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ピアノのための前奏曲 ハ長調 K.395 (284a)

作曲 1777年10月初 ミュンヘン
1778年7月


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この曲の素性は少し複雑である。 以前は以下の事情を踏まえて、ケッヘル第6版で「カプリチオ K.300g」とされていた。 よく知られているようにモーツァルトは母と二人で1777年9月23日に就職活動のためザルツブルクを旅立った。 長い道草のすえ翌1778年3月23日に目的地のパリに到着。 しかし7月3日、当地で母を失ったのである。 それをザルツブルクの父へ知らせる手紙の中で姉ナンネルの霊名の祝日(7月26日)のために前奏曲を書いたことを伝えている。 その日のためにモーツァルトは毎年作品を姉にプレゼントしていたが、たとえばディヴェルティメント(K.251)と同様にこのときも「大急ぎで」間に合わせたようとした。

1778年7月20日(パリからザルツブルクへ)
お祝いの言葉がこんなに遅くなってしまったことをどうぞお許しください。 でも、やはりお姉さんにちょっとした前奏曲を贈りたいと思ったのです。 その演奏法は、彼女自身の感情におまかせします。 これはひとつの調性から他の調性へ移行する小プレリュードではなくて、一種のカプリッチョです、クラヴィーアを試すための。
[書簡全集 IV] p.167
このカプリチオは残っていないが、「Capriccio K.300g」(1778年作)と位置づけられている。 このカプリチオについてはさらに31日の手紙で姉に書いている。
1778年7月31日(パリからザルツブルクへ)
ぼくの小さなプレリュードには、きっと満足してくれたことと思います。 厳密に言うと、あなたが求めたものとはちがいます。 つまり、ひとつの調から他の調へと移行してゆき、好きなところでやめることができます。 ただ、そのようなプレリュードを書くには、ぼくに時間がなかっただけです。 それにはもっと延々と書き続けることが必要ですからね。 時間が持て次第、献呈しましょう。 とにかくママの衣類などを家へ送る便で、その新しいプレリュードと、その他シュレーターの協奏曲集、ヒュルマンデルのソナタ集、それから『ヴァイオリン教程』、ぼくの数曲の別のソナタを送ります。 さようなら。 ごきげんよう。 悲しい思い出を呼び起こしたくありません。
[書簡全集 IV] pp.199-200
ここでは「ひとつの調から他の調へと移行してゆき、好きなところでやめることができる新しいプレリュード」を姉に送ることが記されているが、これも詳しいことは不明である。 このような曲を作ろうとした動機は前年にあった。
1777年9月
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1777年9月28日、ザルツブルクから父レオポルトはミュンヘンにいる息子に手紙を書いているが、その追伸に姉ナンネルは「短い前奏曲」を求めていた。
1777年9月28日(ザルツブルクからミュンヘンへ)
ところでピンペルルは短い前奏曲を一曲すぐに送って下さいね。 今度は一度、ハ調からロ調に入るものを一曲書いて下さい。 そうすれば、少しずつ、それを暗譜で勉強できるからです。
[書簡全集 III] p.62
「ピンペルル」とは弟ヴォルフガングのことである。 これにこたえてモーツァルトはさっそく仕上げたようで、10月11日の夜12時15分前に(パントマイムの芝居を観てからの直後に)4曲のプレリュードを送った。
1777年10月11日(ミュンヘンからザルツブルクへ)
ぼくらはあす、アウクスブルクへ向けて立ちます。
(中略)
当地より、ぼくはお姉さんに4つのプレリュードを同封しました。 どんな調に導かれるか、見て聴けばおわかりでしょう。
同書 p.115
父レオポルトはすぐに伝えた。
1777年10月15日(ザルツブルクからアウクスブルクへ)
ナンネル用の前奏曲はとってもすばらしかった! あの娘はそのためにおまえに百万回もキスするよ。 あの娘はこうした曲をもうかなり立派に弾いています。
同書 p.137
ただし、そのすばらしい「(4つの)プレリュード」(K.284a)は行方不明となった。 新全集は、この曲 K.395 が書かれた紙質や筆跡などの研究により、K.300g でなく、1777年に姉ナンネルの求めに応じて作ったプレアンブル(即興演奏用の前奏曲)すなわち K.284a であろうと推測している。

カプリチオ(Allegretto ハ長調から変ロ長調へ移る)に始まり、テンポや調性が目まぐるしく変化する部分を経て、再びカプリチオ(ハ長調)で終る。 あらゆる変化に指が動くように練習するための曲であるが、当時の慣習によれば、プレリュードがもっているもう一つの役割として、使用する楽器の調子や性能を試すという目的もあるのかもしれない。

演奏
CD [EMI TOCE-11557] t=3'17
ギーゼキング Walter Gieseking (p)
1953年?
CD [PHILIPS 32CD-3120] t=4'11
ヘブラー (p)
1977年
CD [ALM Records ALCD-1012] 1'34
渡邊順生 (fp)
1993年11月
※ Hofmann製フォルテピアノ使用。 モーツァルトが意図した(?)通りに、ピアノソナタの間奏曲として用いた演奏

引用文献

動画
[http://www.youtube.com/watch?v=7rxm-SLt5QA] t=3'09
Jörg Demus (p)
1980年、the Musical Heritage Society (MHS Stereo 4171)
[http://www.youtube.com/watch?v=BJZ1gdvPnQg] t=3'56
Ronald Brautigam (fp)
 
 


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2011/09/11
Mozart con grazia