニ長調 断片8小節
〔作曲〕 1789年? ウィーン?

成立時期について新全集は1785か86年以降、タイソンは1786~91年としている。

〔演奏〕
CD [キング K32Y 297] t=0'23
クロムランク (p)

〔動画〕


 

〔参考文献〕

 

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2017/12/17
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